幸福論

二人が末長く仲良くしているためには 


ちょっと抜けてるほうがいい


完璧なんかじゃないほうがいい


完璧を目指したら、結局


後でしんどくなるだけなんだと


気づいていられる 2人のほうがいい


心にさざ波が立っていたら 


さりげなく察して


一杯のコーヒーを入れてあげる


そんな程よい距離感が 丁度いい


それくらいのゆとりがあれば 


それだけでいい


でも もしどちらかがボケれば 


どちらかがツッコむ


そんなノリがあったなら 


きっとなおさら楽しくていい


そしていつか本当にどちらかが呆けたなら


もう一度同じ人に惚けれていいさと


笑いあえる 2人がきっと素敵でいい


もし相手の嫌なところが見えたとしたら


鏡には映らない


自分の嫌なところが見えたと思えばいい


そして意見をするときには 


ちゃんと相手に逃げ道を


残してしてあげるくらいの


ゆとりがあったほうがいい


いずれ自分に返ってくるのだから


正論ほど いざというとき


役に立たないものはないのだから


上に立とうとか 言うことを聞かせようとか


従わせようなどとは 


そんなことはけして思わず


ただ健やかに おだやかに日々を 平々凡々と


青空をゆるやかに 流れる雲を眺めて


ときに爽やかな風に吹かれ


ときに穏やかな日差しに微睡み


雨が降れば傘を差し


そのあとの虹を眺め


雪が降れば炬燵に入り


やがて訪れる春に胸ときめかせる


そんな毎日が


人生の幸福なのだと、


そう噛みしめて


一緒に過ごしていけることが


いつまでも2人の願いなのであってほしい




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本作は読んでの通り、詩人 吉野弘さんの「祝婚歌」のオマージュです。

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