第51話 第三階完!
【新規スキル 察知を獲得しました】
「ちっくしょう!あいつらを倒せるわけではないのかよ!」
新規スキル 察知。その名の通り、なんか死に物狂いで発動したスキルによって、なんかレーダーみたいなビジョンが頭に浮かんでる。
そのビジョンは、ある1つに10体ほどの白い点。なんかこころなしか真ん中にいる奴らがうるさそうだ。
多分あやつが生徒会長とマインだろうなぁ…
「雪!マインと生徒会長の元へ向かうか、エイルと合流するか、ナケネを合流するか、どっちがいい!?」
『なんでそんな選択は私がやんなきゃないんだよ!』
「しょうがないだろ。雪が決めてくれなきゃ俺はコイントスで決めんぞ!」
『コインもねぇよ!』
後ろのゴースト共を補足しながらもこんな軽口が叩けるのは、希望を見出したかもしんない。
1番なんか距離が近いのは…ナケネと思わしき物体。だけどゴーストを押さえることができるキメラがいるのは生徒会長とマインのところ。1人になったエイルは何がとは言わないけどなんか隠れなさそう。
『1番近い方で…』
「りょう…かいっ…」
ちくしょう!まさかまた逃げる羽目になるとは思ってなくて憂さ晴らしにステーキ食っちまったのヤバい!吐きそう…くそっこんなことならケバケバ食ったけばよかった!
俺にとっては、ボケて妹を揶揄うことは、呼吸と等しきことだと言うのに…こんな窮地に立たされてボケれないなんてぇ!
体力がない俺はない物を振り絞って前へ進む。
後ろから「ああああ」と言う声が聞こえるたびに全力疾走。追いつかれたらその腐った肉で蹂躙されるのかぁ…
「あァァァァァァァァァァァッ!俄然やる気湧いてくるぜぇぇ!こんなとこで妹の純潔汚すわけにはいかねぇしなぁ!」
『お前は何を想像してんだ!捕まったら死ぬだけだから!別にあのゴーストに変な目に遭わされるわけではないから…』
なんか、最後に獣みたいな妹が恥ずかしそうにしてるのは解釈違いなんだが…
「おいいいいい!なんかナケネ遠かってね!?」
俺のレーダみたいな反応に、中根と思わしき白い点が遠かってんだが…
『ああ、あれはナケネの技。ローリング生首だな。生首で飛び離れるのは移動時間がかかるから転がったほうが早いらしい』
なんだろう…ローリングの後につく言葉で1番気味悪い技名だな…
いや…てか…
胴体生やせよ!!!
♣︎
「クッソオオオオオオ!あの野郎苦労かけさせやがって!勝機が見えたってのにいいいいぁぁぁぁぁ!」
そう、この作戦…というか、あの弾幕を避けるゴーストに対する活路見出したのに!ナケネがいないと話なんねぇじゃねぇかよ!
俺が全力疾走しても、ナケネのローリング生首まで追いつけない。さらに、後ろのゴーストがえらい形相でこちらまで向かっていると来ている。
『おい、ここは私に変われ。私ならぶん殴っている間に逃げることができるだろ…何より、お前、バテてんじゃねぇか…』
なんか雪がそんなことを言い出した…
…………………………………
クッソ!なんだよ!この妹はよぉ!今まで兄を気遣ったことなんてなかったのにさぁ
…気遣ってくれんなら…ちょっとエロいこと許してくれても良かったジャン!
「ふざけんなぁぁぁぁぁ!誰が、お前なんかに逃げさせるんだよ!お前、逃げんの嫌いだろうが!」
そう、雪って、敵前逃亡ってのがすっげぇ苦手だったなぁ…それがどんな相手でもさぁ…
『……はぁ?お前そんなこと言ってる…
「お前がどんな相手でも逃げねぇように、俺はどんな状況でも妹の嫌な行動を受け継ぐんだ。それが俺が思う、兄っていうやつなんだよ!だから、俺が妹の代わりにやることは…敵前逃亡と、常にムカついている妹にふざけ周ることだァァァァァァッ!」
正直、論理的に組み立てたら、ここで体力のあるかって言う、雪に変わるのが正解だろう。…何故か、この肉体は精神が変わると、体力とか、その他もろもろ変わるみたいだし…
だが、ここは論理じゃねぇ…兄としてのプライド!プライドなんて、切り捨ててトイレに流したようなものだったが、ここだけは譲れない。
それに…俺ここに来て、全くかっこつけれてないよ!せっかく異世界まで来たのに、全くかっこついてねぇよ!
【スキル発動】
「【会心の一撃】!」
俺は、地面を蹴ってスキルを発動させた——
スキル、【会心の一撃】。いつぞや、クマを倒した時に手に入れたスキル。その効果は、力の一極集中。パワーを一点に溜めて、殴った時の威力増強と…そう言った効果があるスキルらしい。
だけど…力の一極集中なら、足にも力を溜められるはず…その爆発力を利用したロケットダッシュ。
ただ、難点は…
「アゲボォッ!?」
制御できずに壁にぶつかることである。
俺はそのまま立ち上がって、ロケットダッシュ!そのうち受け身が取れるようになって、いわゆる、壁ダッシュまで習得した。
そして…
「見つけたァァ!」
ようやく、ローリングする生首こと、ナケネを取り戻すことに成功したのだった…
♣︎
『だけど、どうする!?あいつ、あのままなら避けちまうぞ!』
「ああ…だから…」
俺はナケネをゴーストの足元。ギリギリ地面に当てるくらいの距離に、《オゲロゲロビーム》を放った!
そう、このままじゃゴーストに当たる前に避けられて終わり。だけど…この床は…
地面に当たったビームは青い放流を放ち、床から稲妻がゴーストの足を捕らえた!
そう、ナケネのビームは地面に当たっても、普通の雷のようには拡散しない。だけど、この学院の床は、雪でも壊さなかった、衝撃、魔法が分散されてしまう床なんだよ!(25話参照)
これに気づいたのは、さっき、俺のスキルが発動した時だ。このスキルは、敵を倒した時に稀に獲得できる…
そう、前のエイルの無茶苦茶な攻撃は、ゴーストに当たったんだよ!分散されたプラズマで!
『お前…これを狙って…』
雪の感嘆した声に、俺はドヤ顔で…
「どうだぁ!惚れなおした?」
『いやそれはない』
「ガーン!」
あまりの直球に、俺は寝込んでしまうのだった…
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