第12話 ★之内死す
カラカラちゃんにあの日記が見つかってから、私は毎日が忙しいどころではなくなった。
おやじショタ魔女ウィルさんとの打ち合わせ。
カラカラちゃんと今後の打ち合わせ。
それに日々のマナ搾り業務も当然あって、何日かまともに寝ていない。
「うぃーズーコ。」
カラカラちゃんは本当にいつ寝ているんだろう。仕事もきっちりこなし、私との打ち合わせもしている。そしていつもマナ搾りはトップクラス。
「お おはよ”う”ございま”ずカラカラちゃん。」
「死んでる顔してんなズーコ。生きてるか?」
「ばび、いぎでいまず。」
私たちは、日々の業務をこなしながら、着々と準備を進めていた。
マナ吸収紙の製造、私のBL日記の内容をマナ吸収紙に念写、
二重表紙の作成と、ほぼウィルさんの仕事の方が多いような気がするが、
出来上がったエロ小説を、どの人間に配置するかなどは外回り営業の私たちの仕事だ。
マナ吸収紙の原料も、そこそこ値が張るので、私たちが用意できたのは50冊だった。
とりあえず20冊は信長と蘭丸の下剋上の内容を、信長を領主にして、蘭丸を騎士に変えてみた。
この世界に第六天魔王はいないし、魔王とか書いていたらすぐバレるしという話し合いの結果である。20冊は、極道ものにしてみた。こちらの世界でもマフィアはいるので、共感しやすいかなと考えた。10冊はウィルさんのたっての願いで文房具BLにした。あの内容のまま出版したいとウィルさんが言うので、どうにでもなれと半ばあきらめの気持ちで了承した。
今回はマナ容量が多い人間、ようするに溜まっている人間の部屋にこっそり置いてみることにした。そもそも私たちと人間の接点は夜の人間の夢の中か枕元なので、起きている人間に
「はいこれ、エロ小説受け取って。」(テヘッ)という風に渡すことができない。
たぶん面と向かって人間に接触したら、まず間違いなく討伐されるだろうし、警戒される。
サン★クロースみたいに枕元にエロ小説を置く妖怪ならぬ悪魔・・・
あれ?何か間違っているような気もするが、方法がないので仕方がない。
しかも日々の業務をすっぽかして、エロ小説を配っていたなんてバレたら懲罰房行きは確定しているようなものなので、1~2冊をこっそり配布することにした。
「カラカラちゃん。これでいいのかな?」
「おおよ、これであたいらはがっぽがっぽよ。勝ったッ!第三部完!よ。」
「第一部と第二部はどこに行っているのよ。しかし心配だわ。」
予感は的中。いろいろあったけど、まずは人間界で発禁本指定にされちまいましたとさ。
トホホ
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ぶりーき
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