技術その3 技術制限とアシア解放以降

●解放技術(ネタバレ)

主人公のコウは、超AIであるアシアを解放することによって様々な技術を解放する。

それはこの惑星の兵器に確変をもたらすものばかりだった。

ここではその主だったものを解説する。


【技術制限】

惑星間戦争時代後から後。新たな時代に移った時点で三十五世紀の技術は一切制限された。

それにより、惑星間戦争時代の遺産を多数保有していたストーンズに為す術がなく制圧される要因となった。


技術はそれぞれの惑星管理AIが権限を持っているため、惑星アシアもアシアが解放されるまではあらゆる制限を受けていた。

転移者たちが持っている技術や理論を応用して、重火器やレールガンを採用。二十一世紀から二十二世紀の技術で戦闘を行っていたという経緯がある。


超AIアシアが行う技術解放も制限がある。転移者たちが理解できない最新の理論や、概念上の兵器は解放されることはない。

地球で理論が存在し、試験が行われた形跡があるもののみが解放される。

技術解放された代表が金属水素であり、解放されなかった代表が荷電粒子砲や量子転移とされる。


【既存技術解放】

コウの構築技士EXで、今までの人類がアクセスできなかった領域の技術をアストライア経由で入手。解放したもの。


【第一回技術解放】

X463要塞エリアに封印されていたアシアを解放。

このときアシアは自分の命運をコウに賭け、彼に対し保有する権限を駆使し最大限の技術解放を行った。


【第二回技術解放】

F811要塞エリアに封印されていたアシアを解放。

第一回で解放された、通称一人目のアシアが頑張りすぎたため、一般的に普及した技術は知られていない。

固体酸素技術か金属水素技術の二択を迫られたアシアは迷わず金属水素を選んだ。

個体金属である金属酸素や8酸素(個体酸素である赤色酸素)も、二人目のアシアによって解放された。先行導入された企業はコウと一緒にC型強襲飛行型を研究していたTAKABAと御統重工業のみだった。

後日先行採用されたアクシピター強奪でこの技術がストーンズに渡ることになる。


他の技術は兵器全般に関する小型化技術が多い。8酸素である赤色水素生成技術がその代表。

だがそれは表向きで戦略兵器級の様々な技術が解放されていた。

その代表例はパンジャンドラム『ホイール・オブ・フォーチュンマーク2』に搭載された電子励起爆薬と大出力レーザー技術である。


【第三回技術解放】

R001軌道エレベーター要塞エリアに封印されていた、惑星アシア最大の権能領域を持つアシアが解放された。


現人類が認識できる技術はあらかた解放されているため、電磁制御技術や小型、ツインリアクターなど現在の応用技術が可能になる。

だがこれらの技術はシルエットの多様性や兵器の小型化に繋がった。

アナライズ・アーマーもこの第三回技術解放によって生まれた兵器。


このとき陽電子砲技術や荷電粒子砲技術なども解放されているが、小型化が難しく専用設計が必要になるため、技術解放はされなかった。


【金属水素】

地球では「高圧物理学の聖杯」と呼ばれた超流動物質。英語圏ではとくに『聖杯』は可能性はあるが到達困難な技術などの比喩に使われる。

木星や土星の表層に金属のように振る舞っているといわれる水素が金属水素。液体水素と金属水素の中間存在である「暗黒水素」も存在する。

水素の十二倍の密度であり、酸素中で金属水素を燃焼させると二十倍のエネルギー、TNT火薬換算で五十倍のエネルギーを発生させる。

この金属水素の導入により敵味方の技術は大きく変化を強いられることになる。

金属状態の水素は水銀と似たような特性を持つ。


この技術一つで惑星アシアの技術水準を一気に惑星間戦争時代に近づけるブレイクスルーが起きた。


【金属水素貯蔵炉と金属水素生成炉】

金属水素の状態はウィスがないと維持できない。

金属水素生成炉は製造が困難であり、主要部品はオケアノスが直轄管理している戦略物質も含まれる。

そこで金属水素を補給型として兵器運用しコストを下げるために生まれたのが金属水素貯蔵型のパワーパックだった、

金属水素をシルエットに搭載することも可能だがコストは跳ね上がるが、無限行動さえも可能なエネルギー効率を生み出す。


【赤色酸素】

燃焼には当然ながら酸素も必要であり、金属水素同様真空中に高圧力をかけることで酸素も金属相も見せる。

そこまでの圧力はかけなくても8酸素である固体酸素は可能であり、赤色に見えるため赤色酸素と喚ばれる。

制御しやすさ、部品の少なさからアクシピターやそしてラニウスC強襲飛行型に先行採用された。御統重工業の可変機にもいち早く導入されている。



【装甲筋肉】

TAKABAとクルト・マシネンバウのみが採用していた人工筋肉だが、磁場によって制御出来る金属水素を血液に見立てることにより、より力と柔軟性を増した。

中が金属水素のため、弾を誘爆させる内部電磁装甲としての役割も果たす。

使用コストは装甲筋肉を使う枚数によって違い、フッケバインは五十本以上の装甲筋肉を使い、全身の装甲筋肉でのみ防御する。

フッケバインの量産型であるバズヴ・カタでも二十二本程度。

ラニウスは機械駆動を組み合わせた複合機構なので八本程度。そのかわり通常のシルエットのように装甲は施されている。


整備が困難になると思われたが、コウが左右の胸部や胴体の鼠蹊部から大腿部をひとまとめにした交換規格を作り、採用されている。欠点は場所を取ること。

欠点は装甲筋肉内の金属水素にエネルギーを喰われるため、レールガン等の大電力を使用するタイプの兵装運用が不向き。


【電磁装甲】

地球の兵器にも研究されている電磁装甲。装甲表面に電熱を流すタイプから装甲にサンドイッチしている通電式があるが、惑星アシアは通電式を発展させたもの。

表面装甲が貫通されたあと、貫徹体をプラズマのジュール熱によって爆破、もしくは気化させる。このとき発生される強力な磁場はレーザーや荷電粒子砲にもある程度有効。

金属水素を用いたものでプラズマバリアを発生できるものは上位電磁装甲とも呼ばれる。

設計が古いシルエットは電磁装甲式の追加装甲を装備する場合が多い。


【プラズマバリア】

上位電磁装甲と呼ばれる装甲が持つバリア機能。

機体周囲に高温の磁気を帯びたプラズマを発生させミサイルを誘爆、砲弾を溶かす。レーザーや荷電粒子砲にも多少の効果がある。

欠点は周囲に生身の人間がいた場合、即死するので使い所が限定される。


【回転デトネーションエンジン】

爆轟波を使い、瞬間的に莫大な推力を生み出す技術。

アストライアは暫定的に導入し、アシアの技術解放で完成した。


ラニウスC型はアシアの技術解放によって、爆轟波とともに発生する斜め爆轟波も応用。四肢を加速、制御にも用いる。


整備性からパルスデトネーションエンジンを使う構築技士もいる。


【可変機(シェイプシフター)】

別形態に変形するシルエット。シルエットそのものを直接変形させてはいけない制限がある。

主に戦闘機だが、車両に変形可能なものも存在する。

電磁装甲と金属水素生成炉によってようやく実現。そのフィードバックとして金属水素貯蔵炉採用の可変機も生まれた。


変形機構が死荷重となる部分が多いため、同価格帯のシルエットよりは性能が低い傾向にある。

とはいっても高級機であるため、機構や機能は最新型であり、量産機とは比べものにならない性能を誇るものが多数。価格も比べものにならない。


1・戦闘機機能をそのまま背負うタイプ。これはスカンク・テクノロジーズが主とする形態。

2・背中に背負った戦闘機に追加装甲に変形させるタイプ。これは御統重工業やアルゴフォースが種とする形態。

3・シルエットの四肢と連動し、最小限の変形機構に留めデッドウェイトを少なくしたタイプ。これは五行重工業が種とする。


【量子浮揚】

ウィスによる量子浮揚(クァンタム・レビテーション)技術。

物質を空中で固定しているだけでなので、上昇降下前進は推力が必要。

ホバータンクなる浮く戦車も登場した。

欠点は固定しているものを動かす場合、その分推力が必要になること。


【ニューマテリアル】

ナノカーボンである炭素のフラーレンやホウ素のボロフェンが実用化されている。ボロフェンは金属的性質を持つ。

これらの二次元物質は非常に強靱ではあるが厚みを持たないため、コーティングなどに使用される他、三次元構造を持つものも存在する。

これらのナノマテリアルを応用したナノコンポジット材がシルエットや兵器のフレームに使われる。


【攻撃ヘリ・攻撃機・戦闘機】

マーダーの主力武器であるレールガンやレーザーガンに、航空戦力は無力だった。二十一世紀に攻撃ヘリの重要性が低下した「チープキル」問題と同様の要因によるものであった。

上位電磁装甲や新マテリアルを採用した装甲が強固な航空機が開発されたことによって、惑星アシアにはようやく航空戦力が現れることとなる。


【電子励起爆薬】

原子の周りのエネルギーを高めた物質を組み合わせた爆弾。地球では主にヘリウムが想定されていた。

解放された技術は電子励起した状態の金属水素を爆薬にしたもの。TNT換算で1トン分の爆薬が500トン分に相当する。


【アナライズ・アーマー】

第三技術解放によって可能になった兵器機能。

追加装甲を車両や航空機の武装として運用。それらをシルエットに装備させることができる。

現地でのシルエットを補助するための兵器。


【電弧刃および電弧刀(アークブレイド)】

タングステン合金を皮金、芯金をタンタル合金を超高圧の爆発圧着で生まれた刀。

剣圧によって高温のアークを発生させ刀身にまとうことができるが、ウィスを通す以外は仕掛はなく実質剛健そのもの。

技術解放によって生まれたものではないが、コウとアルゲースが創意工夫を重ね生まれた刃であり、現在はTAKABAでも量産している。

アルゲース作はメタルアイリスでも幹部や武勲を挙げたものにしか授与されず、垂涎の逸品として扱われる。


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