第15話

私と晴は本棚の影にしゃがみ込んででいるが、

覗かれれば普通に見つかってしまう

そう分かっていても、息を殺し、じっとしているしかなかった


「右かな~、左かな~、どっちかな~、あっはは!」


わざとらしく声を上げる楓さんは、

どこか、私達より幼く見えた


それでも、今の私達が絶体絶命なのには変わりない


「じゃあ、左から探そっかな~」


そう言って、私達が隠れている本棚の方へと歩いてきた

マズい、本当にマズい、もう、諦めるしかないのか、、?


「やっぱり右にしよーっと」


楓さんはそうつぶやきながら、右の本棚の方へと歩いて行った

一旦は助かった、が、あっちに居ないとなると、すぐに見つかってしまう

まだ、まだ生きたい


「あれぇ~、居ないな~、じゃあ、あっちだね」


スタスタと隠れている方の本棚へ向かってくる

やだ、イヤだ、死にたくない、生きたい、えいたい「大丈夫、大丈夫、いざとなったら、ボクが何とかするからさ、ね?」


震えていた私を見かねてか、晴は小声でそう言って、ニコッと笑った


ほんの少しだけ、落ち着いた、でも、そんなの一瞬だった


「見つけた!見つけた!あっはは!」


見つかってしまった、

すぐそばまで来てるのに、気づかなかった


楓さんはニタニタ笑いながら、ナイフを振り上げた


私、死ぬんだ、殺される、もう、諦めるしか、、


そう思った時、

突き飛ばされた様な衝撃が走った


「逃げて‼ボクはいいから、早く、、!」


晴が私を突き飛ばして、避けさせたらしい

晴がその言葉を言ったその直後


晴の首元から血が噴き出した


何となく分かった、って


「晴っ、、!」


「あはは!1人殺った!もう1人!」


逃げなきゃ、晴が生かしてくれた、私の命

逃げ切って、見せるんだ


そう思っていても、体が動かない

いや、動けない


「あれ~、泣いてんじゃん、怖いの?あはは!

 怖がってても許さないけど」


そう言って楓さんはまたナイフを振り上げた

そして、私の首に刺した


不思議と痛くはなかったが、

首から胸元にかけて、液体が伝うのが分かった


私の意識は、ゆっくりと暗闇の中に溶けていった

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