第9話

「風早 ハル様 0票


 一ノ瀬 スズカ様 0票

 

 朝地 リツト様 0票


 一条 カエデ様 1票




 国立有莉朱様 4票、最多票所得者です」


私は、有莉朱さんに票を入れた

有莉朱さんが一番怪しくて、狼に思えたからだ


それに、本人有莉朱さん以外、有莉朱さんに入れてる


多分有莉朱さんは、仁さんを刺し殺した後

誰も来ないうちに別の部屋に逃げた、

服を着替え、手や顔に血がついてないかを確認、そして拭き取る

その後に凶器を隠し

何食わぬ顔で仁さんを殺した部屋に戻ってくる


それをしてきたのではないかと疑った


それに、楓さんが有莉朱さんに『アナタが殺した』と言ったら

急に声を荒げた、それも、すごく怪しく見えた


「ワタシ、殺ってないわ、殺す訳、無いじゃない」


「アリスさん、明らかに怪しかったじゃないですか」


「だから、ワタシは、殺ってないの、信じて、お願い、、」


有莉朱さんは、私達を縋るような目で見て来た、心が苦しい、

今更ながら、本当は有莉朱さんじゃなかったんじゃないか?

でも、そうすると、楓さんが犯人になる、

それもおかしい気がする


「アリス様は、ステージの上へどうぞ」


そう、メリバが言った瞬間

後ろの壁がゴゴゴと動いて、ステージの様なものが見えた


「いやよ、何が始まるのよ」


メリバは無言で有莉朱さんの腕を引っ張り

無理やりステージ上へとあげた


2人がステージ上に立つと、

メリバは顔を一瞬下に下げ、バッと上げた


「さあさご覧の皆様!自身の間違った正義を間違いと認めなかった、

 正義のひーろー(笑)の処刑ショーの初まりです!

 アリス様はそこの椅子に座ってください!」


これまでと違い過ぎて不気味だった

無機質な声じゃなく、元気ではつらつとした声

目もとてもキラキラしていて

まるで、おもちゃを前にした子供の様だ


有莉朱さんは青ざめながらも、言われた通りに椅子に座っている


「さて今回は裁判官らしい処刑をご用意いたしました!

 私達はただの殺戮を好みません!

 ルールに従えば助かることもあります!

 ルールは簡単!これから顔写真と罪が出てきます!

 10秒以内に判決を出してください!

 それだけです!」


「本当?本当ね、ワタシ、生きられるのね」


「ええ、私達はウソは好みません!」


メリバはそう言い切った

もし、有莉朱さんが助かるなら、それでもいい、

の話だけれど

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