第7話
「はぁ」
もう既に人に投票する思考に至っている自分が嫌になる
別に投票しなければどうのこうのなんて、説明されなかった
なのに、もう誰かを殺そうとしている
「涼香ちゃん、大丈夫ぅ?」
「ああ、多分、大丈夫だ、
ただ、私は何やってるんだろうな、なに、
当たり前のように人に投票しようと思ってるんだろうな、って」
「そっかぁ、でも、こんなわけの分からない場所に連れてこられて、
狼が紛れ込んでるとか言われて、従っちゃうのはしょうがないと思うなぁ」
『従っちゃうのは仕方ない』いつもだったら聞き流すような言葉も
今の私にとっては、ありがたかった
根本的な解決はしないが
「フフッ、晴は優しいな、ありがとう、少し気が楽になったよ」
「、、、」
「晴?どうした?」
「いや、涼香ちゃんの笑った顔、初めて見たなぁって」
そういえば、ここに来てから初めて笑った気がする
連れてこられて混乱して、
説明されても分けわからなくて、
遺体を見て、調べて、推理して
感情がぐちゃぐちゃだった
だから、笑うことなんて、出来なかった
「笑い方おかしかったか? 鳩が豆鉄砲をくらったような顔していたが」
「いや、何でもないよぉ」
「それならいいんだが」
笑い方おかしかっただろうか?目を丸くしてたが
別にいいか、
それに、体内時計では、そろそろ1時間たつ
そろそろ、誰が死ぬかを決める時間だ
そう思った時、放送が流れて来た
〈ピンポンパンポン 1時間経ちました、箱が置いてある部屋に集合してください
従わない方が居ましたら、毒ガスでこの施設内を充満させますのでご了承を〉
どこか不気味な、
メリバの無機質な声での放送だ
「充満させるってぇ、怖いねぇ」
「ああ、多分探索中に見つけたあの部屋だろう、急ぐぞ」
本当に毒ガスを充満させらたらたまったもんじゃない、死んでしまう
「皆様、お集まりになりましたね」
あの部屋に晴と共に行くと、もう3人とメリバは集まっていた
「投票とやらをするんでしょう?早くしなさいよ」
「もう狼は決まっているだろう」
「遅かったね、もうみんなきてるよ」
「遅くなってごめんなさい」
「えへへ、ごめんさぁい」
軽い口調の晴も含め、全員の間に緊張が走って空気が固い
当たり前だ、殺す人間を決めるのだから
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