第12話
『ゴーレム少女(仮)』を食べないという選択肢はなかったのか?
情華は本能的にゴーレム少女であるアンジを食べることをやめなかった。食後に、苦しい思いをするのが解っていても、それでもなお食べることに拘った。
優しい言葉で導いてくれるアンジだったからこそ、躊躇うことなく食らうことができた。そういう風に刷り込まれているのかもしれない。主に食べてもらえることが無上の喜びであるかのように。
また、情華の内にわだかまる支配欲が、食べてこそ完結する関係性を欲求し続けたからでもある。それは頑なな意思だった。アンジという特別な美少女を自分の所有物のように扱えることに欲情してすらいた。それだけに、幼女にしかなれなかったアンジを食べた時の自分自身には吐き気を催す悍ましさを覚えずにはいられなかった。
良心と欲望の両天秤の上で右往左往する滑稽な姿形を夢想して、情華の精神状態はいよいよ危ういものとなり始めていた。
ところで、『ゴーレム少女(仮)』を食べないという選択を取った場合どうなってしまうのか? 情華は考えなかったわけではない。しかし、よく働かなくなり始めていた頭ではうまい考えが浮かんでくることはなかった。どちらにしたって、アンジの存在理由を尊重すればこそ食べることが礼儀だろうと早々に結論付けていた。
ゆえに、アンジの身体が腐って朽ち果てる姿なんて見たいとも思わなかった。
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