第10話
僕が中村さくらを思い浮かべたのは理由がある。
中村さくらは遅くても5時には塾を出て帰宅していたからだ。
でも、同時に疑問が出てきた。
例えば僕たちの部活動をやっていたのを見ていたとして、なぜ顧問は中村さくらを女性だと思ったのか。
顧問が見た子はもしかしたら中村さくらと全くの別人かもしれない。
「その見ていた子は、どんな感じの子ですか?」
「身長はそんな高くなかったと思うぞ。フェンスのとこに木があるだろあれより小さかったから。ただ、ちょっとたどたどしいとゆうか、おぼこいというか、あどけない感じだったから中学生かと思ったんだ。」
確か中村さくらは僕と同じくらいか少し低いくらいの身長だったはずだからあの木はほぼ僕と同じくらいだから確実にフェンスから見ていた子は中村さくらではないだろう。
僕が学校に行けなくなった時期はちょうど3年生が受験を意識し始め勉強に精を出す時期だ。フェンスの向こうから見ていた彼女は中学3年生だろう。毎日部活を見ていたのは中学校からの帰り道で高校生がどんなものか見ていただけだろう。
なんだ
何にも関係ないか
中村さくらは僕を、
吉田隼人を
私から僕に変えたきっかけすら知らないまま
僕が事故にあったのが自分のせいだとでも思ったのか
もう
彼女は
どこにもいない
会うことはかなわない
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