第8話

彼、こと中村さくらは僕と同い年の17歳。

・性別女性。

・通信の高校に通っていた。

・同じ塾に通っていた。

・ブランコに乗りながらアイスを食べる事ができる。

・走るのが早い。


このぐらいの事しか知らない僕がなぜ中村さくらの死を知ることができたのかは恋バナ好きの塾長のおかげである。


入院中は外出できず、車いすに乗れるようになったのは事故から約3か月後。そこから骨を完璧に直したりリハビリをしたりして、一人で車いすで移動できるようになったのは事故から約半年後の事だった。


高校から通い始めたとはいえ月1の面談やたまにする会話など学校でうまくいっていないことを察したのか気にかけてくれた塾長に挨拶するために通っていた塾に行った。その時に彼に会いたいと思い彼がよくいる時間、ほかの生徒が来る前に僕は塾に車いすで向かった。


事故にあいすぐに回復し今まで通りの生活が送れることが不可能だと知っていたから塾は事故があったすぐ後にやめていた。入っていいのか不安でドキドキして向かっていたが扉の前に行くと塾長と目が合いすぐにドアを開けてくれて

「よかった、ほんとによかった。」

と少し涙目になりながら言ってくれた。塾に入り自習室の中を見たが誰もいなかった。塾長にそれとなく聞くがやんわりと流されてしまった。僕が何度もしつこく聞くから塾長が折れた。しかも付き合っていたと勘違いした、僕はどっちだってかまわない。


中村さくらの死を知った時いてもたってもいられなくなった。だが車いすではどうしよもなかった。僕が事故にあい生死をさまよってた少しの間に彼女はさまよわず向こう側に行ってしまったようだ。塾長も詳しく知らないようだった。中村さくらが死んだこと、死んだ時期の2つしか知らなかった。中村さくらの住所は守秘義務があり教えることは無理と言われたが学校だったらと、塾長は教えてくれた。


中村さくらは僕に噓をついていた。

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