第7話
それから私は、いや、僕は彼に会っていない。
正確には僕が彼に会えなくなり、彼もまた僕に会えなくなった。
あの、くだらない話をし
「また、」
といった帰り道、
僕は事故にあった
自転車に乗っていた僕は酔っ払いに横から蹴飛ばされ道路に転がり落ちた。
その瞬間は何が起きたかはわからず左から来た衝撃に吹き飛ばされた僕は車が走っている車線に放り出された。
ドラマとか映画とかで死ぬ瞬間はスローになっているがあれは事実だった。
身をもって体験した僕が言うのだから間違いない。顔を上げたとき目の前にいた車がゆっくりきた。走馬灯は見なかった気がする。ゆっくり来ている車に僕は身動きができないまま轢かれた、
らしい。
起きたときには病室にいて右も左もよくわからない管を付けられ体は包帯でぐるぐる巻きにされ首も動かせなかったから最初に見た景色は病室の天井だった。
両親は僕が目を覚ましたことに涙して喜んでいた。僕が少し動けるようになったら僕に部屋にあった大量のお菓子を見つけ病室に持ってきてくれた。
太陽が出ているのにべろべろに酔っぱらって僕を突き飛ばしたやつは逃走したがすぐ捕まったらしい。目を覚ましてから警察が来て話をしたが顔も見ていないことがわかるとすぐに帰っていきそれっきりだ。正直恨まれた記憶もないし、顔を見たが知り合いではなかった。
学校は春休みに入る時期だったので少し長めの休みかなと思っていたが割と重症らしく三年が始まるころにはまだまだベットの上だった。
もちろんそんな状態だったから塾にも行けず彼にも和えずじまいで毎日が過ぎていった。
彼はそのときに死んだらしい。
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