第2話
コンビニの前に取り残された私は彼の行動に驚いた。
このお菓子はお詫び的なものだとしたら私が渡す側なのではないか。とりあえず荷物は塾に置いてあるし塾に戻るしかない。袋とかあればそれに入れたのだがあいにくコーヒーだけのつもりだったから持っておらずお菓子を右手でもち反対の手でコーヒーを持つ。
信号機で青になるのを待っているとほかの生徒が塾に入るのが見えた。もうそんな時間かと思いこの後の勉強の予定を立てながら青になった信号を歩いていく。
塾に入ると運よくあの塾長はカウンターにいなかった。この状態の私を見たら絶対何か言ってくるだろうと思っていたからカウンターにいないのはついていると思った。そんな感じで自習室に入ろうとしたが私は両手がふさがっておりドアを開けることができない。仕方がないし足で開けるかと思っていた時自習室の中から塾長が出てきた。
「あ、ごめんごめん。てか、そんなたくさんのお菓子をもってどうしたの?あれか!テスト終わったご褒美的な感じね!そういうの大事だよね~。」
めんどくさいのに捕まったと思い私は適当に返事や愛想笑いをしながらその場をやり過ごそうとした。そんな私の雰囲気を察したのか、テスト終わりで疲れてるのに偉いね。今日も頑張ってねと言いカウンターに戻っていった。
自習室に入り机の上にお菓子を置きとりあえず一つ食べようと思いチョコのお菓子を開けた。それ以外はリュックの中に入れ後にしようと思いカバンを占めた。彼は私にお菓子を渡すためにコンビニにさっそたのか、など考えながら今日の勉強を終え家に帰りテストを受けた感想などを母親と父親に分けて二回聞かれうんざりした。毎回テストのたびに「どうだった?」と聞かれるが正直どうもこうもないできた問題もあるしできなかった問題もある一言で答えるのは難しいし詳しく答えると話す時間が長くなる。だから私はいつも「そこそこだった」と一言いうがそれが二人にとっては気に食わないらしく「そこそこって前回と同じくらい?」や「点数は取れたと思う?」など質問を重ねてくる。テストが終わってちょっとした解放感に身を任せ遊びたかったところを頑張って塾に行き疲れてる私はそんなめんどくさい質問に答える義理もなくさっさと部屋に閉じこもる。
部屋に放り投げられたカバンが目に付く。そして彼のことを思い出す。
私には彼がわからなかった。あの状況で悪いのはどう考えても私だ。
勉強しなきゃいけない環境で話しかけたこと、
どうでもいいと思った話題がどうでも良くなかった事、
明日行って会えたなら話がもう一度したいがあいにく明日は土曜日で部活がある。いっそのこと休んでしまおうか、どうせレギュラーに入っているといってもレギュラーの人数よりも部員の人数が少ないから入っているだけだし、それに加え試合に出れるといっても誰かがケガとかで試合に出れなくなった時しか出れない。
正直しんどい。
やめたいやめたいといって気が付いたら二年もたっていてもう少しで引退だ。どうせなら最後までやるかと思ったが出れる人と出れない人の温度差はやはり埋まらず、少しずつフェイドアウトしていこうと思っていたがその考えは顧問にばれ、やめるんだったらやめていいと言われ反射的に辞めないほうを取った。
数秒後には後悔したが自分の口から出た言葉を撤回する間もなくその日の練習に合流させられた。明日休んだら顧問の奴に絶対何か言われる。そう思ったら行くしかなかった。彼に会うまで残りのお菓子は食べないでおこうと思い明日の準備をし寝ることにした。
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