第699話 マジックバッグを作ろう!
とうとう虎徹さんが宇宙刑事サイダーの衣装をゲットした。しかし話の流れでなぜか俺と清光さんが『金カプセル漢気三本勝負』をするハメに・・・。
釈然としないものはあるが、とりあえず勝負は一週間後ということになったので、俺達はいつもの生活へと戻った。
親父とグミとチェリンを4階層まで送って、俺だけ部屋に戻り、時空魔法のレベル上げをする為に青結界を張りながら、教科書に誤字脱字が無いかチェックする。
残念ながら尾張には印刷技術など皆無なので、完成した教科書を量産するのはカメラを使った強引な手法しかない。
しかしカメラはカーラが尾張に持って行ってしまったので、帰って来るまで量産する事が出来ないという・・・。
仕方がないので、恥をかかないよう誤字脱字のチェックに集中しまくった。
・・・・・
そうこうしている間に夕方になっていたようで、突然虎徹さんが部屋に現れた。
「うわっ!なんで寝そべった状態で出現するんですか!マジでビックリした!!」
「エネルギー切れだ・・・。まさかここまで消耗するとは・・・」
「でも転移には成功したんですね。そうか、もう17時30分だったのか」
「サイダー・ブルーアイスフラッシュは圧巻だったぞ!一撃であのゴーレムが粉々になったぜ!」
「そりゃ凄いですね!硬い敵であろうとも爆砕するのか~。流石は必殺技だ!」
ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ
フォーー フォーー フォーー フォーー フォーー フォーー
「うおっ!一体何事だ!?」
「通信機の呼び出し音です。お迎えの催促ですね」
「メチャクチャうるせえな!!」
「あれでも音量を目一杯下げてるんですよ?」
「つーか、また通信機をゲットしてたのか!お前だけすりーぞ!」
「レジェンドの青カプセルから出たので、回せさえすればワンチャンありますよ」
「青カプセルかよ!流石はレジェンドだな~」
4階層に転移して、親父達を連れ帰った。
「コテツくんが床に転がってる」
「サイダーの格好じゃないわね」
「おそらく必殺技を使った後なのだろう」
「先輩~、エネルギー切れ直後の脱力感ってマジでヤバイっスね・・・」
「結構キツイだろ?まあでも30分で立てるようになる」
「そういや親父も大バカ殿様に戻ってるな。必殺技なしでも活動限界があるん?」
「ビームソードさえ光らせなきゃ、たぶん丸一日大丈夫だ。明日試してみるか」
そんな会話をしながら虎徹さんの回復を待ち、18時過ぎには流星城に帰ることができた。
―――――そして翌日の朝、虎徹さんに事件が起きた。
「昨日遠江に帰ってから体術のレベルが育ってるかチェックしてたんだけどさ、驚くことに加護が増えてやがった!!」
「「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
マジかよ!!
・・・あ、もしかして宇宙刑事サイダーのコスプレをしたせいかも!?
前回やったように、虎徹さんに『やっぱりコスプレするのが条件かもしれません』と紙に書いて見せると、また『そんなバナナ』と返された。
でも首を捻って少し考えた後、『有り得なくもない』と追記した。
コスプレ後にGETしたのも事実なので、少しは信じてくれたのかもしれない。
「で、何の加護だったんですか?」
「ああ、『アストラングの加護』って書いてあったから、名前じゃ判断できなくて自分で調べたんだけど、氷に特化したタイプの加護っぽい」
「へーーーーー!水属性じゃなくて氷属性って感じなの?」
「うむ。宇宙刑事サイダーを手に入れた直後にこんなんが出たからさ、サイダーの特典みたいなヤツなのかと思ってた」
そして紙に、『でも確かにコスプレも有り得る』と書いた。
なるほど!氷系のヒーローであるサイダー絡みって考えも一理ある。まあどっちにしてもコスプレ後に加護を得たのだから、俺の説に信憑性が出たな!
でも良かった・・・。
時空魔法をGETしたことで虎徹さんが持っている加護と丸被りし、付与魔法まで使える分、俺の方が優遇されている状態だったんだよね。
氷特化の加護を得たことで俺と同数になったし、他の人とはまた違った道が開かれたのだから、変に気を使わなくてもよくなったと言えるだろう。
まあ、気にしすぎかもしれんけどさ。
とにかくこれで、気兼ねなく時空魔法のレベル上げができるぜ!
ただやることは昨日と一緒で、虎徹さんが部屋を飛び出して行くのを見届け、親父達を4階層に送り、俺は一人で時空魔法のレベル上げだ。
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そんな日々のルーティンをこなしてるうちに、とうとう時空魔法のレベルが6まで上がった。
・・・そう、マジックバッグに挑戦する時が来たのだ!
時空魔法を強化する為の指輪を全て装着していることを確認した後、マジックバッグに入っている普通のリュックや手提げ鞄などをポイポイ出していく。
失敗すると破裂するって虎徹さんが言っていたので、何度か貸し出して少し薄汚れている手提げ鞄を手に取った。
もっと汚れているリュックとかもあったんだけど、背負うタイプは貴重品なので、実験に使うのは手持ちタイプの鞄からだ。
フム。どうすりゃいいんだこれ?
鞄の中の空間を広げろって言われてもな・・・。
よく分からんけど、鞄の中に手を突っ込んでみた。
そして空間を広げることだけをイメージをしながら集中してみる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
お?なんか今ちょっと広がったような気がしたぞ!
最初はほんのちょっと空間を抉ったような感覚だったんだけど、次第にコツが分かってきたので、大胆にグイグイ拡張していく。
なるほど!こんな感じで容量を広げていけばいいんだな。
よし、ギリギリまで攻めてみるか!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
結構広がった気がするんだけど、鞄の限界がさっぱり分からん。
パンッ!!
「うおっ!破裂した・・・」
えええええ!?いきなり破裂するって酷くね?
ストップするタイミングが全然分からんかった・・・。
ちきしょーーーーー!もう一回だ!!
今度は、新品だけど色のセンスが悪すぎて誰も欲しがらない鞄を手に取った。
破裂した時かなりの衝撃があったので、あまり深くまで手を突っ込まない方が良さそうだな。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
鞄をいくつも破壊しながら、少しずつコツを掴んでいく。
本当に容量ギリギリまで広げることにも成功したが、ギリギリすぎてもダメみたいで、アイテムを入れた瞬間鞄が破裂してしまった。
というわけで、結構限界まで容量を広げつつも破裂しないポイントを探し出すことに集中し、ようやく満足のいくマジックバッグを完成させることが出来た。
「よしッ!これは文句なしのマジックバッグだろ!!」
その感覚を忘れないように、何個もマジックバッグを作り続けた。
・・・・・
「何だこりゃ!?」
「ゴミだらけ!!」
「散らかしたら掃除しなきゃダメじゃないの!」
4階層から戻って来た途端、チェリンにお叱りを受けた。
「待ってくれ!これには深い理由があるのだ」
「ビリビリに破けた布だけじゃなく、手提げ鞄やリュックも転がってるな」
「鞄を壊して遊んでたの?」
「そんな不毛な遊びに何の意味が・・・・・・、あっ!!」
三人が顔を見合わせた。
「「マジックバッグ!!」」
「正解だ!とうとうマジックバッグを作ることに成功したぞ!」
この三人だけじゃなく、ミスフィート軍の皆もすげー驚くだろな!
帰国組が戻って来る日が待ち遠しいぜ!!
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