第667話 時空魔法

 時空神ライオスの加護だって!?死ぬほど格好良いんですけど!!

 興奮し過ぎて頭が回らねえ!時と空間に関する魔法が使えるようになるのか?



「おい、【時空神ライオスの加護】って書いてあるが、何なんだそれは?」

「ウソ!?加護まで当たったりするの?しかも神様の加護って凄すぎない!?」

「普通は精霊の加護だよねえ?神様の加護なんてあったんだ!?」



 そうそう!


 アリアの世界では『加護』といったら神様の加護が当たり前なんだけど、向こうの世界の神様は猫ちゃん一人しかいないので、それじゃあ管理が大変だってことで、精霊にお任せしてるんだってさ。


 だからチェリンやグミなんかが生まれた時から持ってるのは精霊の加護なのだ。


 とはいっても、パメラの魔法の威力を見た限りではアリアの魔法に全然負けてないんだけどね。すなわち猫ちゃんが創造した精霊が超高性能なのだろう。


 あ、ニャルルだけは猫ちゃんの加護をもらったみたいだけどな。

 実際に空を跳ねまわってたのを見たし、アレは本当に別格と思っていいだろう。



「こっちの世界では加護といったら神様の加護なんだ。でもウチの魔法部隊の凄さを知ってるだろ?ぶっちゃけ性能はほとんど変わらんぞ」

「あ、そうなの?それを聞いてちょっと安心したわ」

「へーーー!そうなんだ!?でも時空神ってなんか凄そうな名前だね!」

「時空か・・・。凄そうではあるが俺にはさっぱり想像出来んな」



 そんな会話をしていると、カプセルがポフッと無くなった。

 物が残らなかったのが不安になって、ステータス画面を開いた。



「おお!【時空神ライオスの加護】ってのが増えてる!!でも魔法欄には何も追加されてないな。何かそれっぽい魔法を使ったら出現する感じか・・・」



 ・・・・・・いや、ちょっと待て。



 『時空神ライオスの加護』って名前のインパクトが強烈過ぎて混乱してたけど、虎徹さんが使う魔法って確か時空魔法じゃなかったか?


 ウソ!?これなの?・・・マジで!?

 俺も虎徹さんみたいに『転移』とか出来るようになっちゃうの!?



「何をニヤけてやがるんだ?」

「なあ親父、俺達はどうやってこのダンジョンにやって来た?」

「ボケたのか?虎徹くんに連れて来てもらったんだろうが」

「時空魔法でな」


「「・・・・・・・・・・・・・・・」」



 三人とも無言になった。もちろん今の言葉で察したからだ。



「今の大当たりのお陰で、お前も瞬間移動が使えるようになったのか!」

「ちょ、ちょっと凄すぎない!?大当たりにもほどがあるわ!」

「レジェンドガチャって凄いんだね~!」

「いや・・・、ああ、レジェンドガチャが凄いのは事実だけど、いくら何でもこれ程の大当たりは奇跡以外のナニモノでもないと思う。ちなみに虎徹さんと同様のことが出来るようになるには、時空魔法を生やしてから相当特訓しないと・・・」

「なるほど、まだ何も出来ないというわけか。魔法ってどうやって生やすんだ?」

「たぶん初歩の時空魔法を使えば魔法欄に出現するハズ」


 そもそも簡単な時空魔法なんてあるのか?

 虎徹さんに話を聞いてみたいけど、まだ彼が来る時間じゃないしな~。


「といっても、どういうのが簡単な時空魔法なのか想像もつかん・・・」

「時空か・・・。『時』は分かるが『空』って何なんだ?」

「空間だと思う」

「私の知ってる魔法とあまりにも違い過ぎて、本当に想像もつかないわね」

「全然わかんない!!」



 転移魔法に『時』は関係していないような気がするんだよね。

 おそらく空間を超える技だ。


 あ、そうか!超える空間の距離が短ければ今すぐ成功する可能性があるな。


 しかし『時』を操るのってヤバイ気がしないか?

 どう考えても神業だ。人間が使っていいような魔法じゃない気がする。


 ゲーム的思考で思い浮かぶのは『ヘイスト』や『スロウ』なんだけど、自分の時間を速くすると一気に老化する可能性がある。逆に自分の時間を遅くすれば、周りの人達が老化して最悪なことになりかねん。


 無限にリポップする魔物に『スロウ』を掛けて動きを遅くするって使い方ならリスクが無さそうではあるが、まずはそんな事が出来るのかどうかだな。


 少なくとも自分の時間を操作するのは危険すぎる。

 たった一度の失敗が致命傷になるからな・・・。


 ましてや時を止めるなんて論外だ。


 まず時を止めるってだけで異常なほどMPが必要になるだろうし、例え成功したとしても、静止した時の中で自分だけが動ける保障も無いし、失敗すれば自分だけ永久に止まってしまうリスクだってある。当然誰も助けてくれない。


 時間を操る魔法に手を出すならば、絶対に先行者である虎徹さんに相談しなければダメだな。せっかちだけど意外と聡明だから、彼もそっち系には手を出してない気がするけど。


 ルーキーどころかまだデビューすらしてない俺が手を出していいとしたら、空間魔法の方だろう。本来ならこれも十分危険なんだけど、前に虎徹さんが、着地座標に障害物があったら位置を修正してくれるようなこと言ってたし。


 やっぱ先人の存在は偉大だ。

 希少な魔法故に師匠もおらず、危険を承知で先へ進んだのだからな・・・。


 よし、いっちょやってみっか!


 部屋を見渡し、ガチャ部屋の奥の空いたスペースに飛んでみることに決めた。



「転移!」


 シュッ


「うおっ!」


 いきなり目の前に壁が出現してビックリした!



 後ろを振り返ると三人の姿が見えた。

 どうやら転移に成功したみたいだ。


 ああ、なるほど!

 どうやら着地した時の自分の向きもイメージしなければならないようだ。



「なにッ!?今一瞬でそっちに移動しなかったか?」

「転移って叫んでたし、もしかして成功したの!?」

「えーーーーーっ!凄すぎだよ!!」



 ステータス画面を開いてみると、時空魔法Lv1が出現していた。

 

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