第638話 この後、嫁会議をするそうな
先頭バッターの親父がコップ一杯の聖水を飲み干した後、2番バッターかと思われたミスフィートさんは、聖水を・・・飲まなかった。
「妊娠している状態で聖水を飲むのはどうなんだ?少し危険ではないか?」
「・・・あっ!」
その言葉を聞いた瞬間、逆効果となる可能性があることに気付く。
母体が健康になるのは間違いないだろう。しかしお腹の中にいる子供にどんな効果が現れるかなど、まるで予測がつかないのだ。
「確かにおかしな現象が起きる可能性がありますね・・・。ただ健康になるだけかもしれませんが、成長が加速していきなり生まれるなんてことも考えられますし、無かったことにされる可能性だってあります。やってみなければ分からない以上、今は飲まない方がいいのかもしれません・・・」
そうか・・・、聖水のことなんか何も分かっていないのに、健康な嫁が意味の無い冒険をするなど狂気の沙汰だ。
あっぶねえええええええええええええええ!!
嫁達が聖水を飲む前に、勘の鋭いミスフィートさんが気付いてくれて助かった!
「これより緊急の嫁会議を行う!該当者は私について来い。それと現時点で妊娠している可能性がある女性らも会議室に来てくれ!」
今の話を聞いていた嫁達が、ミスフィートさんについて玉座の間を出て行った。
・・・なるほど。
今の健康状態を聞き、体調に問題が無ければ聖水を飲むのをやめ、健康に不安がある人には自分で選択させるといった話し合いをするんだなきっと。
ならば嫁会議の方はミスフィートさんに任せて、俺は残った人達に聖水を飲ませるとしよう。それと今の話を聞き逃した嫁が聖水を飲もうとしていたら、会議室に誘導しなきゃだな。
「よし!妊婦さん以外には全く関係の無い話だから、残った人達は普通に聖水を飲んで健康体に戻すぞ!蛇口は四つあるから、四つの列を作って並んでくれ。それと最初の一口目は、口の中でクチュクチュすることをオススメするぞ!」
「「ウイーーーーーーーーーーーーーーーッス!!」」
当然ながら聖水イベントはメチャクチャ盛り上がり、健康に問題があった者は涙を流した。
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―――――会議室・チェリン視点―――――
「・・・おそらく私の考え過ぎなのだろうとは思う。しかし万が一の可能性を無視することはできない」
「隊長に賛成!難産で赤ちゃんの命が危ないとか、そういう切羽詰まった状態にでもならない限り、とにかく現時点では聖水を飲む必要が無いよね」
「ワタクシは健康体ですので、飲まないことに決めましたわ!」
「でも虫歯を治すくらいならいいんじゃない?」
「確か虫歯って聖水一滴で治るんでしょ?それくらいなら大丈夫そうだけどね~」
「その辺の判断は自分でした方がいいよ。母体が健康な方が元気な赤ちゃんを産めると思うし」
隊長が『妊娠している状態で聖水を飲むのはどうなんだ?』って言った瞬間、すでに例の作戦が始まっていることに気が付いた。
今日到着したばかりだから、いつから作戦が始まったのかは聞いてないけど、今話し合ってる人達はもうすでに小烏丸に抱かれた後って感じだよね?
あああああーーーーーーーーーーもう!!完っっっぜんに出遅れた!!
順番に身分制度があるから、城にさえ居れば、作戦が始まってすぐにでも小烏丸と愛し合うことが出来たのに!
あの輪の中に足軽大将まで入ってるってことは、もうかなり進んでるじゃない!
もう最っっっ悪!!
死傷者を少なくする為だったとはいえ、丹波の攻略に時間を掛け過ぎた・・・。
しかもこの人達、もうすでに妊娠した気になってるじゃない!!
あーーーーーもうっっッ、ムカつくーーーーーーーーーー!!
「チェリンとカトレアは夜伽前だから、むしろ聖水を飲むなら今だな!」
自分の名前が呼ばれたので我に返った。
「あ、うん」
「そうですね。
あ、そうか!!逆に言えば、聖水を飲んだ最高の状態で夜伽が出来るんだ!
他の嫁候補よりも妊娠する確率が高くなりそうじゃない?
「正直ちょっと羨ましい!アタシはすぐ順番が回って来たからさ~」
はあ!?何言ってんのこの人?
「ちょっと待って。どこが羨ましいの?カーラって2番目だったんでしょ?」
「まあね。だから最初は勝ったような気になってたんだけどさ~、リタとリナの体験談やソフィアの夜伽話を聞いて考えが変わったんだよね・・・」
「どういうこと??」
「アタシん時は小烏丸も初心者だったから、言い方は悪いけど雑魚だったの。だがしかーーーし!!少し前にリタとリナが二人掛かりで夜伽をしたら、朝まで蹂躙し尽くされたんだってさ!しかも二日連続でだよ!?」
な、なんですってーーーーー!?
二人同時だから二日連続で夜伽したわけ?いやいやいや、それはズルくない!?
「小烏丸強すぎ問題」
「ド変態の性豪だから気を付けた方がいい。ソフィアもド変態に改造された」
「ちょっと!変なこと言うのヤメてよ!!私は改造なんかされてないわよ!」
ど、ド変態!?
「ね?こんな話を聞いちゃったらもうさ、試したくて試したくて・・・」
「え、えーと、毎日夜伽をしているうちに小烏丸が成長したということですか?」
「アタシの調査によるとね、そこにいる二人と夜伽した辺りから突然強くなったみたいなんだよね~」
カーラが指差したのは今日初めて見た顔で、美人だから気になってた人達だった。
「ん?別に変ったことなどしてないぞえ?とても深く愛し合ったがの!!」
「ご主人様と愛し合った日々は私の宝物だ!軽々しく話すようなことはしないぞ!」
いや、『ご主人様』って何よ!?それに夜伽は一夜限りのハズじゃ?
愛し合った日々とか、何言ってるのか分からないんですけど!
「まあとにかく、成長した小烏丸が天国に連れていってくれるんだから、出遅れて損したなんて考えない方がいいよ。今だからこそ体験できる幸せがそこにある!」
ああ、そうか!完全に出遅れてイラついていたのを見抜かれてたんだ。
カーラ、気を使わせちゃってゴメン!本当にありがとう!!
・・・でも旦那様が性豪でド変態って、私一体どんな事されちゃうのよ!?
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