第639話 ル、ルシオが・・・・・・
祝勝会は結局、途中で嫁会議に突入してしまったのもあり、聖水イベントの終了時点で解散することとなった。
本来ならその後に大福や果物を食べて盛大に盛り上がる予定だったんだけど、まあそれは次の日でも構わんか。すでに切ってある果物でも、マジックバッグに入れれば劣化は最小限で済むのだ。
そして問題の嫁会議の結果なんだけど、とりあえず夜伽前の妊娠していない人は皆聖水を飲むことになり、夜伽後の人は全員が聖水イベントを回避した。
身分制度があるので帰還組によって順番が入れ替わり、すぐにでもチェリンやカトレアが対戦相手になるのかと思ったけど、恒例の精神統一があるので、チェリンとの対戦は二日後になるようだ。
というわけでその日は予定通りの嫁と夜伽をし、十分な睡眠時間を確保して学校での仕事を頑張ることが出来た。
「あ、そうだ。今日は山菜づくしだったっけ!夕食が楽しみだな~」
「その後、昨日食べる予定だったお菓子が出てくるんだよね!?」
「んだ。越後で買って来たお菓子だぞ!変な国だったけど面白い国でもあった。また遊びに行きたいもんだ。あ、待てよ?果物もあるからお菓子は明日かもだ」
エルフ達とそんな会話をしながら食堂に入ると、もうすでに結構人が集まっており、天ぷらの匂いで充満していた。
腹を鳴らしながらいつものテーブルに着く。
「小烏丸発見!一緒のテーブルを使っても大丈夫っスか?」
ん?
「ルーシーか、後から親父とグミが来るけど一人分の席なら空いてるぞ」
「良かったっス!」
そういやルーシーって、いつも色んなテーブルを渡り歩いてたな。
落ち着きがないので、同じ場所に住みつかないのだ。
ガタッ
「ふぃ~~~~~~~~~~!」
「今日はゆっくり休めたか?」
「身体の疲れなら昨日の聖水で一気に吹き飛んだんスけど、えーと何て言うんだろ?心が疲れてる感じで、結局ついさっきまで寝てたっスね~」
「そうそう!身体の疲れと精神の疲れって別物なんだよな。まあでもそんだけ寝れば十分回復したろ?」
「もう明日からでもバリバリ働けるくらいっスよ!」
「折角なんだから休暇は満喫しておけ」
「わかってるっスよ!」
久々のルーシーとの会話で盛り上がっていると、ダンジョン組が帰還し、親父とグミが俺達と同じテーブルに着いた。
「親父、今日も新しい果物とか見つかったか?」
「おうよ!明日の夕食にでもと考えてたんだが、特別に見せてやろう!」
親父がリュックをゴソゴソし、とても見覚えがある野菜を取り出した。
「ゴーヤじゃん!!」
「正解だ!ただコイツぁ苦いから、皆あんまり喜ばんかもな~」
「エーーーーー!苦いの?毒なの?」
「いやさすがに毒野菜は食わん!最初は少し抵抗があるんだが、食える食材だと分かっていれば、意外とその苦さがクセになるんだよ!」
「へーーーーーーーーーー!!」
「小烏丸に質問があるっス」
静かに話を聞いていたルーシーが手を上げた。
「どうぞ」
そして、ビシッと親父を指差した。
「この人は何者っスか?何で『オヤジ』と呼んでるんスか!?」
そういや帰還組にちゃんと説明していなかったな・・・。
「紹介しよう。この中年は俺の親父だ。正真正銘、ガチの父親だ!」
その言葉を聞き、ルーシーが大きく目を開いた。
直後に俺の顔を見てイラっとし、勝手にヘルメットとマスクを外した。
そして俺と親父の顔を交互に見比べる。
「確かにちょっと似ている気がするっス!こんなのどこで拾ったっスか!?」
「ルーサイアで拾ってきた」
「拾ったとか言うんじゃねえ!尾張の国で商売してたらコイツが客として現れたんだよ。ああ、小烏丸の親父をやっている『
「あ、ルーシーです!よろしくお願いするっス!」
とまあ、いつもよりも更に賑やかになったテーブルで山菜づくしを満喫した。
そして昨日食べることが出来なかった果物達が皆のテーブルに並べられる。
「さっき食べた山菜もこの果物の山も全部、ミスフィート軍のみんなで京の都ダンジョンの30階層まで攻略して手に入れたんだよ!しかもこの先いくらでも手に入れることが出来るから、遠慮せずに好きなだけ食べてね!」
「「わあああああああああああああああああああああああああああ!!」」
果物が食べ放題と聞き、帰還組から大歓声が上がる。これが毎日食べられるという和泉の報告に誰もが興奮し、果物祭りは大いに盛り上がった。
ただやっぱり今回は果物だけで十分満足しそうだから、大福は明日の夕食後に食べることが決まった。
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一夜明け、今日も十分な睡眠を確保することに成功した俺は、学校でのお仕事を頑張った。
しかし今夜の対戦相手はチェリンなので、おそらく十分な睡眠をとるのは無理だろうな。いや、無理というか、あのメロンを前に俺が正気を保てる自信が無い。
もう間違いなく全開バリバリの大勝負となるだろう。
しかも次の日はあのカトレアだ。あんまりエロそうではないけども、どんな任務でも完璧にこなすあの順応性は、夜伽においても脅威となること間違いなしだ。
明日と明後日は、仕事もお休みかなあ・・・。
そんなことを考えながら食堂に移動し、いつものテーブルに着いた。
「今日も一緒していいっスか?」
「お?ルーシーが二日続けて同じテーブルとは珍しいな。もちろん構わんぞ」
「良かったっス!」
食堂の入り口のドアは基本的に開けっ放しなんだけど、何となく視線を向けると、ピピン達がゾロゾロと入って来るとこだった。
「・・・ん?ピピン隊のヤツら、何だかやけにテカテカしてんな?」
それを聞いたルーシーも、入り口の方に顔を向けた。
「やっぱそういう展開になったっスか。なんかちょっとムカつくっスね!」
「何がだ?」
その時、先頭を歩くピピン隊の二人の後ろから、ボロ雑巾のように朽ち果てたルシオが姿を現した。その左腕にはピピンが絡みついている。
ルシオとは対照的に、ピピンは生気に満ち溢れていてツヤツヤのテカテカである。
「嫁会議で小烏丸の話を聞いた後、アイツら猛禽類のように目を光らせていたっスからね~。おそらく昨日の夕食後から今の今までルシオを喰らってたっス!」
「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
五人同時・・・だと!?
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