第634話 【Mission】 風流を感じろ!
ルシオ達がお風呂に行っている間に、俺は流星城から少し離れた所にある、デカい穴が掘ってある場所まで移動した。
少し前にパメラに頼んで魔法で掘ってもらったのだ。
なぜデカい穴を掘ったのかというと、京の都には海が無いので、大型船を出せないということに気が付いたからである。
大きな穴目掛けて、マジックバッグから大型船を取り出した。
「よし、傾いてないな!」
船に乗り込み、冷凍室まで歩いて行く。
ガチャッ
「本当は冷凍なんかしたくなかったんだけど、長い旅だったのだからしょうがない。解凍魔法も極めてきたし、そんなに味も落ちないだろ!」
旅の仲間達と食べたいのを我慢し、この日の為に温存しておいたリヴァイアサンの肉を、マジックバッグに入れていく。
食べ比べをする為に黒龍の肉も温存してあったので、それもマジックバッグに入れていき、大盤振る舞い用の普通のドラゴンの肉も沢山回収した。
今日の祝勝会はドラゴンづくしだ!
そして越後で大人買いしてきた大福も大放出するぞ!
戻って来てすぐに、お土産を渡したい気持ちは当然あったんだけどさ、リタもリナもチェリンもカトレアもいねえんだもの・・・。
どうせなら全員揃った時がいいだろうと思って、今日まで耐え続けたのだ!
ただ他の国にいる城主達にもご馳走してあげたいから、全部は出さないけどね。
船の甲板にシートを広げ、そこにドラゴンの肉を並べて解凍魔法を使う。
ゼーレネイマスとの戦闘で編み出した『ロードヒーティング』の魔法を応用し、自然解凍に限りなく近い解凍を短時間で終わらせるのが、この『解凍魔法』だ!
最初の頃、力の入れ加減が分からず失敗した事があるので、本番で失敗しないよう地味に何度も練習していたのですよ・・・。
ドラゴンの高級肉で、失敗こくわけにゃいかんからな!
「見た目は問題ナシ。うん、完璧だろ!」
続けて残りの肉とレバーやホルモンを解凍し、最後に大福も解凍した。
絶対腐ると思って冷凍大福にしたんだが、元の味を知らんのだから問題なかろう。
あとは・・・、越後で買った服なんかもあるけど、全員に行き渡るほどの量は無いから、今日は食い物だけにしとくか。
リヴァイアサンの頭部を持って行って自慢するってのも考えたけど、そんな生々しいモノを見ながら肉を食うのもどうかと思ったので、さすがにそれは自重する。
見たいって人がいたら、この大型船の中で見せてあげることにしよう。
というわけで大量の肉を持って城に帰還し、祝勝会のことを伝える為にまずは食堂に向かい、今からやろうとしてる事を料理班に説明した。
「「ドラゴンづくし、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
「祝勝会はココじゃなくて玉座の間でやろうと思ってるんだが、野菜と果物のカットを頼んでいいか?」
「任せて!」
「山菜はどうする?」
「今日は普通の野菜だけでいい。山菜は別の日にでも天ぷらで食べさせてやろう」
「そうだね~!今日はドラゴンが主役!!」
「炭火焼きにするんだよね?準備が大変そうだから半数ほど連れてく?」
「ああ、それは大丈夫だ。チェリン達が帰還した時点でやろうと思ってたから、もうすでに準備は出来てる。あとは炭に火をつけるだけだな」
「へーーーーー!結構前から考えてたんだね!」
「予想外の人形ゲットで、少し狭くなっちまったけどな!」
「あはははははははははは!」
「越後で買って来た甘いお菓子も出す予定だから期待してくれ!」
「「甘いお菓子!?」」
ハハッ!全員が『甘い』に反応しおった。
「じゃあ俺は先に行って会場のセッティングをしてるから、野菜と果物の方は頼んだぞ!」
「はいはーい!」
「頑張ってね~!」
玉座の間まで移動した。
まずはミスフィートさんの部屋に行き、彼女にこの後の予定を報告。
カトレアやチェリンらが戻ったら祝勝会をしようって話は前からしてあったので、すぐにカーラやお嬢らが呼び出され、夕食の時間になったら城内にいる全員を食堂ではなく玉座の間に集めるよう通達された。
それぞれが散って行ったので、俺も玉座の間に戻った。
中央の赤い絨毯に沿うように人形がいっぱい並べられてるのを見て、すげー邪魔くさいと思ったけど、コイツらも賑やかし要員として話のネタになるからな~。
というわけで、人形達の後ろ側にバーベキューコンロとベンチと小さなテーブルをいっぱい並べていく。
今回は俺や料理班が焼くんじゃなく、それぞれが肉を焼いて食うことにしたのだ。
その手間ですら楽しかったりするからな!肉を焦がしても自己責任だが。
それが終わったら、次に巨大タンクをセットする。
この『下の方に蛇口が四つ付いたタンク』は最近作ったばかりなんだが、中に入っているのは聖水だ。大盤振る舞いしてくれた清光さん虎徹さんに感謝!
これは、傷を負った者だけじゃなく、元気な者にも飲んでもらおうと思ってる。
前に聖水を飲んでから結構経っているハズなので、そろそろ身体にガタがきていてもおかしくないだろうからな。
一番気になってるのは親父の体調面だが、ゴマちゃんやシャイナやパメラにもずっと飲ませてあげたかったんだ。
ケンちゃんはいないから知らん!でもダンジョンで過酷な特訓中なわけだから、戻ったら飲ませてやるか。ついでに傾奇者にも。
そういや魔王達って、聖水を飲んでも大丈夫なんかな?
アリアの神様に悪役として用意された種族だから、聖水で逆にダメージを受けてしまう可能性も否定できん・・・。
レムやセレスティーナは懐妊したと断言しているわけだし、少なくとも今は飲ませない方がいいだろな。というかメッチャ元気そうだから飲む必要も無いだろ。
最後に窓を全部開けた。
これをやらんと、玉座の間が煙でモックモクになってしまうからな!
そうこうしている間に結構時間が経っていたようで、城内で寛いでいた者や、風呂上がりの丹波攻略チームが、玉座の間へと集まりだした。
「「ブハッ!!」」
お?ルーシーとピピン隊がやって来たな!
「どうだ?美しい城だろう!」
「なんかデッカイ人形がいっぱい並んでるんですけど!!」
「これのどこが美しいのさ!?」
「小烏丸に騙されたーーーーーーーーーー!」
「やられたっス!全部軍師の罠だったっス!!」
「流石はミスフィート軍のお城だね~。やっぱり玉座の間はこうでなくちゃ!」
「でも今までで一番メチャクチャじゃない!?」
「この美しさがわからないとは哀れな奴らよのう・・・。ああ!向こうの部屋を見れば、お前らでも少しは風流ってのを感じられるかもしれんな」
「なんかムカツクんですけど!」
「向こうの部屋ってアレ?」
「部屋を見て風流なんて感じられるの?」
「さあ?見ればわかるんじゃない?」
「なんか怪しいなあ・・・」
「腹が立ったっス!絶対風流を感じてやるっス!」
ごちゃごちゃ言いながらも、六人のアンポンチンが奥のドアを開け、薄暗い部屋の中へと入って行った。
「「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
わははははははははははははははは!
やっぱコイツらがいると楽しくて最高だな!!
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