第632話 懐かしくも騒がしいアイツらが!
久々のカレーに狂喜乱舞した翌日も、やはりダンジョンには行かずに、建設中の学校で教科書作りを頑張った。
俺が陣頭指揮を執ることで、エルフ達による学校の建築も捗るようになったので、後はパメラやミスフィートさんによる教師育成の完了を待つばかりかな?
ただゴーレムを尾張に置いてきてしまったので、パメラがこっそり見本ゴーレムを作成中ではあるんだけど、ゴーレム教師の育成は学校が始まってからになりそう。
アレは本当に特殊だから、魔法の達人でも覚えるのに一ヶ月コースなのよね。
まあパメラがいれば授業を任せられるし、とりあえず見本ゴーレムさえ完成すれば、生徒どころかミスフィート軍全員の度肝を抜かすことが出来るだろう。
そんな感じで一日を終え、次の日も同じように学校作りに励んで城に帰って夕食を頂き、本日の嫁の部屋へとやって来た。
「グミ、随分と待たせてしまったな。途中でダンジョン攻略が入っちまったし」
「ううん、メロンのためだからしょうがないよ!それに他の城にいる人達を差し置いてグミに順番が回って来たんだから、贅沢だって怒られちゃう!」
「確かに各地の城主達はちょっと可哀相だよな~。果物もそうだし、現地組だけが得してしまっている。落ち着いたら尾張まで城巡りの旅をしてこなきゃな・・・」
こっちの嫁が一巡して学校が始まってからになるけど、その後急いで行くから、もう少し我慢してくれな!
「じゃあそろそろ始めようか」
「うわーうわーうわー!すっごく緊張する!!」
「俺だって緊張しているさ」
「優しくしてね?」
「わかっている」
―――――当然、朝まで蹂躙した。
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ちょうど顔の辺りに日差しが直撃して目が覚めた。
「むぅ・・・」
時計を見ると7時。
それでも2時間くらいは眠れたか・・・。
もう少し睡眠時間を確保することは可能だったんだけど、グミがあまりにも可愛すぎた。気付いた時には外が明るくなっていて、慌てて寝たのだ。
ベッドから降りてガサゴソと着替え、スヤスヤと眠っているグミの頬に軽く口付けしてから部屋を出た。
さてと、今日も学校の続きを頑張るとしますか~。
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充実した一日を終え、エルフ達と一緒に城まで帰還すると、何やら城門前がやたらと混雑していた。
何事かと訝しんだが、次の瞬間とても懐かしい顔を発見し、この集まりが丹波の国を攻略していた軍団だということが分かった!
「久しぶりだな、ルーシー!」
「・・・ん?誰かウチを呼んだっスか?」
キョロキョロと周囲を見回していたルーシーが、とうとう俺を見つけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんか固まってるぞ。
まさか俺の顔を忘れたのではあるまいな?
タタタタタタタタ ガシッ!
「おっと!」
「小烏丸だあああああああああ!うわあああああああああああん!!」
まさか、あのルーシーが泣きながら胸に飛び込んで来るとは思ってなかったので、ちょっとよろけてしまった。
「おかえ・・・、いや違うな。ただいま!!北の果て北海道から、大型船で海を越え、俺はとうとう皆の元へと帰って来たぞ!」
「うぅぅ、ぐすっ、ぐすっ」
「らしくないな?ルーシーのくせに普通の女の子みたいだぞ?」
「酷いっス!ウチは元から普通の女の子っスよ!」
「そうそう!やっぱりルーシーは、その口調じゃねえとな!」
そしてルーシーがココにいるってことはだ。
やっぱりアイツらもいた!ピピン隊だ。
「あーーーーーっ!小烏丸だ!!」
「ホントだ!やっぱり帰って来てたんだね~」
「レア物発見だーーーーー!捕まえろーーーーー!」
「いや、捕まえろって!別に逃げないと思うけど・・・」
「お風呂前だからクッサイままだけどいいの?」
「小烏丸だよ?全然問題なし!突撃ーーーーーーーーーー!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
いやちょっと待て!
クッサイのはイヤなのおおおおおおおおおお!!
・・・でもずっと戦っていたのだから、しゃーないよな。
クッサイのも戦士の勲章だ。今日くらい受け止めてやるさ!
ドン! ガシッ! ダンッ! ゴスッ! ドゴーーーン!
「ごふッッ!!」
ちなみに最後のドゴーーーン!は、ピピンの頭突きがみぞおちに入った音だ。
視界の半分を奪われた状態から、危険を察知したルーシーが寸前で躱しやがったせいで、腹筋に力を入れることすら出来なかったじゃねえか!!
衝撃耐性の付いた服を着ている俺に頭突きでダメージを与えるとは、かなりパワーアップして帰って来やがったな・・・。
つーか頭から突っ込んで来るのがそもそもおかしい!絶対わざとだろ!!
「ふぅ、やっと息ができるようになった」
ピシッ
「あいたッ!」
ピピンにデコピンをくらわせてやった。
「頭から突撃してくんじゃねえ!死ぬかと思ったわ!!」
「アーーーーーッハッハッハッッハ!」
やっぱり頭突きはわざとかい!
「ところでこの人数で京の都に帰って来たってことは、丹波の攻略が完了したってことだよな?」
「うん!」
「うん!って、それだけかよ!」
「バッチリ制圧完了よ!報酬を約束して留守兵も残して来たから、向こうは心配いらないわ」
「長い間戦争に明け暮れていたから、もう帰りたくて帰りたくて・・・」
「とにかくお風呂に入りたくて、急いで帰って来たんだよ!ここはレイリア城じゃなくて京の都のお城ですけど!」
「でもこの城も、レイリア城と同じくらいデカいっスね~」
「中もめっちゃ綺麗だぞ?玉座の間の美しさを見たら、お前ら全員感動して泣くかもしれんな~」
「「へ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」」
クックックック。
俺がミスフィート軍の軍師だってこと忘れてるだろ?
会話の中にサラッと罠を仕掛けるくらい造作も無いわ!
「・・・え?小烏丸さん!?」
名前を呼ばれたので視線を向けると、そこにいたのは黒の軍服を纏った美男子。
俺の代わりにミスフィート軍の頭脳となってくれた、ルシオだった。
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