第625話 お菓子パーティー

 ポコポコちゃんから練乳を入手した後、次はケロケロちゃんからマーベラスなチョコレートをゲットしようと、大きな箱の上に仰向けにして背中の扉を開けた。



 ジャララララララララララ



「コレは間違いなく女の子達が喜ぶぞ~」

「でも人形1体分だからなぁ、皆で分けたらすぐ無くなっちまいそうだ」


 あの危険な階層のボスの取り巻きだったし、かなりの希少品だよな~。


 ちなみにチョコが割れそうだったので、扉の下に右手を出してワンクッションさせている。赤い流星の白い手袋は汚れ耐性付きだから汚くはないぞ!



 ジャララララララララララ



「止まらんな・・・」

「もしかしてコイツも練乳と一緒なのか!?」



 ・・・最終的に人形3体分くらい出た。



「物理法則を完全に無視してるな」

「もしかしてお前のバッグみたいな現象なのか?」

「なるほど、そうなのかもしれない。とは言っても微妙な容量だけど・・・」

「デカくて嵩張るから、バッグとして持ち歩くのもどうかって感じだ」

「こんな大きなカエルの人形を連れて歩くのもちょっとアレだし、背中の扉が15センチくらいの幅しかないから、地味に使いにくいんだよな~」

「山菜や小さな果物の回収に使えないこともないが、たぶんデカいシートで運ぶ方が楽だと思うぞ」



 そんな会話をしながら、風邪薬とピーナッツチョコを回収した。

 想定外の量を手に入れられたので、メッチャ得した気分だ!


 そして親父と二人で他の人形達の背中をチェックしながら歩いたけど、扉付きの人形はもう1体もいなかった。


 着ぐるみ系はチャックが付いていたけど中身は空っぽだったので、たぶん着ぐるみとして使えってことなんだと思う。


 少なくとも俺は使わんけどな!


 最後にサンダー大佐の唐揚げチキンを回収すると、やっぱり三倍の量を入手することが出来た。なので、あと2個まで食っていいってことにした。



「お待たせしました!回収したお菓子を並べますので、食べてみて下さい!」



 唐揚げチキンの横に、チョコレートの箱を並べた。

 風邪薬の箱はもう少々お待ちを!



「お菓子だーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「この色とりどりの綺麗な粒がお菓子なのか!黒いのは食っても大丈夫なのか?」

「確かに見た目はちょっとアレですが、美味くてビックリしますよ!」

「やっぱそうだよな・・・。普通は大量の黒い粒を食おうとは思わんか」



 今がチャンスと、トイレに行くふりをして自分の部屋に駆け込み、猫ちゃんに風邪薬の正体を聞いてみる。



『おお!ケロケロちゃんと佐藤ちゃんの秘密に気付いたでござるか!』


「秘密って、お菓子が入ってることですよね?あの風邪薬を齧ったらラムネの味がしたんですけど、アレは風邪薬なのですか?ラムネなのですか?」


『なるほど!その確認の為の通信でござったか。アレはラムネだから全部食べても大丈夫でござるよ。虫歯になっても自己責任でござるが』


「あ、やっぱりラムネだったんですね!教えて頂き感謝します。それにしても、サンダー大佐の中に唐揚げチキンが入っていたのには驚きました!」


『サンダー大佐を倒して機能が停止すると、中のお肉の鮮度を維持出来なくなるでござる故、腐る前に全部食べ切るでござるよ?』


「そういう仕様だったんですね~。でもあまり聞き過ぎるとダンジョン攻略の楽しみがなくなってしまいますので、質問はこれくらいにしておきます。情報提供ありがとうございました!」


『頑張って作ったダンジョンを楽しんでもらえて拙者も嬉しいでござる!また何か分からないことがあったら、気軽に質問するでござるよ!』


「はい!その時はまたよろしくお願いします。では!」



 通信を切った。

 よし、急いで戻ろう!




 ・・・・・




 ミスフィートさんとグミがチョコレートに夢中になってる間に、そっと親父に耳打ちした。



「後でちゃんと説明するが、風邪薬の正体はやっぱりラムネだった」

「・・・誰かに聞いてきたんだな?それならば彼女達の前で余計なことは言わないでおこう」

「和泉と三人になった時に話す」

「わかった」



 そうこうしている間にカーラやお嬢達も起きてきたので、お菓子の箱なんかは階段の下に移動し、玉座の間は朝からお菓子パーティー会場となった。


 もちろん唐揚げチキンも大好評だぞ!



 プルルルルル



「何だ?通信機が鳴ってる。一体誰だろ?」



 さっき猫ちゃんが大事なことを伝え忘れたとか?



「はい、こちら小烏丸ドーゾー」


『お?元気そうな声ってことは、もう起きてたのか!』


「あれ?その声は虎徹さん!?」


『よくわかったな!ってか応答前に本体のランプをチェックしろよ』


「あ、忘れてました!ところでこんな朝早くからどうしたんですか?」


『遊びに来た。今京の都の城の前にいる』


「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」



 いきなり虎徹さんが城に遊びに来ただとお!?

 京の都までの機関車は軍関係者以外使えないハズだから、バイクで来たのか。



『大和の国は放置されてたけど、京の都はもう道路が完成してんのな!』


「あ、やっぱりバイクで来たんですね~!っていうか、すぐ近くにいるのに通信機で話すのもアレなんで迎えに行きます!」


『おう、頼むわ!』




 急いで城門までダッシュした。




「ようこそ京の都へ!お久しぶりです虎徹さん!」

「甲斐で遊んで以来だな!相変わらず元気そうで何よりだ!」

「来るなら言ってくれれば、機関車に乗れるよう手配しましたのに」

「驚かせようと思ってさ!国境を通過する時に通行許可証を見せてっから、連絡が来てる可能性もあったけどな~」

「いあ、さすがに門兵に持たせるほど通信機余っていませんし。そうそう!今ですね、玉座の間でパーティーしてるんですよ!見に行きません?」

「パーティーだあ?こんな朝から??」

「ちょっと面白いモノを入手しましてね。とにかく移動しましょう!」

「ほうほうほう!」



 虎徹さんを連れて玉座の間に向かう。


 京の都の新しい城の出来栄えに、虎徹さんも関心しっ放しだった。

 俺は築城に関わってないんだけど、褒められて悪い気はしないね。


 そして扉が開いたままの玉座の間に入った。




「なんじゃこりゃあああああああああああああああ!!」




 超絶カオスな玉座の間を見た虎徹さんが叫び声をあげた。



 わはははははははははは!

 ホントいいタイミングで現れたよな~、この人!!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る