第602話 リタ&リナの帰還
朝から玉座の間に集まっていたのは、河内の国を落として更に和泉の国へと攻め入っていたリタ&リナ達だった。
「おかえ・・・いや、ただいま!ミスフィート軍軍師小烏丸、ようやく北の果て北海道から、いくつもの国を渡り歩いて皆の元へと帰って来たぞ!」
「「うわあああああああああああああああああああああああ!!」」
うおッ!!
なぜか男連中が胸に飛び込んで来て、一瞬にして周囲が男臭くなった。
いやいやいやいや!そこはリタ&リナによる歓迎じゃないのかよ!!
しかもコイツら、到着したばかりでまだ風呂に入ってねえな!?
ああ、だからリタとリナは向こうで大人しくしてるのね・・・。
「皆、あの時よりも更に逞しくなったな!和泉の国は制圧完了したのか?」
「もちろんですともッ!!皆疲れていましたが、小烏丸さんが帰還したとの知らせを聞き、一瞬にして軍の士気が最高潮となりましたからね!しつこく粘っていた聖帝軍の兵達を一気に殲滅し、長き戦いに終止符を打ちました!」
「そうか、皆よくやったな!そしてリタとリナ、本当に長い間お疲れ様!」
見ると、彼女達は顔を真っ赤にして目を潤ませていた。
「うぐっ・・・、やっぱり我慢出来ない」
「小烏丸!!」
タタタタタッ
「「うわああああああああああああああああああ!!」」
結局リタとリナも輪に加わり、それから30分近く俺の冒険譚で盛り上がった。
・・・・・
「軍師も参謀もいない状態でよく頑張ったな!」
「大抵は力押しでなんとかなるけど、策を使う武将が立て籠もる城を攻めるのが大変だった」
「ヒューリックがいなかったら、大きな被害を受けていたかもしれない」
「なるほど、元大名だけあってヒューリックには経験があるからな」
「いえ、私の策など敵の軍師が健在なら通用しなかったでしょうな~。留守役程度の武将だったから敵の動きも読めましたが、小烏丸様のように奇想天外な策を用いられれば、簡単に踊らされて大打撃を受けたことでしょう」
「聖帝が名のある重臣達をほとんどレイリアの地に連れて来ていたのが大きかった。あの
「でも和泉国を任されていた部将イーノッグは強敵だった」
なんか不思議と聞いたことあるような名前だな。
「そうそう!最初に戦った時、なぜか雑兵みたいな装備だったから皆でボコボコにしたんですけど、『神は言っている。ここで死ぬ定めではないと』とか言って、一目散に逃げられてしまいましてですね・・・」
「その次出会った時は、全身ミスリル装備になってた」
・・・おそらく、人の言うことを聞かない人物なのだろう。
最初は『大丈夫だ、問題ない』って適当装備で出陣したはいいけど、フルボッコにされて反省したのか、『一番良いのを頼む』と言って最強装備に替えたんだな。
「でも最後には倒したんだろ?」
「倒したというか、崖の下に落ちてった」
「動きが速いしすぐ逃げるから挟み撃ちにしたんだけど、崖の側まで追い詰めたら足を滑らせて落ちた」
「底が見えないほど深い谷に落ちて、生きているとは思えないけど・・・」
「どちらにしても無事では済まないから、もう脅威じゃなくなった」
「なるほど。たとえ生きていたとしても五体満足とはいかんか」
何だかすごく面白そうな武将だな!そいつは俺も一度見てみたかった。
「おお、リタとリナじゃないか!それに他の皆も!!」
声のした方を見ると、そこにいたのはミスフィートさんだった。
スチャッ!
「「和泉国の制圧、完了致しました!」」
「そうか、ご苦労だった!まずは風呂に入ってサッパリして来るといい。食事はその後にしよう。疲れているから早く休みたいだろうが、二人に少し話があるので、リタとリナは食事の後、会議室に向かってくれ」
「「ハッ!」」
嫁会議のような気がする・・・。
リタとリナが嫁候補なのかどうかは聞いてないけど、たぶん間違いない。
いや、増えるのがリタとリナだけとも限らないな。
和泉の国を攻略していた初期メンバーの女の子達の中にも、嫁候補が何人もいるんじゃないだろうか?
ミスフィートさんに報告する為に主要人物を何人か残して、他の人達は先に風呂に行かせたらしいから此処にはいないんだけど、該当者は会議に参加しそうな予感。
うがーーーーーーーーーーーーーーー!
残りの嫁の数が減ってきたと思ったのに、援軍到来ですよ!!
もう複数嫁とバトルしなきゃ追いつかないのでは!?・・・そうもいかんか。
そして大浴場でサッパリして来た戦士達が食堂に集まった。
長い
「・・・ん?」
ボヤッキーらはどこで食べているのかとキョロキョロしていたら、入り口付近のテーブルに着いている彼らを発見した。
―――――しかし、そこはいつもの男臭いテーブルではなかった。
ボヤッキーの隣にもヒューリックの隣にも女の子が座っているのだ!!
もしかして、アイツら彼女ができたんか!?
居ても立ってもいられず、彼らのテーブルに突撃した。
「うおーーーーーーーーーーーーい!コレは一体どういうことだ!?」
美味しい料理に舌鼓を打っていたボヤッキーらが、大騒ぎしている俺を見た。
「・・・コレとは?」
「俺が知っているボヤッキーテーブルは、いつも男の園だったハズだ!」
それを聞いたボヤッキーがニヤリと笑った。
「小烏丸さん、俺がいつまでも独り身だと思ったら大間違いですよ!せっかくなので紹介します!俺と将来を誓い合った最愛の人、ドロシーちゃんです!」
「貴方のお噂は数え切れないほど聞いてるわよ~、ドロシーで御座いますわ。よろしくねえん!」
「あ、ああ、よろしく。随分とお色気ムンムンの嫁さんだな・・・」
「よよよ、嫁!?いや、夫婦になると誓い合ってはいますけど、まだ結婚してませんです!!落ち着いたら結婚しようと話し合ってる段階でしたので・・・」
「ハッハッハ!
「た、確かに!!」
思えば俺の嫁さんにこういうお色気ムンムンタイプっていないから、なんかすげー羨ましいんですけど!!
「しかし、どこで知り合ったんだ?此処にいるってことはそれなりの身分よな?」
「ヒューリックの紹介です!伊勢軍で侍大将だった女性ですので、こう見えて実は凄く強いんですよ?」
「なるほど、伊勢出身の武将だったのか~」
ヒューリックに目線を移した。
「ということは、ヒューリックの隣にいる女性も?」
「紹介します!同じく伊勢軍で侍大将だったルミナ。私の元に嫁に来てくれることになりました!」
「ルミナです!赤い流星伝説は毎日のように聞かされてますので、実物に会うことが出来て光栄です!」
「よろしく!しかし赤い流星伝説って、変なことまで吹き込んでないよな!?」
「え?そんなことは・・・、ハハハハッ!」
「「ハッハッハッハッハッハッハッハ!」」
オイ!!めっちゃ誤魔化されてないか!?
しかし、ようやくミスフィート軍も少し落ち着いてきて、周りの人達が将来を考えるようになったってのは感慨深いな。
そして子供達が生まれ、俺達の物語は次世代へと受け継がれて行くんだ。
・・・でも俺の子供の割合だけ高すぎね?いや、まだ生まれてないんだけどさ。
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