第601話 くっころさんが本気で創った世界
初夜を街のど真ん中で公演するという、キングオブ予想外のとんでもない事態になったものの、そんなモノはただの始まりに過ぎなかった。
なんせ我が家は小さな物置ハウスだ。
布団だけはあるので夫婦の営みも可能なんだけど、セレスティーナは常に野外での対戦を希望した。
当然始める場所も固定などされていなくて、あらゆる場所で突発的に開戦してしまうのだ。
この『くっころワールド』の住民は幻影なんだけども、なぜか老若男女の全てがやたらと好奇心旺盛で、くっころ過激団の公演が始まると会場は毎回大勢のギャラリーに囲まれ、罵声や嘲笑や冷やかしの言葉を浴びるとんでもない仕様だった。
ただし幻影なので、ガンガン
流石はくっころさんだ・・・。
寿命を50年ぶっ込んだだけあって、圧倒的変態ワールドがそこにはあった。
「昨日の銭湯は素晴らしかったな!今日は男湯に入ろう!」
「四方八方から滅茶苦茶
「それが良いのではないか!だがご主人様が全開となった契機が気になる。なぜ幼女に囲まれた場面で・・・、ハッ!まさかつるぺた属性は完治していないのか!?」
「俺はパーフェクト小烏丸だ。変態紳士を捨てたのではなく、変態紳士のまま更なる高みへと到達したのだ。この世界での貴重な経験は、これから先の嫁バトルで必ず生かされることだろう。セレスティーナ、本当に感謝するぞ!」
いや、まだパーフェクトを名乗るのは早計か!?若干ぽっちゃり体形の嫁はいるけど、それ以上の丸々とした女性との対戦が未経験だ。
嫁の全てが軍人ってのもあるけど、この弱肉強食の世界では基本的に誰も太ってる余裕がないんだよね。
しかしそれはまあ、愛さえあれば何とでもなるだろう。
パーフェクト小烏丸を自負しつつ、俺はそこから更にもう一段成長してみせる!
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それから一ヶ月の間、くっころさんと共に毎日厳しい特訓に明け暮れ、どんな場面であろうとも臨機応変に対応し、完全に場を支配する圧倒的王者の風格を出すまでに成長し、更に何度でも立ち上がるタフネスさをも手に入れることが出来た。
ガチャッ
「ご主人様!とうとう孕んだぞ!!」
トイレのドアを開けられ、嬉しそうにそう告げられた俺は固まった。
「あ、ああ、おめでとう!」
「おそらく、いや絶対間違いない!胎の中に生命の鼓動を感じるのだ!」
「それは良かった。ところでドアを閉めてくれませんかね?」
「一ヶ月頑張った甲斐があった!魔王でも孕むことは可能だったのだな!!」
「俺も嬉しいよ。ようやく肩の荷が下りたとでも言おうか・・・。ということで、トイレから出て行ってくれないか?」
「順番的にしょうがないとはいえ、レムに一歩遅れをとったのは正直悔しかった。しかしこれで彼女とは互角だ!帰ったら妊娠報告をして驚かせてやろうな!」
「もしかして新手の嫌がらせですか!?そろそろ勘弁して下さい!!」
10分後にようやくセレスティーナがトイレから出て行ってくれたものの、その頃には便意が消失してしまい、気持ち悪いままトイレから出た。
「なあご主人様!孕んだ後はもう子作りしない方がいいのか?」
「しない方がいいだろうな。もうそれ以上なんて無いんだから、流産のリスクを背負うだけだと思う」
「流産だと!?それは絶対にダメだ!じゃあもう元の世界に帰ろう!」
「一ヶ月まであと2日くらいあるけど、確かに早く帰って安静にした方がいいな」
「ご主人様、早く服を着るのだ!」
「・・・自分が裸族だったこと完全に忘れてた」
約一ヶ月ぶりに赤い流星が復活した。
ついでに女騎士も。
「忘れ物はないハズだ」
「では戻るぞ!」
ヴォン
景色が一変し、物置ハウスのしょぼくれた部屋から『流星城』にあるセレスティーナの部屋に帰って来たことがわかった。
「ただいま!」
「おお~、久々にこの部屋に帰って来たぞ!」
「あれ?向こうでは何時くらいだったんだろ・・・」
もう毎日まったく時間を気にせず、朝だろうが夜だろうがあっちで子作りこっちで子作りというとんでもない生活を送っていたので、マジでさっぱりわからん。
・・・まあ適当でいいか。結構目覚めてすぐの時間だったハズ。
時計を見ると、6時ちょっと前だった。
ならもう普通に朝目覚めたようなもんだよな。
「さっき起きたばかりで全然眠くはないのだが、少し疲れが溜まっているか・・・」
「セレスティーナは今日一日ゆっくり休め。そして妊娠したのなら、無事出産するまで絶対に無茶しないこと!」
「ご主人様の言う通りだ!とりあえず今日一日は安静にしていよう」
セレスティーナが全裸になって布団の中に潜り込んだ。
「おやすみ」
「おやすみ!愛してるぞ!」
朝だというのに、セレスティーナらしい濃厚な口付けをされた。
バタン
とりあえず自分の部屋に戻ろうと思い、玉座の間に向かって歩き出した。
「・・・ん?」
玉座の間からガヤガヤと話し声が聞こえてきた。
こんな朝早くから一体何なんだ?
ガチャッ
扉を開けると、中にいた皆の視線が俺に集まった。
「「小烏丸!!」」
「「小烏丸さん!!」」
「「小烏丸様!!」」
そこにいたのは、リタ、リナ、ボヤッキー、ヒューリック、ヴォルフといった、懐かしの面々だった。
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