第603話 覚醒小烏丸vsリタ&リナ

 ボヤッキーとヒューリックに結婚を前提に付き合ってる彼女がいて衝撃を受けた俺だったが、同じテーブルに座っているジルだけ一人なのが気になった。



「場合によってはウザがられるだろうから聞きにくいことなんだけど、この機を逃すともっと聞きにくくなるから一つ質問させてくれ。ジルだけいつもと変わらん感じだけど、まだ良い女性と出会えていないのか?」


 ところがジルではなく、隣で聞いていたヒューリックが口を開いた。


「小烏丸様、こう見えてジルには嫁候補が二人もいるのですよ」

「な、なんだってーーーーー!?」

「幼馴染に美人姉妹がいて、その両方から惚れられているのです!」

「いや~、アハハハハハハ。お恥ずかしい」

「幼馴染姉妹とは、なんとうらやまけしからん!・・・ってことは、その両方とも嫁に貰うつもりなんか?」

「えーとまあ・・・、そのつもりです。どちらか片方だけなんて選べませんから」


 一夫一妻に拘る必要なんてない世界だからな。

 泣く泣く片方を選択する理由など無く、両方選べばいいだけのこと。

 正妻が二人ってわけにはいかないらしいけど。


「ああ、そっか!軍関係者じゃなけりゃ城に入れないか。身分が低くてもダメだ」

「ええ。それなりの家柄ではあるのですが、兵士ではなく一般女性です。落ち着いたら近くに呼び寄せて、一緒に暮らそうと考えております!」

「そうだな、うん、それがいいだろう。しかしボヤッキー、ヒューリック、ジルの三人は河内国と和泉国の攻略で頑張ったって話だから、そのどちらかに領地を頂ける可能性が高いな」

「もし私の努力が認められたとしても、やはり領地はそのどちらかになるのでしょうかね・・・。伊勢の地の方が色々と楽なのですが」

「俺の予想でしかないけどな。ミスフィート領は変な形に広がってしまっているので、全ての地をしっかり守らなきゃならないんだけど、やはりまずはいくさで荒れた状態の最前線をしっかり統治せねばならん。そして武勇を見せつけた者達の言動の方が領民の心に響くし、何といっても頼りになるから遊ばせておくのもな~」


 おそらくこの三人はまだまだ出世する。もしそうなるとどこかの国を任されることになるかもしれないわけで、次の論功行賞で貰った土地が安住の地となるとも言い切れないのよね。


 まあミスフィート領が本当に落ち着くまでは、嫁さんを勤務先に連れ回すような暮らしを続けるしかないだろう。戦場には連れて行けないけど。



「ハイハ~イ!食後のフルーツだよ!」



 料理班の女の子が、カットした果物を乗せた皿をテーブルに並べてくれた。



「これって果物ですか!?初めて見る物ばかりなんだけど!」

「まだ聞いてなかったの?最近お城の中では、ダンジョンで採れた果物が大流行してるんだよ!」


「「ダンジョンで採れた果物!?」」


「俺から説明しよう。最近になって京の都ダンジョンを制圧したんだが、そのダンジョンの中が宝の山だったんだよ!宝といっても金銀財宝じゃないぞ?なんとそこでは山菜や果物が無限に収穫出来るんだ!」


「「おおおおおおおおおおおおおお~~~~~~~~!!」」


「まずは食べてみなさいな!」



 ボヤッキー達が果物を口にすると、その美味さに大きく目を開いた。



「なんて甘い果物なんだ!!」

「うおおおおおお!美味すぎる!!」

「えええ!?この美味しい果物が無限に収穫出来るのですか!?」

「ビックリだろ?今回は果物だけだけど、夕食に山菜の天ぷらを作ってくれって和泉に頼んどいてやろう。メチャメチャ美味えんだぞ?」

「それは楽しみですね!!」

「これらの果物はダンジョン21階層まで進んだ帰り道で収穫出来るのだが、今ソフィアが31階層を攻略中なんで、もっと高級な果物が見つかるかもな~」

「31階層ですか!?随分と深いダンジョンですね・・・」

「いや、噂ではあのダンジョンは100階層以上あるらしいから、31階層なんて全然浅い階層だぞ」


「「100階層ですか!?」」



 ・・・とまあこんな感じで、朝からメチャクチャ盛り上がったのだった。



 ボヤッキーらは疲れのピークだったので、食事の後みんな眠ってしまった。


 そして俺はいつものようにダンジョンの送迎がてら物資集積拠点市場を完成させ、残りの時間で、信号機・標識・遮断機を量産して過ごした。






 ************************************************************






 夕食の時間となり、ボヤッキー達と和泉に頼んであった山菜づくしに舌鼓を打っていると、カーラに『ちょっと来て~』と言われ、彼女のテーブルに移動。


 そこにはリタとリナもいて、案の定、今夜の対戦相手の変更を告げられた。


 精神統一に入ろうとしていた本来の対戦相手には悪いんだけど、重臣クラスの身分上位嫁が出現した時は順番が入れ替わる決まりらしい。


 そこで今夜はリタの部屋に行くよう告げられたので、風呂でサッパリした後、彼女の部屋へと向かった。



 ガチャッ



「いやいやいやいや!なんでリナもいるんだよ?」

「一緒に夜伽するからに決まってる」

「はい?一緒にって・・・マジで言ってんの!?」

「大丈夫、最初はわたしからだから。リナはそれを見て研究する」

「終わったら交代して、次はリタが研究する番」



 な・・・んだと!?

 今夜はすぐ横で研究されながらのバトルだというのか!!


 だが帰ってくるのが一歩遅かったようだな。

 残念ながら今の俺は、数日前の俺とは男としての格が天と地ほどに違うのだ。


 横で見られながらだとお?

 そんなの『くっころワールド』では日常生活だ!


 しかもWつるぺただとお?

 スミマセン、今では大好物です!!



 ・・・悪いな。敗北する要素ゼロだ。



「わかった、早速始めようじゃないか。二人とも覚悟はできているな?」

「おお、小烏丸が逞しくなってる!」

「格好良くなってる!流石わたしの旦那様」

「覚醒したのはつい最近のことなんだけどな。今の俺ならば二人を同時に懐妊させることも可能なハズだ」

「・・・覚醒?」

「何言ってるのかよく分からないけど強そう!」



 よし、お手並み拝見といこうじゃないか。



「見せてもらおうか、双子のコンビプレイとやらを!」




 ―――そして、禁断のつるぺた二人同時攻略が開始された。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る