第597話 俺は魔王をナメていた
全敗だったとはいえ獣人四天王とのバトルを乗り越え、残る強敵は二人の魔王のみとなった俺は、意気揚々とレムの部屋の前までやって来た。
獣人には強制的に発情期を到来させる秘奥義があったので、正直あんなのはどうしようもない。俺はただただ蹂躙されるしかなかった・・・。
しかし魔王に発情期があるなんてのは聞いたことが無いからな。
理性が吹き飛びでもしない限り、討伐することは可能なハズ!
―――問題はレムが『つるぺた』だという一点のみ。
しかし俺の性癖は、いたってノーマルだ。
ミスフィートさんくらいの美乳が、ストライクゾーンど真ん中だと思っている。
たった一晩レムを愛でた所で、『まったく、小学生は最高だぜ!』といった変態紳士的発言をするようになるとは到底考えにくい。
・・・大丈夫だ。俺は大丈夫だ。
ガチャッ
ドアを開けて部屋の中を見渡すと、ベッドの上で目を瞑っているレムを発見した。
「・・・ん?動かんな。俺に気付いていないのか?」
バタン
ドアを閉めて、レムの側まで歩いて行った。
「座禅なんか組んで、もしかして瞑想中なのか?」
ゆっくりとレムの目が開いた。
「時は来たのじゃ」
「いや、何がだよ!?」
「
「そういやダンジョンにも来なかったもんな。セレスティーナもだけど・・・」
「その成果を見せる時が来たのじゃ!時間が勿体ないからすぐ始めるぞ!」
「そ、そうか。よく分からんけど始めようか」
「もっと近う寄れ」
「・・・??えーと、抱きしめればいいのか?」
―――――レムに触れた瞬間、時空が歪んだ。
ヴォン
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ザザーーー・・・
そこは浜辺だった。
目の前には広大な海。
後ろを見ると、草原にポツンとログハウスがあり、その奥には森も見える。
「なんだこりゃああああああああああああああああああ!!」
「ふ、ふふふふ。大成功なのじゃーーーーーーーーーー!!」
レムが立ち上がって万歳した。
マジで意味不明過ぎて、全く思考が追い付かない。
「ココは一体何処なんだ!?」
「
「はい!?」
「
「二人で暮らすって・・・、いやちょっと待て!俺には嫁さんもいっぱいいるし、こんな駆け落ちみたいなことしてる場合じゃないんですけど!!」
「心配せずとも明日の朝には向こうの世界に帰れるぞえ?この島で一ヶ月ほど子作りする予定じゃがの!」
「いや、全く意味がわかりません!!」
固有結界だって!?魔王って、こんな空間まで創り出せるのかよ!!
「この固有結界の中では時間の流れがゆったりなのじゃ。猫丸様の世界の影響力は強く、それを弱める為の多重結界の構築に苦労したがの。とにかく試行錯誤した結果、
「いやいやいやいや!寿命を削っちゃダメでしょうが!!」
「
「はあああああ?・・・嘘だろ!?さ、30年も寿命を削っちゃったの?」
「人間にとっての30年は大きいかもしれぬが、魔王の30年など気にする程のモノではない。どうせ倒されればそこまでの命なのじゃからな!それよりも
無茶しやがって・・・。
子孫を残すという夢の為に、これほどの大技を繰り出したというのか。
「えーとすなわち、レムの固有結界内で一ヶ月暮らしても、向こうの世界に戻った時には、一夜明かしたくらいの時間しか流れていないってことでいいのか?」
「その通りじゃ」
「・・・ん?いや待てよ?向こうでは一夜でも、俺達は此処で一ヶ月暮らしていたわけだから、俺とレムだけ一ヶ月分老けるのか?」
「そうじゃな」
「理解した。あまりこの固有結界を多用するのは危険だな・・・。此処で50年暮らすと、向こうの世界では一瞬で老人になったように見えるわけだから、そんなことになったら皆に申し訳ない」
「わかっておる。小烏丸を拉致して
もう子供を産む気マンマンなのね・・・。
まあそういうしっかりした考えがあるのならば、変な行動はとらないだろう。
もし拉致監禁を企てていたならば、術者を殺してでも元の世界に戻る道を探すしかなくなってしまうからな。
どうやら此処にいるだけで一ヶ月分老けてしまうようだけど、俺の帰りを待っているお嫁さん達、これは完全に不可抗力なので許して下さい!
しかしこの無人島で、レムと一ヶ月も子作りに励むことになるのか・・・。
別の意味で『
いや、大丈夫だ。俺には何人もの嫁を愛した実績がある!その中にロリっ子が1人混ざっていたからといって、ロリしか愛せなくなるなんてことはまず有り得ん。
・・・それはそうと、食い物とかどうすんだろ?
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