第595話 ミスフィートさんが閃いた
我に返った時には、もうすでに朝だった。
夜の記憶は無い。ただ何があったのかはベッドの惨状が全て物語っていた。
・・・そう、俺はまたもや負けたのだ。
いや、これ勝つの無理だって!!
ニャルルが発情オーラを放出した直後からの記憶が無いんだぞ?
あるのは壮絶な戦いの跡のみ。
そこから推測すれば、どういう状態だったのかは容易に想像がつく。
ハイ、無理です。
あと2戦、負け確の戦いをせねばならないのだ。
そして獣人四天王と戦った後、俺に待っているのは魔王との連戦だ。
魔王とのバトルなんて、もうどうなるか想像すらつかないよ。
しかも、『のじゃロリ』からの『くっころ』だぞ?
いやダメだ、考えるだけで震えが止まらなくなる。
もう成り行きに任せよう。昼間ガッツリ寝て体力だけでも回復させるんだ。
ニャルルの後処理を速やかにこなし、今日もダンジョンで眠りについた。
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「うな重で精を付けてきたから準備はバッチリだよ!この日のために大好きなトウモロコシまで断ったんだから!」
「な、なんだってーーー!?・・・いや、昨日3本ペロリと平らげてましたよね?」
「今日の話だよ!!大事なのは過去じゃなくて今この時でしょ!」
「あ、ハイ、すみません。ところでやっぱりシャイナも発情期にするのですか?」
「もちろんだよ!今日絶対に妊娠するって決めてたんだから!!」
「そうか。トウモロコシまで断ったその意気込みには応えてやりたいが、あの状態になると完全に理性やら記憶やらが吹き飛ぶからな。まあ本能で頑張るよ・・・」
彼女のテンションがやばいことになってる。
もう確実に徹夜は免れないな。
確かシャイナは銀狼だっけかな?
前にケンちゃんがそんなこと言ってた気がするんだよね。
ってことは、こっちは犬耳・・・じゃなく、狼耳の子供が生まれるのか。
可愛いのは絶対間違いないと思うけど、俺は一体どこへ向かっているんだ!?
もし嫁が全員孕んでた場合、エルフや獣人や魔王の父親になるわけだろ?
伝説に残るどころか、歴史の教科書に載ったりするヤツやん!
しかし、ただの性豪として語り継がれるのだけはマジで勘弁してほしい・・・。
せめて偉人として名を残せるように努力するしかねえ!
そうすれば『英雄色を好む』の枠組み内だ。
俺にはもうこのルートしか残ってねえんだよ!
「ふ~~~、じゃあそろそろ始めるよ!」
「お、お手柔らかにお願いします」
―――――そして二人は理性を失「いや、これはもういいだろ!!」
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連日の敗戦に意気消沈しつつ、眠い目を擦りながら玉座の間で、ミスフィートさん・カーラ・お嬢の三人と、果物の流通ルートなどの話し合いをしていた。
すると突然、ミスフィートさんが手をポンと叩いた。
「流星でどうだ!?」
「・・・何がです??」
意味が分からなすぎて、三人共固まった。
「この城の名前だ!」
「えーと、『小烏丸城』にするんじゃなかったの?」
「それは小烏丸に怒涛の勢いで却下された!」
「当たり前じゃないですか!!自分の名前の城とか恥ずかしいですし、そもそも呼ぶ時に紛らわしいですって!」
「それで『流星』ですの?」
「そうだ!赤い流星だとまた小烏丸が文句を言いそうだったから『流星城』だ!」
確かに『赤い流星城』ならそのまますぎて却下してたけど、『流星城』な~。
「ほうほうほう!『流星城』か~、格好良くてメチャメチャ良い名前!!」
「良い響きですわね~!小烏丸の子を産み育てるのに相応しい名前ですわ~!」
「だろう?」
「ムムムム・・・、さすがにこればかりは何とも言えません。正直自分の城になったみたいで複雑な心境です。今回は築城にも一切関わってませんのに」
「ある意味それで正解だろう?小烏丸の子を産み育てる城でもあるのだから。それに小烏丸が描いた設計図を再度使用したからこそ、此処はレイリア城に似ているのだ。築城に一切関わっていないなんてことはないぞ!」
ん~、ちょっと強引だけど、関わってなくはないのか。
しかし子育てする城って、此処は大奥か何かですか!?
「アタシは賛成だよ!」
「決まりですわ!」
「では人を集めて夕食後にでも此処で発表しよう!」
「なるほど!たまに式典でもやって、兵達の気を引き締めるってのは良いアイデアかもしれませんね!」
「手練れの兵士はダンジョンに行っちゃったけどね~」
「あ、そうか!でもまあよく考えたら、『命名式』ってのは絶対に居合わせなきゃってほどのイベントじゃないですし、軽い感じの発表会でいいのかも」
「だな。『城の名前が決まったぞ!』ってサッと終わらせよう」
というわけで、ようやくこの新城に『流星城』という名前が付いた。
俺の二つ名から付けられたのが恥ずかしいけど、皆が言うように、城の名前的には格好良いと思う。あ、カタカナじゃない城って初めてかも?
これが切っ掛けで、漢字の城や漢字の名前が増えていくかもしれないな!
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