第594話 獣人の恐ろしさを知る
夕食はシャイナの情報通り、クリームシチューだった。
採れたての新鮮なトウモロコシが入っていて、レベルが1段階アップしている!
「クリームシチュー、うめえええええええええええええええ!」
「こんな白いシチューなんて初めて食ったけど、マジで美味えな!!」
「さかにゃとはまた違った美味さにゃね!ウチもこれ好きにゃ!」
そんな会話の後、シャイナのシチューに三人の視線が集まった。
「トウモロコシ丸ごと三本入りかよ・・・」
「あたいの言った通りじゃん!」
「シャイにゃんはちょっと頭がおかしいんにゃ。ほっといてやるにゃ」
当の本人は凄まじい集中力で、大きなスプーンでシチューをすくって、トウモロコシを真っ白にコーティングしていた。
かぷっ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
トウモロコシとの真剣勝負を前に、俺達も彼女から目が離せない。
「美味し過ぎる!!これだよ、ボクが長年求めていたのは!!」
「お、おう。そうか、良かったな!」
「手がベトベトになってるけど、本人が幸せそうならまあいいか」
「ウチは普通のクリームシチューでいいにゃ」
・・・まあそんな一幕はあったものの、今日の夕食も美味しゅうございました!
そして夕食後は王室ゾーンのお風呂で身体を清め、本日の夜伽の相手であるゴマちゃんと対峙した。
「ゴマちゃんと夫婦になるとは思っていなかったが、赤い流星の名に懸けて、生涯愛し続けることを誓おう!」
「う、うん。あたいもこがっちを一生愛し続けるぜ!絶対に妊娠したいから本気を出すけど、遠慮はいらねえからな!」
「ちょっと待て。本気って何だ?一体何をするつもりなんだ!?」
「ん?発情期にするんだよ」
「はい?『発情期にする』って、それって自分で決められるもんなの!?」
「当たり前だろ。ああっ!獣人じゃ常識なんだけど、こがっちは知らなかったのか」
獣人の常識だと!?一体何なんだよ!!
「あたいもシャイナもニャルルもパメラっちも、旅の間発情しなかっただろ?それを自分で制御出来なければ手当たり次第に男を求めちまうから、普段は発情期になったらその衝動を抑えてんだ。どうしても我慢出来なくなった時は一人の時に発散するんだけど、溜め込んでる状態ならば、やろうと思えば今すぐ発情期に出来るんだ」
「マジかよ!!」
そういや発情期のことすっかり忘れてたわ!もしゴマちゃんが何年分も発情期を抑え込んでいたのならば、今夜大爆発するんじゃ・・・。
「よし、じゃあ行くぜ!!」
その瞬間ゴマちゃんから濃厚なフェロモンが放出され、それを至近距離で浴びたせいか、『ドクン!』と血液が体中を駆け巡り、心臓がバクバクし始めた。
・・・ヤベえ、脳の血管が焼き切れそうだ。
『このメスを喰らい尽くせ!』という、たった一つの思考に染まっていく。
「フオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!」
―――――そして二人は理性を失い、ただの獣となった。
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我に返った時には、もうすでに朝だった。
夜の記憶は無い。ただ何があったのかはベッドの惨状が全て物語っていた。
・・・そう、俺は負けたのだ。
嫁レベルがいくつかなんてのは俺の理性あっての話。
獣人嫁相手にそういう数字はまるで意味を成さない、ということを学んだ。
しいて言えば、獣人ってだけで嫁レベル100と思っていい。
だって気付いたら朝なんだもん。あんな状態で眠れるわけねーじゃんよ!
そのゴマちゃんだけど、俺の理性が戻ったと同時に力尽きた。
たぶん発情期パワーらしきモノの効果が切れたのだろう。
何にせよ、とても人様にお見せできるような状態じゃなかったので、タオルでキレイに拭いてから、そっと毛布を被せておいた。
しかし恐るべき
・・・・・
徹夜明けなので疲れていたが、巨大市場のことをミスフィートさんに報告し、これからの方針などの相談をした結果、兵士達をダンジョンに送り込むことになった。
どうせだからとレベル上げも兼ねて、数百人規模でダンジョンを攻略させることになったので、兵士達には半日かけて歩きでダンジョンに向かってもらう。
俺も疲労困憊ではあったが、物資集積拠点を市場としても使えるようにしなければならなくなったので、今日も親父と一緒にダンジョン組をバスで送り届けた。
そしてエルフ達に新しい設計図を渡してから、ようやくダンジョンの入り口で眠ることができた。
ここで眠ればダンジョン組が通り掛かるから、起こしてもらえるのだ。
獣人三人との連戦が確定しているので、夜に寝るのは完全に諦めた。いや、おそらくその後の魔王二人も獣人並みかそれ以上の
ほぼ1週間、昼夜逆転生活になってしまうけど、乗り越えるしかねえんだよ!
そこさえ突破すれば元の生活スタイルに戻すことが出来るだろう。
そして夜になり、二人目の獣人刺客・ニャルルと対峙した。
「・・・やっぱりニャルルも発情期にするの?」
「当たり前にゃか!ウチはこの日にかけてたんにゃ!!」
「ニャルルとの子供か~。やっぱ猫耳付きなんかな?」
「獣人と人族が結婚すると、生まれる子は全部獣人らしいにゃ」
「んじゃ猫耳確定か!そんなの絶対可愛いに決まってるだろ!!」
「間違いにゃいにゃ!!」
生まれてくる子供がにゃーにゃー鳴いてるのを想像したら、メチャクチャやる気が出て来たぞ!しかし母親がニャルルなわけだから、アホの子に育たないようにだけ注意しねえとな。
「よ、よし、準備OKだ。バッチ来い!!」
「覚悟するにゃ!!」
昨夜と同様、ニャルルから濃厚なフェロモンが放出され、理性が吹き飛んだ。
「フォオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!」
「うにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
―――――そして二人は理性を失い、ただの獣となった。
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