第22話 赤い流星vs赤いゴブリン


「これは強い!」


 ダンジョン2階の探索を終え、今は3階を攻めている所なんだが、手強いリザードマン3体を相手にしても難なく倒すことが出来た。ちなみに2階のゴブリンも当然の如く強かった。


 斬撃強化(中)の斬れ味は、(小)とは比べ物にならないレベルだ。

 衝撃耐性も+が付いているので、刀が折れる心配もなく戦えるのが素晴らしい!


「しかしリザードマンの剣術は見事だったなー」


 強いか?ってなると、たぶんレベル差の問題でそれほどじゃないんだけど、とにかく剣捌きが美しいんだよ。

 次戦う時はじっくり見て参考にしたい。



「うお!なんだこの円卓は!?」


 通路を抜けて部屋に入ると、真ん中にデーンと円卓があり、椅子がぐるっと配置されていた。

 なんかベンチとかもあって、ココで何かをした形跡が伺える。

 清光さんと虎徹さんが何かをやってたのは間違いないんだろうけど、ぶっちゃけこんなに椅子いらんよな?ココに大人数が集まったとも思えないし。


「あ、もしかして!」



 右の通路を進んで行くと大広場に出た。


 やっぱりな!ここにもボスがいたんだきっと。

 納得いったので円卓の部屋に戻った。


 一応向こうの通路も見ておくか。


 もう一つの通路の先も一応確認するために進んでみる。



「出た・・・」


 そこには赤いゴブリンがいた。


 鑑定してみると、名前はクリムゾンゴブリンだった。

 槍みたいな斧みたいな変なゴツイ武器を持っている。


 なんだっけあれ?・・・ああ、ハルバードってヤツじゃないか?

 あんなので攻撃されたらマジで死ぬだろ・・・。


 こりゃまいったぞ。無理に倒す必要もないんだけど、しかし赤いゴブリンだ。

 そう、赤いゴブリンなのだよ!

 赤い流星として、アレとの戦いから逃げるワケにゃいかんだろ!


 だが対策は必要だ。戦うのは今じゃあない。

 ハルバード対策として盾を持つべきか、もしくは二刀流に手を出すか。


「グギャギャギャ!」


 やべっ!気付かれた!


 ダッシュで部屋まで逃げ帰った。




 盾なあ・・・、左手で盾を持っていたら抜刀術が使えない。それは二刀流でも同じことだ。だが一撃も攻撃をもらわずに倒すことが可能なのだろうか?


「正直厳しいな」


 ならばどうする?怪我をしてしまうと、もう戦闘の続行は不可能だ。

 いや、聖水で怪我から復活すれば続行は可能か。


 そうか!デカい箱に聖水を入れて、怪我したらそこに飛び込めばいいんだ。

 戦いが継続出来なくとも、これなら生き残る確率は跳ね上がる。


 一筋の光明が見えたので、部屋に引き返してデカい入れ物を作ることにした。






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「これくらいの大きさなら十分だろ!」


 畳一畳くらいの大きさの箱を二つ作った。

 一つは円卓があった部屋に設置し、もう一つはマジックバッグに入れて置いて、緊急で取り出せるようにする。とりあえずこれで戦う準備はOKだよな?


 そういや聖水を飲んだだけでも傷が回復するんだっけか。

 柄杓も一つ作っておこう。



 よし、準備完了だ!

 赤いゴブリンよ、どちらが赤に相応しいか勝負しようじゃないか。



 ・・・・・



 赤いゴブリンに先制攻撃をくらわそうとダッシュで接近する。


 気付かれた!


 防御態勢に入ってしまったから、もう奇襲は使えない。

 懐に飛び込もうか考えてるうちに相手の方が先に動く。

 左下段からの振り上げ。


 ゴブリンのハルバードを紙一重で躱し、刀を一閃。


「ギャギャッ!」


 チイッ!避けられた。このゴブリン、とんでもなく強い!


 足を狙った薙ぎ払いが来たのでジャンプ。


 しまった!フェイントだと!?


 即座に首を狙った一撃が来るが、なんとかヘルメットで攻撃を受ける。


「ガハッ!!」


 後方に吹き飛ばされた。

 こりゃイカン。まだ俺の敵う相手ではないッ!



 赤い流星はダッシュで逃げ出した・・・。




 ・・・・・




 箱に入って聖水にプカプカ浮きながら、さっきの戦闘のことを考える。

 冗談でも何でもなく、ヘルメットが無ければ即死だった。

 赤い流星コスに本当に感謝だ。


 デカいたんこぶが出来ていたけど、聖水に入ったらそれはすぐに治った。

 

 それにしても赤ゴブリン強すぎだろ・・・。


 今の俺じゃ、あのゴブリンは倒せない。リザードマンの剣をしっかり見て、武術をもう一度勉強し直す必要があるだろう。まあリザードマンの得物は刀じゃないので、自分なりにアレンジしなきゃだな。


 日本で道場に通ってはいたけど、抜刀術に目が行きすぎて、基礎をしっかり学んでいなかったのが悔やまれる。


 ココらで一度真剣に武術の腕を磨こう!


 レベルをどんだけ上げても、体捌きが素人じゃ限界が見えているからな。

 剣の腕を上げ、絶対にあの赤いゴブリンを撃破してみせる!

 赤い奴にだけは負けっ放しでいるワケにゃイカンのだ。



 決意を新たに、赤いゴブリンへのリベンジを固く誓ったのだった。

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