第19話 刀に付与魔法をかけてみる

 実験は大成功だ。

 ならば早速刀を強化するべきだろう。


 作業台に刀を乗せて、斬撃強化を強く念じる。




「よし!」



[刀]

 :コガラスマル作の刀。魔法が付与されている。評価C

 :斬撃強化(小)


 

 さっきよりも若干早く付与することが出来た。

 ただ斬撃強化が付いたと言っても、(小)となっているので効果は小さい。

 付与魔法が成長するまで温存しようかとも考えたんだけど、その時はまた刀を打てばいいだけだと思い、決断に踏み切ったのだ。


 後はこれにもう一つ、耐久性向上の付与もしといた方がいいな。

 刀は剣よりも細いので、斬れ味よりもむしろ耐久性の方が大事だろう。

 あと、一つ付与するのにMPが10消費されているのを確認した。

 まあ10の消費くらいなら全然余裕だな。



 耐久性を強く念じる。


 ぬ・・・、なんかさっきよりも狭く感じる。

 何が狭いんだ?これ。


 あっ、もしかすると、込められる付与の数って限界があるのかもしれんな。

 刀の素材が良くなれば、付与出来る数も増えるのだろうか?


 とにかく、あと一つくらいは行けそうな気がするので続行だ。




[刀]

 :コガラスマル作の刀。魔法が付与されている。評価C

 :斬撃強化(小)

 :衝撃耐性



「っしゃーーー!」


 耐久力を願ったのだが、衝撃耐性ってのが付いた。

 まあどっちも似たようなもんか。


 そしてこの刀には、もう付与するスペースが残っていない。

 鉄の武器には付与魔法2つまでが限界なのかもしれん。


 これからは自分のレベル上げだけじゃなく、鍛冶や付与魔法のレベルも上げて行く必要があるだろう。

 武器が強くなるってのは、もしかすると自分が強くなるよりも恩恵が大きい可能性がある。

 自分が強くなっても、武器がポキポキ折れてちゃ話にならんからな。



 その日はMPが無くなるまで骨剣に付与しまくった。

 おかげで付与魔法のレベルも1上がったぞ。






 ************************************************************






 奥の通路を見ながら、そろそろ巨大ゴブリン討伐しようと決断した。


 初めて見た時は恐怖で震えが止まらなかった。

 正直少しトラウマになっている。

 なので、強くなる為に俺はトラウマを克服しなければならない。


 あの時とはレベルが雲泥の差だ。負けるなんてことは考えられない。

 後は恐怖を克服するだけ!


「っしゃー!やったらあ!」


 意気揚々と巨大ゴブリンの所まで歩いて行く。


 そういや、モンスターの名前ってまだ鑑定したことが無かったな?

 あの巨大ゴブリンが、普通に『ゴブリン』って表示されることはあるまい。なんだろう?ビッグゴブリンとかだろか?



 名前 :アルティメットゴブリン



「ぶはっ!!」


 なんつーヤバそうな名前なんだよ!?

 しかし名前だけしか知ることが出来ないのか。

 鑑定のレベルもマックスにせんとなー。


 よしッ!行くゾ?アルティメットゴブリンとやら!




 ダッシュで巨大ゴブリンに駆け寄る。


「グギャアアアアアアアア!」


 攻撃を仕掛けようと抜刀の構えをとった瞬間、右フックが飛んできた。


 速い!


 なんとかスウェーバックで回避するが、続けて左フックが飛んで来て、思い切り頭を殴られ吹き飛ぶ。


「ガハッ!」


 なんつー重い一撃だよ!?


 しかし赤い流星コスのお陰で無傷だ。



「ヘルメットが無ければ即死だった」



 くそッ、少しクラクラする。


(アーーッハッハッハッハッハ!)


「ギャギャギャッ!」


 チイッ!


 ゴブリン怒涛のパンチラッシュをギリギリ捌いて耐える。



「ダンジョンのゴブリンは化け物か!?」


(アヒャヒャヒャ!バンバン!フヒーーッ、フヒーッ)



 む、なんかさっきからどうも、赤い流星の名セリフが勝手に口から出てしまう。

 無意識に、俺の思考までもがコスチュームに釣られてしまってるらしい。


 ヤバイ、そんなことを考えてる暇など無いッ!


 少しゴブリンから距離を置き、刀を鞘に納める。

 そして精神集中。


 次の一撃で決める!



「グギャアアア!!」


 巨大ゴブリンが、もの凄い威圧を放ちながら特攻して来た。


 くっ、今すぐにでも逃げ出したいが、耐えろ!ギリギリまで引きつけろ!


 ゴブリンの右拳が目の前に迫って来る。


 それを紙一重で躱し、刀を一閃。



【レベルが上がりました】



 ・・・・・



「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ」


 よしッ!勝った!!!


 恐るべき相手だった・・・。

 虎徹さんが、『ゴブリンには注意しろ』と言っていたけど、他の魔物とはもうまるで格が違う。

 けど、これでようやくトラウマを克服だ。

 レベル上げではなく武術を極めるってんなら、コイツのような強敵と戦いまくるのがベストだろう。

 生死を賭けた戦いじゃなければ真の強さは身に付かない。


「おっと、いけね!」


 死体が消滅する前に魔石を取り出さなきゃな。



 ゴブリンから出て来た魔石は他のよりもワンランク大きかった。



「うひょーっ!さすが強敵だっただけのことはあるな!」


 魔石(中)ってとこかな?(大)ってほどの大きさではないと思う。

 すなわち、アルティメットゴブリンは中ボスクラスなのだろう。

 そりゃ強いワケだ。


 これ1個でデラックスガチャが回せるってのは美味しいぞ!

 良い服を手に入れて、早く赤い流星を卒業しねーとな。


 今回の戦いは本当に自信になった。俺はきっとまだまだ強くなれる!



(ね?この子面白いでしょ?)

(最っ高!)

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る