第17話 ようやく刀鍛冶の始まり

 部屋で赤い流星が一人、熱心に刀を打っている。


 キンッ、キンッ、キンッ


 ようやく刀を作る準備が整ったのだ。


 火炉が完成してすぐに挟みを作った。金床が無かった理由は、単に女神の泉の縁部分を使ってたんだと思う。俺は自分に合う高さでやりたかったので、剣を叩き潰して金床を作った。

 ふいごは一応構造を知っていたので、木とクマの毛皮を使って作った。

 火かき棒はまあ別に何でもいい。面倒なので剣をそのまま使ってる。



 ・・・・・



「赤い流星の衣装は最高だな!熱耐性のお陰で火炉の横にいても全然余裕だ」


 赤い流星が刀を打ってる姿など、誰も想像すらしたことないだろう。

 だが現実はこんなもんだ。彼だって裏では色々やってるんだよ。


 鍛冶をやってて思うのは、レベルアップの恩恵が大きくて作業の進み具合がとても速い。1週間ちょいで完成と読んでたんだけど、このペースなら5日もありゃ出来そうだ。


 キンッ、キンッ、キンッ






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「悪くない出来だ」



 あれから3日経ち、予想より1日早く完成した。

 ハンマーを叩く力が強くなってるから大幅な時間短縮が可能となったのだと思ったけど、ステータスにある鍛冶のレベルが1上がってるので、その効果が出たのかもしれない。

 もう少し鍛冶のレベルが上がれば更なる時間の短縮が可能だろう。


 とりあえず刀は完成したが、今度は鞘を作る必要がある。

 なんせ俺の真骨頂は抜刀術だからな。鞘作りこそ絶対に手を抜くことが出来ない。



 そして鞘を作るのにも丸一日かけて、かなり納得のいくモノが完成した。






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 ジャキンッ!


 いい音だ。


 今、黒い鞘を腰にぶら下げているんだけど、虎徹さんが部屋に雑貨品を色々と置いてあったのですごく助かった。

 さすがに漆は無かったけど、なぜか業務用のニスがベッドの傍に置いてあって、黒い塗料も1箱あるのを発見。

 たぶんだけど、木彫りのクマに使ってたんじゃなかろうか?

 他の色が無いのは残念だが、赤い流星の衣装に黒は非常に合う。


 あとボンドとか、ネジ、ドライバーなども置いてあったので使わせてもらった。

 勝手に使いまくってるので、いつかガチャでお返しせんとな・・・。


 そうそう!赤い流星の衣装の付属品に白いベルトがあるんだけど、そのベルトを使って刀をぶら下げる事が可能だった。不幸中の幸いとでも言おうか・・・。

 そして腰の右側にも、何かをぶら下げることが出来そうな作りになっている。

 赤い流星のベルトの細かい部分までは、正直ほとんど記憶に無いんだよな。

 何にしても便利ってことがわかったし、気にする必要もないか。



 とにかく今すぐ刀の試し斬りがしたくなったので、狩りに行くことにした。






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 ―――――【神殿】―――――



「ん?レイニーじゃない。何を見てるの?」


 部屋の真ん中にペタっと座ったレイニーが、水晶で何かを見ていた。



「ん、この子面白い」

「この子?」


 レイニーの後ろから水晶を覗くと、赤い服を着た人間が魔物と戦っている姿が見えた。



「バフッ!アーーーーッハッハッハッハッハ!こ、これっ!アヒャヒャヒャ、アーッハッハッハッハ!ゴホッ、ゴヘッ!」

「あーもう、シャルうるさい」

「だって、これッ!赤い流セ、アーーーッハッハッハッハ!」


 くっ、笑い過ぎて息が・・・、ハアッハアッハアッ。

 も、もしかして引いちゃったの?確か虹カプセルに設定したハズだけど。


「あっ、此処ってあの子供を送ったダンジョンじゃない!ってことはあの子?・・・いや、なんか違うわね。誰なんだろう?」

「さあ?」


「えーと・・・、織田小烏丸??え?もう戦争も終わって召喚はしていないハズなのに、なんで地球人がこっちの世界にいるわけ??」


 考えられるとしたら、度重なる召喚で空間が変に繋がってしまったとかかなあ?

 こういう場合どう対処したらいいんだろ?


 ・・・・・・まあいっか。

 このダンジョンならば、あの子が時空魔法で安全な所に連れてってくれるでしょ。同郷の人間だし、たぶん放っといても平気ね。


 というか、もしかするとあの子供がどこかから連れて来たんじゃないの?

 地球に帰れるほどのMPは無いハズだけど、うーん、さっぱりわからないわね。


 それにしても、赤い流星の衣装を引き当ててしまうなんてね!

 デラックスガチャだけど、性能はピカイチだから、脱ぐに脱げないんじゃないかしら?

 いや~、良い物を見せてもらったわ。また面白い衣装を考えなきゃね!



 よし、次は魔法少女の衣装を作ろう!

 ステッキを高性能にして、一度装着したらもう引き返せないように、クククッ!

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