第16話 もうちょっとだけガチャる

 まだ魔石は残っている。


 赤い流星になってエンディングを迎えた気になっていたが、まだガチャを回し始めたばかりだ。

 ガチャ部屋に移動し、次はどれを回そうか考える。


 デラックスはとりあえずもういいや。

 となるとノーマルガチャか属性ガチャか。


 よし!属性ガチャを1回やって、その後ノーマルにしよう。


 紫の魔石が一番多いので必然的にこれを使うことになる。

 しかし紫の属性ってなんだ?


 火ってのはたぶん赤だろう。

 水が青で、土はたぶん黄色。んで風は緑かな?

 となると残るは闇ってことになる。なんで光だけが無いのだろう?


 まあいいか。んじゃ闇ガチャ行くぞ。


 属性ガチャの前に行き、紫の魔石を10個投入。

 レバーが光ったのでこれで準備OKだろう。


 集中してレバーを回す。



 ガチャコン



「あちゃあ・・・、青かよ」


 まあレインボー出したばっかりだからな。運を使い切ってしまったのかも。

 青いカプセルを開けて中のカードを見る。

 カードに書かれている文字は【アクセサリー】だ。


 ほ~、アクセサリーか。まあ一応装備品ってことになるのかな?

 カプセルがポフッと変化し、腕輪になった。



[闇の腕輪]

 :精神耐性の付いた腕輪。軽い精神攻撃なら防げる。評価C

 :即死耐性△ 恐怖耐性△ 混乱耐性△ 魅了耐性△ 呪い耐性△



「おお!カプセルは青だったけど、当たりなんじゃないか?」


 虎徹さんとの会話を思い出すと、精神耐性を上げるには、我慢してその攻撃に耐えるしか方法が無さそうだった。

 人魚が非常に危険で、眠らせて来るとか言ってたよな。

 この腕輪には眠り耐性が無いけど、5種類の状態異常を防御出来るってのは非常に大きいと思う。

 まあ△だから気休め程度かもしれんけどね。


 デザインも格好いいので早速腕に装着した。


 いいね!ただ腕輪がいくら格好良くても、装備してる人は赤い流星だけどな!

 ・・・くそう、泣けてくらぁ。


 んじゃ後はノーマルガチャ何回かやって終わりにするか。

 魔石は残るけど、今全部使う必要も無いからな。


 ノーマルガチャの前に移動して、魔石を1個投入した。


「お?レバーが光ったな」


 やはりこの魔石は(小)で合ってそうだな。

 まあ今までの流れでそれはもう確定してるか。


 ガチャコン


「あらら、また青だ」


 ノーマルの青って、言わば一番雑魚だよな。まあ魔石1個だし軽傷と思いたい。


 カードに書かれている文字は、え??塩だと!?


 カプセルがポフッと塩の入った袋に変わった。表面にしっかり『塩』と書いてある。


「おおお!塩だ、すげー!!」


 一番雑魚?とんでもない!こんなに嬉しい物が出て来るとは思いもしなかった!

 ただでさえ美味い肉がパワーアップするんだぞ!


 ノーマルガチャをぶん回すのもアリなんじゃないか?


 よし!一気に5連で回してみよう。



 ガチャコン 青 醤油

 ガチャコン 青 味噌

 ガチャコン 赤 タオル

 ガチャコン 緑 胡椒

 ガチャコン 緑 サラダ油



 やべえ!ノーマルガチャ最高すぎる。

 色んな調味料だけじゃなく、日用雑貨も出るじゃないか!


 ああっ!部屋に文明の匂いがした理由って、そういうことだったのか!!


 もう決めた。残った魔石は全部ノーマルガチャに突っ込む。

 生活の向上は超必須だ。ガチャ半端ねえわ!すげー楽しくなって来た。



 ガチャコン 青 塩

 ガチャコン 赤 靴下

 ガチャコン 赤 Tシャツ

 ガチャコン 青 塩

 ガチャコン 緑 ごま油


 ガチャコン 赤 パンツ(トランクス)

 ガチャコン 青 醤油

 ガチャコン 青 味噌

 ガチャコン 赤 フライパン

 ガチャコン 赤 歯ブラシ


 ガチャコン 緑 酢

 ガチャコン 赤 タオル

 ガチャコン 赤 紙50枚

 ガチャコン 青 塩



「シャツにパンツに靴下にタオルに歯ブラシに、後はフライパンと紙か」


 もう一気に欲しい物をいっぱい手に入れてしまった。

 さっきからずっと顔がニヤケたままだ。


 赤い流星がガチャを回してニヤけてる姿なんて、ファンには絶対見せられないな。


 魔石を使い切ってしまったのでガチャは終了。

 虎徹さんが言っていた魔石集めが最重要ってヤツ、これほど意味のある言葉だったとはな。もう今すぐにでも魔石集めに行きたい気分だよ。

 つっても期限は1年もあるんだ。そう急ぐ必要も無いだろう。


 それにしても調味料が一気に集まったのは大きい。

 早速部屋に帰って焼き肉パーティーと行こうじゃないの!



 塩胡椒を振ったステーキをフライパンで焼き始める。

 その間に、木を削って作った器にごま油を入れて、これにも少し塩を振る。

 そう、レバ刺しのタレだ。

 まだ生でレバーを食ったことは無かったが、聖水で殺菌処理してあるしきっと大丈夫だろう。


 肉が焼き上がったので早速かぶりついた。


「うんめええええええええ!!!」


 こいつはヤベえぞ!

 塩胡椒の味付けはやはり王道だけあって、まるで隙が無い。

 そもそも味付け無しでも美味かった肉だけど、塩胡椒で美味さが数倍に跳ね上がった。


「よ、よし!次はレバ刺しを食ってみよう」


 女神の泉から出したばかりの新鮮レバーだ。

 ナイフで薄く切り、タレを付けて口に入れる。


「・・・・・・」


 あまりの美味さに、気付いたら涙を流していた。



 肉を食いながら泣いている赤い流星も、ファンには絶対見せられない姿だな。

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