第6話 運命の出会い

 あれから何日も森で魔物を倒し続けて、レベルはやっと6になった。

 ぶっちゃけレベルの上りが遅すぎて辛い作業だ。


 ミスフィートさんのレベルに追いつかないまでも、軍に入れてもらうだけならレベル20もあればいいかな?

 しかし強くなったらって約束をしたのに、妥協した姿で会いに行くのは格好悪いよな。出来る事ならミスフィートさんと同等くらいの強さになって、本当の意味で彼女の力になりたい。

 彼女の部下になるのではなく、隣に立って戦いたいんだよ!俺は。


 ならば今のペースじゃ全然ダメだ。もっと強い魔物と戦わないと、こんなトロくさい成長じゃ何年かかるかわかったもんじゃない。

 しかし焦って無茶をして死んじゃあ話にならん。結局地味に成長して行くしかないのか・・・。






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 そして半月ほど経った。

 かなりのペースで魔物を倒しまくったが現在のレベルは8。


 強くなった実感はあるが正直へこたれそう。

 だって毎日木の上で寝る生活なんだぜ?

 

 とはいえこの程度のレベルで街に戻るワケにもいかん。


 現時点で腐れ外道共に勝てるか?となるとあんまり自信が無い。

 一人くらいなら倒せるかもしれんが、アイツら徒党を組んで動いてるからなあ。

 そもそも一人くらい倒したところで何がどうなるって話でもないから、あまり意味がない。

 やっぱり結局は圧倒的な力を手にしないとダメなんだよ。



 魔物を倒しながら森をどんどん進んでると草原に出てしまった。


 草原かあ・・・。開けた場所ってゴブリンばっか出るからダメなんだよな。

 つってもこの森での狩りはそろそろ限界か。

 もっと強い魔物がいる場所に移動するべきかもしれん。


 どうせ強くなるまで街に戻る気は無いんだ。ならば放浪の旅と行こうか!

 最後に尾張の方角を見ながら、絶対に強くなって帰ってくると誓う。



 ―――その時だった。変な声が聞こえて来たのは。




「遅いにゃ!もっとスピード出すにゃー!」

「にゃーにゃーうっさいぞ!もうここは道じゃないからスピード出せねえんだよ!」

「いきなり穴があったりするから、気を付けねーと転倒するぞ?」

「こっちは安全運転で頼む!」



 え?


 なんでバイクが走ってんの??

 ・・・俺は夢でも見てるのだろうか?



「ぬ!?・・・ムムム!?」

「おいコテツ!アレって、もしや日本人じゃねえのか!?」

「やっぱりか!?あの服って作業服だよな?」

「なんにゃ?知り合いにゃ?」

「いや、知り合いではないが・・・」


「おーーーい!そこの人!!日本人だよな?」


「た、確かに俺は日本人だが、あンた達は一体・・・」


 一人は白い特攻服を着ていて頭はリーゼント。もうどこからどう見ても暴走族だ。

 そして話し掛けて来た人は、全身黒い服を着ていて眼帯を付けている。

 もうどこからどう見ても中二病全開って感じだ。


 白い人の後ろには赤い特攻服を着た女が乗っていて、たぶん暴走族のレディースって奴だと思う。

 黒い人の後ろにはネコ耳が付いた女が乗っている。こっちはもう完全に異世界人だよな?


 うん。ワケが分からん。

 いきなりバイクに乗った暴走族と中二病が現れるとか、もう俺の想像を完全に超えていて、考えれば考えるほど深みに嵌りそうだ。


「おお!やっぱり日本人だったか!んで、こんな所で何してんだ?」

「マジで日本人かよ。この世界にもいるとは完全に予想外だったわ」

「にゃっ?故郷の知り合いにゃ?」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!・・・えーと、もしかしてこの世界には他にも日本人がいたりするのか?」

「いや、いねーと思うぞ。オレらがいるのはたまたまだ」

「おーい、話を進める前に自己紹介だろ?俺は加藤清光だ」

「黒田虎徹だ。自分の名前をフルネームで言うの久々だな!」

「ニーニャにゃ」

「貴女はニーナでしょ!えーと、私はシルヴァラだ」


「あ、えーと、俺は織田小烏丸だ」


 なんかめちゃくちゃ騒がしい奴らだなあ。

 しかしバイクで女連れとは羨まし過ぎる。リア充爆発しろ!


「なんか、リア充爆発しろ!とでも言いたげな表情だな。まあ否定はしないが」


 な、なぜバレた!?暴走族って相手の心が読めるのか?


「でだ、どうやってこの世界に来た?」


「・・・そこからか。えーと、半月ちょっと前くらいの話なんだけど、仕事帰りに穴に落ちたんだ。そして目覚めたらこんな世界にいた」

「穴に落ちたら異世界に?不思議な事もあるもんだな」

「アリアで日本人召喚してたから、空間が変な具合に繋がったんじゃね?」

「まあそれが一番怪しいな」


 アリア?何のことを言ってるのかさっぱりわからんが、この二人は異世界のことに詳しい気がする。色々聞いておく必要があるな。


「二人はどういう理由でこの世界に来たん?」


「んーー、『この世界に』と言うのなら、こっちの方が楽しそうだったからだ」

「扉が閉まる前に飛び込んで正解だったよな!」



 違う。俺が聞きたかったのは、そういうことではない。

 でも今の話しぶりだと、何かココに来るイベントみたいのがあったっぽいな。

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