第4話 魔物と初めての戦闘
ようやく、ミスフィートさんが言っていた東にある川に辿り着いた。
道なりだと兵士と遭遇する可能性があるので、川を越えて上流の方へ移動。
とにかく街の検問を突破するのが一番大変だった。
奴らがアホで助かったって感じだ。
見張りは三人いたんだけど、どいつもこいつもやる気なんか無くて、くっちゃべりながら欠伸なんかしている。
しかし、どこかへ行こうとするわけでもないので、遠くの草むらに石を投げて注意を引いた。
一投目に見張りの一人が反応したが、気のせいだと思って見にすらいかなかったので、何度も繰り返したら『草むらになんかいるぞ!』と三人共向かって行った。
その隙に入口からダッシュで逃走し、なんとかヤツらに気付かれずに街を脱出するのに成功した。
ようやくこれで、モヒカン共に脅えて過ごす日々とはおさらばだ!
その代わり、これからは完全に自給自足だ。もうミスフィートさんは頼れない。
次に彼女と会うのは俺が強くなった時だ。その時のことを想像するだけで闘志が漲って来る!
上流へ上流へと歩いていると、早速魔物と遭遇した。
うおお!魔物だ!本当にいたんだな。
身長は1メートルちょいくらいで全身緑色。
もうこれ間違いなくゴブリンだろ。改めて異世界に来たんだなーと実感した。
俺の存在はまだ気付かれていない。
どれほどの強さなのかがわからない以上、先手必勝あるのみ!
剣を構えてゴブリンの背後に忍び寄り、全力で剣を叩きつけた。
「グギャアアアア!!」
よしッ!奇襲成功だ。
ゴブリンが痛みで悶絶している間に剣を突き刺し、息の根を止める。
「クソッ!やっぱ生き物を殺す感触ってのは最悪だ・・・」
正直こんな経験などしたくはなかった。
だが強くなるにはコレを乗り越えなきゃお話にならんしなあ・・・。
【レベルが上がりました】
「はッ!?今、なんか聞こえたぞ?」
レベルが上がったようなことを言われた気がする。
やはりこの世界にはレベルの概念があったんだ!
でも何がどう上がった?やっぱアレか?アレを言う時が来たのか!?
「ステータス!」
名前 :織田小烏丸
性別 :男
種族 :人間
年齢 :19歳
職業 :なし
レベル:2
HP :18
MP :14
筋力 :14
知力 :12
体力 :16
素早さ:12
器用さ:10
精神力:12
運 :50
【スキル】
剣術Lv4 棒術Lv1 槍術Lv1 体術Lv3
直感Lv1 隠密Lv1 算術Lv6 料理Lv1 鍛冶Lv3
【魔法】
なし
【固有スキル】
異世界言語:自動翻訳
【称号】
なし
【加護】
なし
出たーーーーーー!!やっぱりあったぞ!
それにしても、名前は漢字表記なんだな?
大抵こういうのって、カタカナ表記で[コガラスマル・オダ]とかになりそうなもんだが。まあミスフィートさんはカタカナだろうけどさ。
レベル2でこの数値ってことは、レベル1の時はこの半分だったのかもな。
んーーー、俺は秀でた部分が無い平均的タイプなのか。
【スキル】は元の世界での経験が反映されているようだ。剣術や鍛冶のレベルが最初から上がっている。算術が高いのは学校に行ってたからだろう。たぶんこれは俺じゃなくても、日本人なら誰でもこれくらいのレベルになりそう。
そして問題なのはその下の項目だ!
【魔法】ってのが見えてやがる。[なし]になってるから今は使えないのだろうけど、条件を満たせば魔法を使えるようになるのではなかろうか?ヤベえな!少し興奮して来たぞ。
んで【固有スキル】の所に異世界言語とか書いてる時点で、ココは異世界で確定した。自動翻訳ってのは有難いねえ。
そして【称号】と【加護】は無しか。これも何か条件があるのだろう。
それにしてもレベルがあるってのは良いな!
数値が目に見えて上がるとなると、レベル上げにハマるかもしれん。元々そのつもりでココに来たんだけどさ。
街では恐怖しかなかったが、やっと異世界らしくなって来やがった!
こうなったらもう、街にいる腐れ外道共に天誅を喰らわせられるほど強くなるしかねえだろ!
やる気が漲って来た俺は、ゴブリンを探しては倒しまくった。
・・・・・
「うん。レベルは上がった」
レベルはな・・・。
しかしゴブリンをどんだけ倒しても、腹が満たされないことに気が付いた。
あんな緑色なんて食う気せんわ!
そもそも魔物とはいえ人型を食うってのは、人間を殺して食うのとほとんど違わなくねえか?ゴブリンの腕を千切って焼いてるのを想像したら、絶対無理だとわかった。それにどう考えてもコイツが美味いとも思えない。
しゃーねえ。森に入ってゴブリン以外の魔物を探そう。
川辺ってなぜかゴブリンしかいねーのよ。まあ他の魔物も水を飲みに来るとは思うんだが、俺はもう非常に腹が減ってるんで獲物が来るのを待ってなんかいられない。
森とかだと危険な魔物がいるかもしれんが、果物や木の実が手に入る可能性もあるからな。そういう物にも期待して行ってみるしかないだろう。
危険は承知。絶対に無理はしないよう心掛けながら、慎重に森に入って行った。
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