【弐】確認を怠ると命に係わるなって

~~~『不運☆品目』とは?~~~

「第X位、XX座。アンラッキーアイテムは・・・」と、星座ごとにを伝えるラジオ番組。明け方に1度だけ放送される。テレビでは企画が通らずラジオになったと噂される番組だ。SNSで話題になっており放送後に誰かが結果をアップする。

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【不運☆品目『空気』×誠也『39歳/独身』】

 誠也せいやは39歳の会社員。『不運☆品目』でアンラッキーアイテムを確認するのが日課だ。リアルタイムでラジオを聞くこともあったが、ほとんどSNSで確認していた。


「うお座、うお座・・・・・・・」

「あー、ワーストだ。アンラッキーアイテムは・・・・・・ 『空気』 ?」

 あわただしく出勤の準備をしながらチェックをした。

「解説もアップしてくれよお」

 実際の放送では星座、アンラッキーアイテムのあとに短めに解説が入る。

「こんなのを毎日、細かくチェックする性格なので結婚ができないのか」

 哀愁を感じながら家を出た。

 誠也せいやは自身が認めるとおり、細かい性格だ。アンラッキーアイテムを聞いてしまうと何とか避けたくなる。


「 『空気』 って、どうやって避けるんだ。無理じゃね?」

 考えながら歩く。

「そうだ! 吸わなきゃいいじゃん」

 誠也せいやは高校まで水泳部に所属していた。肺活量には自信がある。

 そこで、2分に1回だけ息を吸うことにした。


「く、苦しい。でも、ガマン、ガマン」

 歩くと苦しさが倍増した。息を吸いたくなる衝動を抑えながら10分ほど歩いて最寄りの駅に到着した。

 改札を通り、階段を下っているときだった。誠也せいやは意識が遠いて倒れてしまった。そのまま、階段を転げ落ちた。受け身をとることが出来ずに落ちたので運悪く階段の角に頭を強打してしまった。


 最下段まで落ちると周囲は血の海になった。駆け寄る駅員。悲鳴を上げる女子高生。遠巻とおまきに見ている会社員・・・・・・。


 救急車が呼ばれたが、救急隊の到着前に誠也せいやは息を引き取った。


 誠也せいやがSNSをチェックしたあとに 、その日の 『不運☆品目』 の内容を詳細にアップした人がいた。


――

今日のワースト星座は 『うお座』 だったよ

アンラッキーアイテムは 『空気』

最初は 「何それ?」 って思ったけど解説を聞いてわかった!

今日の放送を完コピしとく~


『うお座のアンラッキーアイテムは空気』

『引っ込み思案なあなたも、今日だけは思ったことを発言しましょう!』

――


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