『不運☆品目』~アンラッキーアイテム~【短編集】

松本タケル

【壱】その時、耳元で悪魔が囁いたんです

~~~『不運☆品目』とは?~~~

「第X位、XX座。アンラッキーアイテムは・・・」と、星座ごとにを伝えるラジオ番組。明け方に1度だけ放送される。テレビでは企画が通らずラジオになったと噂される番組だ。SNSで話題になっており放送後に誰かが結果をアップする。

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【不運☆品目『百物語』× タケル『男/しし座』】

 タケルは普通の会社員。最近、ある小説投稿サイトで書き始めた。『兼業小説家』 と表現すると聞こえはいいが、本物の小説家には遠く及ばない素人だ。


 実際に書いてみると、文章表現も苦労したが、それ以上にネタを考えるのが大変だと気付いた。そこで注目したのが、SNSで話題になっているラジオ番組 『不運☆品目』 だった。


「ラッキーはホラーにならないけど、アンラッキーならホラーのネタになる」

 タケルはあさはかにもそう考えた。手順はこうだ。

①毎朝、番組チェック

②ワースト星座とアンラッキーアイテムに着目

③主人公を決定(ラジオ内容を知っている設定!)

④主人公がアイテムとどう関係するのか検討


 番組内容は誰かがSNSにアップする。でも、ネタにするならリアルに聞くべきと考えた。タケルは早起きが苦手なので、ラジオを予約できるレコーダーを購入した。

 

 タケルは早速、放送を聞いてみた。

 幼女役を担当しそうな声優の快活な声。


「今日のワースト星座はしし座! アンラッキーアイテムは 『百物語』」


「百のお話が終わったら本物の物の怪もののけがでるそうですよ。コワーい」


「ほとんどの人には無関係かな? 今日は怪談から遠ざかるのが無難ですね」


 声優の選択も人気なのだが、最大の要因は突飛なアイテム紹介にあった。


「いきなりアンラッキーなんて、関係めちゃありなんですけど」

 タケルはラジオをネタに百個の物語を書こうと思っていたのだ。すでに題名も決めていた。


『不運☆品目』 百物語


「明日まで待てば 『百物語』 がアンラッキーアイテムじゃなくなる。今日、書き始める必要はない」

 不運を避ける対策は極めて容易だ。


 その直後、タケルの心の中に黒い悪魔が舞い降りてささやいた。

「お前、ホラーが書きたいんだろ」

「なら、突入してみなよ 『アンラッキーな世界』 に」

「ネタの宝庫だぜ、きっと」


―その晩

「1000文字くらいなら書けそうだ。最初の主人公は・・・・・・。よし、今日中にアップするぞ」

 タケルはPCに向かって書き始めた。

 彼のフルネームは松本タケル。

 彼は本当にアンラッキーな世界に身を沈めてしまうのか?

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