拷問
小学6年生の時のこと。
週明けの月曜日に先生から、同じクラスの宮沢くん(仮名)と、島田くん(仮名)が急遽転校したことが発表された。
何の挨拶もなく、2人は教室から姿を消した。
突然の出来事に、私たちクラスメイトは動揺した。
この2人には因縁があった。
それは、宮沢くんが島田くんをいじめていたということ。
島田くんは体が小さく、理屈っぽくて、運動音痴。いじめの標的になりやすいタイプだった。
一方、宮沢くんはクラスの中心にいる不良っぽいタイプで、ことあるごとに島田くんへ殴る蹴るの暴行を加えていた。
いじめの中心にいたのが宮沢くんであって、他にもつるんでいじめを働いていた者は何人かいた。
学年のほぼ全員が島田くんに対するいじめを知っていたと思う。
しかし、宮沢くんの両親はPTAの会長を長年務めており、先生も口出ししにくい状況が続いていた。
そんな関係にあった2人が同じタイミングで転校なんて、何か大きなことがあったに違いない。
真相は不明だが、様々な噂が流れた。
最も信憑性が高かったのは、「宮沢くんが島田くんを拷問した」という話。
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放課後、宮沢くんをリーダーとするいじめっ子グループが、学校裏にある公園の草むらで島田くんをボコボコにした。
島田くんは、何人かに地面にうつ伏せで押さえつけられたままパンツを脱がされ、宮沢くんの手で肛門からムカデを入れられた。
ムカデは狭くて暗いところを求めて肛門の中を進んでいく。
宮沢くんがムカデの尻尾を指で叩いて刺激を与えると、外敵に襲われたと勘違いしたムカデが島田くんの直腸に噛みつき、毒液を注入。
鋭い24対の足が、肛門や腸内に次々と突き刺さる。
そんなことを小一時間に渡って行った。
家に帰ってきた島田くんの両親は、顔の腫れ上がった息子を見て事情を問い詰めた。
島田くんは恥ずかしさから、いじめられていたことをずっと黙っていたが、今回ばかりは両親に泣きながら全てを伝えた。
そして病院へ行き、検査入院することに。
島田くんの両親はその後、宮沢くんの家に怒鳴り込んだ。
宮沢くんはしでかしてしまったことの大きさから、島田くんはいじめられたことの恥ずかしさから転校を余儀なくされた。
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このような顛末だったのではないかと、児童や親たちの間で囁かれた。
宮沢くんと一緒になっていじめをしていた者もいたため、その者からこの噂が流れたのかもしれない。
何が真実かはわからないが、火のないところに煙は立たぬという言葉もある。
この噂が全くのウソだったとは言い切れない。
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