気付き

「あいつら何者だったんだ」


天狗は俺達の元に歩きながら言った


「いや俺達もわからん、ただわかるのは、ハーメルンってやつが黒幕ってらしい」


天狗は俺が何かを縄で縛りあげてるのに気づいた


「そいつは?」


「あぁ、あいつらの仲間を一人捕まえたんだ」


「いつの間に」


「まぁ今は伸びているが目が覚めたら、いろいろ聞き出そう」


天狗はそれを見てうなづいた


「そうか、まぁ俺達は帰るぞ」


犬神も俺達のとこに来た


「いやはや、久々に熱くなってしまった」


犬神の目は少年の様に輝いてた


「楽しんだみたいだな。 また呼ばれたら来るか?」


「はい、ユラさんが呼ぶとこは面白いのがたくさんあってとても楽しいです」


「犬神帰るか」


天狗は犬神に声をかけた


「んじゃあ、また呼んで来いよ」


「あぁ」


天狗は元の場所に帰る呪文を唱えた


「・・・・あれ?」


天狗はもう一度唱えた


「・・・」


「どうした天狗?」


「悪いなんか俺の札が反応しない」


「変わりに俺がやるか」


犬神は札を取り出して呪文を唱えた


「・・・?」


犬神はもう一度唱える


「・・・」


天狗と犬神は俺の方を見る


「あ・・・」


俺は思い出した、ここに飛ばされた時俺も同じことしてダメだったんだ


「悪い、そういえば俺も帰れなかったんだ」


「何しとんねん!」


天狗は声を荒上げた


「ははは! ユラさんは相変わらず行き当たりばったりですなぁ」


犬神はげらげら笑っている


「どうやらこの世界は行きは簡単に行けるみたいだけど帰りは大変みたいだ」


「いや、なに冷静に分析してんねん!!」


「ははは!天狗諦めてください、ここで声を荒上げても帰れませんよ」


天狗はがっくりと肩を落とした


「ユラ」


「なんだ」


「行きは簡単に呼べるんだよな」


「ああそうだ」


天狗はそれを聞くと札を取り出した


「ここにしばらくいるとわかったなら、俺も手下を呼ぶ」


天狗は呪文を唱える


「我に忠誠を誓う者ここへ終結せよ」


天狗がそう唱えると、5匹のからす頭の人型の妖怪が現れた


烏天狗からすてんぐか天狗の烏天狗は久々にあったな」


烏天狗は烏が妖怪となった姿だ。ただし自然で烏天狗になるのは珍しい方で天狗が特別な儀式をして烏から烏天狗を誕生させる


烏天狗は片膝を地面につけ頭を下げる


「親方様私たちに何かご用でしょうか?」


「俺はしばらく旅に出る」


「は!」


烏天狗は声を出したが、天狗の発言の問題に気付いて烏天狗たちはお互い顔を見合わせる


「え? 親方様今なんと?」


「旅に出る」


「山は?」


「捨てるだから、烏天狗も旅についてきてもらうぞ」


烏天狗は代々受け継いできた山の放棄に驚きを隠せなかった


「なにを言ってるんですか、親方様戻りますよ」


烏天狗達は札を取り出して呪文を唱えた


「あれ?おい、ほかの者もできるか?」


「できません」


「俺もできんなぜだ」


烏天狗達は帰れないことに動揺してた


「俺も帰れないんだ」


「親方様も帰れないんですか」


天狗は頷いた


「だから、この世界をそこにいるユラと帰るまでの旅に出る。お前達にもついてきてもらうぞ。 山は奪われているなら、帰ってきてから取り返せばいい」


烏天狗達は、またお互い顔を見合わせた


「わかりました。親方様についていきます」


烏天狗は再び片膝を地面につけ頭を下げた


「天狗が手下を呼ぶなら俺も呼ぼうかな」


犬神がそう言うと、刀の花で自分の指を軽く切った。そして巻物を取り出し、自分の血をつける


「犬神に伝える眷属けんぞくよ我の元へ」


そう言うと10頭の犬の形をした妖怪が現れた


犬神十神官いぬがみじゅうしんかんか」


「そうです。ユラさん、忠実な物達です。 旅におおいに役に立つでしょう」


「犬神様の仰せのままに」


犬神十神官は、犬神に永遠の忠誠を誓った10頭の犬の妖怪からなる犬神の側近達だ


烏天狗達と違い、こちらは大きな混乱はなさそうだ。


「ユラさんも、他の者も呼ばないんですか?」


「あぁ、それは後々かな。 今まとめて呼んでも、烏天狗達みたいに混乱するのは目に見えてるから」


「ユラ」


天狗と犬神と俺とのやり取りを見てた、ハクビは俺に話かけてきた


「どうした?」


「俺が思ってた以上にあんたは凄いやつなんだな」


俺はハクビに向かって微笑んだ


「あぁ、俺は凄いやつだぞ」


夜が明ける朝日を浴びながら言った





元の世界


京都のある寺


安倍涼音あべのすずねだ!」


ぬらりひょんを目の前で逃した、安倍涼音は京都に行きある寺を訪れていた。しかし、門番により止められていた


「開けとけ」


「はっ!」


寺の中からの声により、門番は道を開けた


その奥に住職が立っていた


「おっそいぞ! じじぃ!」


「カッ! カッ! じじぃとは何だ! わしはまだ若々しい80歳じゃぞ!」


「いやそれをじじぃって言うんだよ」


元気なじじぃだなと思いつつ、天女の手鏡を取り出した


「ほほぉう、中々の呪物だな」


「一目見てわかるのか、さすがだな」


「カッ!カッ!まぁ、呪物だというより呪物だったって言うべきか」


呪物だった?涼音は不思議に思い聞き直す


「呪物だったとはどういうことだ」


「まぁ落ち着け落ち着け」


寺の住職は寺の方へ歩いていく


「ついてこい、真実を話そう」


涼音は寺の住職についていき


寺の中へ入っていった





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