白蓮卿・猩々

森は静まり返り、木々の葉っぱが風で擦りあう音が聞こえる


「どんな世界でも星と月、太陽は共通なんだな」


俺がそうつぶやくと下で座ってたリザードマンが立ち上がった


「あんたの世界?でも見える空は同じなのか」


「あぁ同じだ。てか、なんで俺の後なんかついてきたんだ。 魔物達が逃げるほど強い奴なんだろ」


「ここの山はな、元々俺達リザードマンの住処すみかだったんだ。 数年前に突然現れた怪物に俺達の住処を奪われたままにされてたまるか」


リザードマンはそういうと、拳を握りしめた


「まぁ、力になれるかわからんが。 多少は協力するさ」


そう言ってると、妖力が濃くなるのを感じた


「来たか。 そう言えばリザードマン名前は?」


「ニイル」


リザードマンも気配に気づいた。 気配の方向に体を向けて構える


「ニイル、この山の主人が目覚めたみたいだぞ。 こっちに向かってるな」


確かに称号? だっけな、持ってるだけある中々の妖気だ


「誰だ? 我の山に入り浸る者は?」


森の中から、現れたのは白い仮面をし、白髪で長髪、長く研ぎ澄まされた爪、人型の妖怪。珍しいのがいるな


「久々に見たな。 中国から来た放浪妖怪。 日本には来ずにここに来たのか。 なぁ猩々しょうじょう


「あんた、知ってるのか?」


リザードマンのニイルは、こいつの正体が猩々ってのを初めて知ったんだろう


「あぁ知っとるとも、俺がいた国とは違う国に住んでいるやつだ。 たまにその国からの船に紛れ込んで日本に来たりするやつだ。 ニイルこいつの称号は?」


白蓮卿びゃくれんきょう


「ははは!! 白蓮卿の猩々か、大層な名前だな!」


猩々は俺の言葉に反応して俺に顔を向けた


「普段見ない顔がいると思ったら、ぬらりひょんか珍しいのがいるな。 そして、元々ここにいたリザードマンか、妖怪と魔物が組むのか面白い」


猩々は袖から小太刀を両手にとった


「二刀流か」


俺は腰に掛けてあった刀を構える。 ニイルも槍を構えた


猩々は地面を蹴り瞬時に俺の前に近づいた


「早いな」


俺は刀で猩々の攻撃を止めた。 力強さは驚くほどではない、ただ次の攻撃や踏み込みや距離置くなど判断が早い。 俺は地面を蹴り猩々から距離を取り。 刀を鞘に納めて、左手を鞘に添え、右手を刀のつかに左足を後ろに下げて右足を曲げて抜刀の構えをした


「近づいてみろよ、この円に入ったら斬るぞ」


人間の抜刀術とそれに俺が妖術などを組み合わせた自分であみ出した我流の抜刀術だ


猩々はそのまま俺に向かって高速で近づいてく


「妖怪が人間の抜刀術を使うのか!」


猩々が円に入った瞬間、俺は高速で刀を鞘から抜いた。猩々は一瞬で下半身と上半身が真っ二つになった


「抜刀術・影波(かげなみ)、周りに妖力で作った壁を作っといて、その壁に物体が触れた瞬間、刀に溜めといた妖力が爆発的な瞬発力で反応して鞘から刀を抜く、あまりの速さに自分の動く影が遅く見え、まるで動きが波をうってるように見える」


意外とあっさりだったな。


「白術(はくじゅつ)、白花(しろはな)分身の術」


「なに!?」


斬ったはずの猩々が白い花びらになって消えた


「忍術使えるのかよ」


白蓮卿って言われる称号がついた理由がこれか


猩々から変わった白い花びらが空に舞っていく


「白術、白花吹雪の術」


忍術だけが聞こえる、どこから忍術を唱えている


「おいおい、連続で術を使えるのかよ」


一つ一つの花びらが、自分に向かって飛んでくる。 俺は、再び抜刀術の構えをして、円に入った花びら一枚一枚を高速で斬っていく


「くっ、間に合わねえ」


防ぎきれなかった、花びらが小さな刃物として体を斬ってくる


やがて、ぬらりひょんのユラは地面に倒れた


「なかなか強かったぞ、ぬらりひょん。 斬られる直前、咄嗟に小太刀を手放して印を結ばなければ俺は斬られていただろう」


猩々はそう言いながら暗闇から現れ、落とした小太刀を拾った


「猩々!」


反撃の隙を伺っていたニイルは、地面から飛び出し持ってた槍を猩々に向かって投げた


「なるほど、俺とぬらりひょんが戦っている隙に地面に潜んで隙をずっと伺っていたのか」


猩々はその槍を避けて、ニイルに向かって走り出した


「影絵」


猩々は、さっき倒したはずのぬらりひょんの声が後ろから聞こえて、慌てて振り返った


ぬらりひょんのユラは、さっきニイルが投げた槍を手に持っており。 そのまま猩々の背中を突き刺した


「さっきのリザードマンが投げた槍は俺に向かってではなく、後にいたぬらりひょんに向けて投げたのか...まったく気配に気づかなかった...」


猩々はそういうと地面に倒れた






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