【乗車記】2階建て新幹線
今回は新幹線のお話、というか乗車記ですね。
10月に引退したばかりなので、記憶に新しい方も多いと思います。
少々のハプニングを交えますが、どうぞお楽しみ下さい。
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埼玉県の
上越新幹線には「Max」と呼ばれる二階建ての新幹線が走っており、速度の向上とかで引退するらしい。今回はこれを狙って来ており、要するにお名残乗車というわけだ。
ちなみに実行日は2021年(令和3年)の2月13日から14日である。読者の皆様は、この日付を覚えておいてほしい。
指定席を取ってあるから慌てる必要はなく、2階席へ歩を進める。土曜日の朝、さぞかし混んでいるだろうと思ったらそうでもなかった。
後で分かることだが、このMaxが引退するのは10月の始め。まだ鉄道ファンらしき人影はいない。8ヶ月前に行けばこういういつもどおりの雰囲気を味わえるのに、なぜ皆してわざわざ直前に行くのかが分からない。
もちろん、私も廃止の直前に行ったことがある。しかし混雑しているのは目に見えているからそういうのは数えるほどだ。引退の噂なんて数年前から流れているのだから、空いているときに乗ったほうがゴミゴミせずお得に感じる。尤も、最後に乗ることを目的とする人もいるから一概には言えないが、私はそういう方針である。
列車は関東平野を北上し、群馬県の県庁所zゲフンゲフン、大都市
水上はイベントの時に不正乗車が多いことで知られる。初乗りの切符を手に入れておいて、何事もなかったかのようにすり抜ける輩が後を絶たないという。そのために1つ手前の
閑話休題。
地理や気候に詳しい人なら良くお分かりだろうが、日本海側の冬は厳しく、雪が降る。雪は鉄道の大敵で、道路の整備事情が良くなってきた昨今でも鉄道の方が雪には強いが、日本海側、特に秋田県から福井県の辺りまでは、水分を多く含んだ重い雪が降る。雪が重くて列車がはねのけられずに立ち往生してしまうと、通れないから運休になる。山間部ほどそれが顕著になっている。新幹線はトンネルが多いので運休は少ないが、それでも雪で遅れることはある。
ここまでが前提で、上毛高原~越後湯沢間の種明かしをすると、この区間にトンネルは「
雪が積もっている越後湯沢を9時09分に発車。私の乗っている13号車2階席には、私以外誰もいなくなった。越後湯沢までは一定数の客がいたが、スキー客なのだろうか、ほとんどが降りてしまったのである。することもないので車内を歩き回ると、デッキの横にガシャポンを発見した。「Max限定・駅名標マグネット」とある。私は限定の品に弱い。つい一つ購入する。
高崎から全ての駅に停まって最後は越後平野を突っ切り、新潟には9時56分に着いた。越後湯沢から先はあまり乗客の入れ替わりがなかったところをみると、スキー客のための2階建て列車なのだろうかと思わせられる。16両編成1634席、その収容力は偉大である。
この後は秋田県へ行き、ローカル線にいくつか乗る予定である。今日中に秋田まで行ければいいので、乗るべき特急列車までは十分すぎるくらいの時間がある。そういう訳で、Maxとゆっくり別れを惜しんだ。といっても見ていただけだが、間もなく引退の身、もう会えない可能性が高い。そう思っていた、翌日の朝までは。
翌日(2021年2月14日)午後4時、私は再び秋田駅にいた。
『お客様に繰り返しご案内致します。昨夜の地震の影響により、秋田新幹線は終日運転を見合わせます。東京方面へお出でのお客様は……』
正確に憶えている訳ではないが、駅の放送は大体このようなものだった。
そう、記憶に新しい人も多いだろう。2月13日深夜、東北地方で大きな地震があったのだ。私は、秋田のビジネスホテルに宿泊していながら、地震の時は爆睡していたという図太い神経の持ち主だが、結構大きい地震だったらしい。
秋田を早朝に出る時は「新幹線は安全確認が終わり次第昼過ぎに運転再開見込み」とのことだった。これから
しかしこの際、帰れれば文句は言わない。奥羽本線の
〔いなほ〕には自由席が付いている。満席になるほどではなかったので、楽に席を確保できた。だが車内放送で『この列車、混雑する場合があります』と言っているのを聞くと、普段よりは多いのだろう。とすると、いつもはガラ空きで秋田を出発しているのだろうか、それとも指定席の客が多いのだろうか。
列車は
そして定刻20時09分、〔いなほ14号〕は遅れもなく新潟駅の新幹線乗り換えホームに滑り込んだ。隣に待ち構えている巨体は20時20分発〔Maxとき348号〕で、今度は8両編成だ。席を確保しようと気が急いたが実際はそんな必要もなく、乗車率50%ほどの1階席へありつけた。つくづく2階建ての座席数は恐ろしい。一応言っておくが、これは褒め言葉である。
どうせ外は見えないからと、適当にまどろんでいる間に上越国境を過ぎ、後ろにいた男女3人組の「シーッ! 寝てる人いるから」という声で目が覚めた。高崎の手前であった。
高崎でなぜか〔Maxたにがわ〕8両を前に繋ぐ。運用の都合なのか定かではないがとにかくそういうことになっていて、連結を済ませた16両編成は22時02分、大宮に着いた。改札口で駅員にきっぷを見せると「随分廻ってきましたねぇ」と驚かれた。
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いかがだったでしょうか? ニュースにもなったので、上越新幹線の「Max」の引退は、知っている方も多いと思います。
乗ったのが引退の8ヶ月前だったので引退ムードはどこにもなく、観光や都市間の輸送に、大きな巨体を走らせ従事する2階建て新幹線の、普段の姿を感じることができました。
最後の方は駆け足になったばかりか、Maxのことほとんど書いてないですね。すみません(汗)。取り敢えず帰れるかどうかで焦っていたのは確かなので、そんななか目的地の大宮まで定時運転をしてくれたことは本当に感謝です。行きはよいよい帰りはドキドキ、そんなドタバタ旅の中でMaxは(文字通り)大きな存在でした。
ちなみに「ローカル線に乗った」とサラッと書きましたが、機会がありましたらそちらの方も書こうと思います。それでは。
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