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中庭からこの廊下のしたを流れていく小川は、凍てついて沈黙していた。しかし二人にとってこの小川の
彼女の母は、噴火口を刺激し溶岩を放出させる術に長けていた。のみならず溶岩を飲み干すことに酷い
ふたりはがらんどうの
「あなたはいままで、これくらいの量を一度に出したことはあるの」
「もう、忘れましたよ」
「散々してきたせいで忘れてしまったのか、本当は、全然オンナを抱いていないのか……どちらなのかしらね。覚えていないということは、そういうことでしょう」
「あなたに事実を突きつけるのを、かわいそうだと思っているのかもしれませんよ」
「どうかしら」
彼女の母は、
毎夜、こうした結論を覆すことができない。しかしこの宿命に抗うことができる手段があるとすれば、藝術に忠誠を捧げることだけであろう。それ故に彼は、陽の光が中庭を照らしているときだけは、至上な幸福を感じることができた。だが一方で、夕陽の沈むころになると、別の形の高揚感みたいなものが頭を
日中、彼女が鹿島の
筆者は、彼女にひとつふたつ、助言を与えたいところではあるが、今回ばかりは、差し控えるしかない。
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