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18-02 倫理観が欠如した人間ではなく、倫理のようなものを鋼鉄の
18-03 功利主義の末裔は、薄い鉛筆で習字をしているだろう。そして、わたしたちのしている(していた)習字を、倫理に通ずる
22-01 わたしたちは、あらゆる人間が「他人」であることを知りながらも、わたしにとってかけがえのない存在をそこから選び取り、「他人」という集団に序列をつけて生きている。もし「他人」から序列を剥ぎ落すことができれば、嫉妬や依存は不要になるだろう。しかし、わたしが、わたし自身を「他人」として
22-02 謙遜は美徳ではない。わたし以外の「他人」がいることの証左にすぎない。
22-03 もし「他人」だけの国があるとしたら、わたしはエイリアンであろうか。それとも「わたし」という領野だけがあり、「他人」というのは無数のエイリアンの言い換えに過ぎないのだろうか。しかし、こうした二項対立的な思考を脱構築してしまえば、わたしたちは、エイリアンの星で、嫉妬、依存、自己嫌悪、己惚……そして謙遜と戯れることができのるかもしれない。
35-03
35-04 もしPlatonic Loveでない関係を持ってしまったとしたら、永遠に手にすることのできない純心を追い求めるしかない。しかしもし、その純心を手に入れてしまったとしたら、朽ちた老木になったということに甘んじなければならない。
42-04 わたしたちは、過去に実現したかもしれないちっぽけなことを、未来において、壮大に実現させようと苦心するものだ。しかし未来のわたしたちは、その先の未来において、同じことに苦心するだろう。
――――――
鹿島は、カレン・オーの箴言集を閉じると、由紀に電話をかけた。繋がらないと思っていたのに、繋がってしまった。もう、観念するしかない。芯の太い鉛筆で、雪舟の贋作の掛け軸に線を入れるような心持で、言った。
「一度、会って話さないか」――と。
――――――
42-05 わたしたちは、
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