オーケストラ

第1話 雨は降っていませんか

２０歳の時、嬉しさは無く、雨が降っていた。小さな欲望が命をつないでいた。

死を望むけど、ほんとに死にたいわけでは無くて・・・。

風邪を引いたときに、土砂降りの雨の中でただずんでみたりとか。そういう戯言みたいなことをして遊んで、ゲームをして、またビデオを見て、遊んで、ゲームをして

その繰り返し。その繰り返ししかなかったのだけど。

ボクは生きている意味も分からなくて・・・。

そんなだから・・・女性に騙されて・・・６００万ほど借金して、２７０万になるまで返済したけど、そこで病気になって返済が滞ってしまって。

その時に消費者センターに電話することを祖母に教えてもらって、商品を返すことで借金はチャラになる変わりに、違約金５４万円を親に頼って支払ってもらった。

でもはぁ。ああ、そうか。その時に「失敗しちゃいけない」って・・・思い込んで。

うんうん。まあ、そうなる前から「失敗しちゃいけない」って思いこんでいたね。

あーなるほどね。

そりゃ、脳が痛むわけだ。

ボクは２０歳のときに「てんかん」って病気を告げられた。

診断された。

自分をずっと責めてたんだね。

やっと分かった気がするよ。

だから、今。

「失敗してもいいんだよ。たとえ怒られても失敗してもいいの。間違えてもいいの。」そう自分に伝えている。

心臓から全身に回る血液が、新鮮さを帯びて、喜んでいる。

そんな気がする。

やっと雨が止んだ気がするんだ。

雨は降っていたけど。やっと止んだ気がする。

そんな気持ちなんだ。