第40話

「ツ、ツカサお兄さん!!こんな手紙が…!」


 テルナが顔を真っ青にして、一通の手紙を俺のもとまで持ってくる。


「なんだなんだ?」


 宛て先は…俺!?差出人は…


「…民生局支部総長コザット…!?」


 その名前に、ここにいる四人全員が戦慄する。


「な、なんでコザットがツカサに!?」


 …もはや内容は見なくともわかるが、俺は念のために手紙に目を通し、奴らの意図を認識する。


「…なんとびっくり、局の中央本部に呼び出しだ…支部総長直々にな」


 ついに動いてきたか…前にキールが警告してきた通り、権力でもって俺たちをつぶすつもりなんだろう…


「ツ、ツカサさん、どうしますか?」


 ユキさんが心配そうに俺の顔を見る。その後ろのミリアナとテルナも、同様の表情で俺を見つめる。俺は一間置いて言葉を発した。


「…向こうが会いたいと言ってくれてるんだ。会いに行ってやろうじゃないか」


 負ければおそらく、俺たちに未来はないだろう…しかし、ここで逃げるわけにはいかない。いろいろな人たちが俺たちと一緒に戦うことを決めてくれたんだ。彼らの思いを無下にするわけにはいかない。


「期日は三日後だ。俺が一人で乗り込んで、必ず奴を終わらせてやる」


 そう、俺は一人捨て身の覚悟で乗り込むつもりだった。それならば最悪、俺一人が罪をかぶってほかの人たちは救えるかもしれないからだ。しかし、その俺の考えに三人はノーを突き付けた。


「そんなのだめですよ!!!」


 温厚なテルナが、見たことのないほど迫真な表情を見せる。


「なに?私たちを信用してないわけ??」


 超絶不機嫌そうにそう言葉を吐くミリアナ。


「私はツカサさんにお願いをした時から、進退をともにする覚悟なんです!!今更後ろで見ているだけなんて絶対に嫌です!!」


「し、しかしだな…」


 俺はそこで言葉を止め、改めて三人の表情に目をやる。…ちょっとやそっとでは揺るがない表情を三人とも浮かべている。…どうやら俺は、三人の覚悟を見誤ってしまっていたらしい。だが言われてみれば、それもそうだと感じた。今までこんなに一緒に戦っておきながら、最後の時だけ席を外すなんて、俺なら絶対に嫌だからだ。きっとこの三人も、俺と同じ思いを抱いてくれているんだろう。…ならば俺も、三人の思いにこたえなくては。


「…よし、分かった。それもそうだよな。キールやコザットの悔しがる顔を、俺だけが独り占めしちゃ悪いもんな」


 俺の言葉に、笑顔で返事をしてくれる三人。見ていろ、キールにコザット。俺たちの覚悟は固まった。もう謝っても許してはやらない。自分のしたことを、死ぬほど後悔させてやろうじゃねえか。

 しかし三日となると、悠長にはしていられない。まだまだ証拠が全く足りないのだ。


「勝負は三日後だ。正直かなり厳しいが、こうなったらやってやるしかない」


「「了解!!!」」


 俺たちは急ぎ、最後の戦いに向けての準備を始めた。クーアさんとの調整や支局長たちとの情報のやりとり、ゴミ山での情報あさりまで、やれることをすべてやった。


「必ず、勝って見せるとも」

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