第19話
「それで次に、これをすると効率的ですよ」
「ふむふむ、なるほど…」
ユキさんとミリアナはキッチンに向かい、食事の支度をしてくれている。二人とも料理のスキルはかなり高いようで、その二人が組んでいることで相乗効果が生まれているようだ。…それにしてもこうして並んでいる姿を見ると、本当に親子…いや姉妹?に見えるなぁ…
そんなことを考えながら二人の姿を見ていたら、俺の隣に座るテルナに不意に話しかけられる。
「…ツカサお兄さんが今考えていること、当ててあげようか?」
…すさまじいジト目で俺を見ながら、そう言ってくるテルナ。
「な、なんだよ…」
俺はテルナから若干目をそらし、そう言葉を投げた。
「どっちの方がいい女かな~って考えてたでしょ!絶対!」
俺の顔面に人差し指を向け、そう断言するテルナ。
「ば、ばか!んなわけないだろうが!」
「ええー!絶対そういう顔してたもーん!」
「ち、ちがっ!俺は二人の今後の事をだなぁ…!」
と、くだらない会話をしている俺たちだが、どうやら耳を澄ましてみると、それはあっちも同じようだった。
「…それで、いったい何を食べたらそんな胸になるのかしら?」
「で、ですから私はそんなに大きい方じゃ…」
「いくら誤魔化しても無駄よ!!私の目にはそのたわわで豊満なものが透けて見えてるんですからっ!」
「ひっ!」
…双方でそのようなやり取りが繰り返され、皆体力が尽きたのかようやく静まり、食事の時を迎える。
「「いただきまーす」」
4人で手を合わせ、合唱する。机の上に広げられた食事は…それはもう絶品で信じられないほどにおいしかった。…前の世界で食べてきたものをカウントしたとしても、きっとこれ以上においしかったものはない。
「うん!うまい!」
…思わず、子どものような感想を口にしてしまう俺。笑われてしまうかと思ったけどそんなこともなく、ユキさんもミリアナも笑顔でありがとうと言ってくれ、テルナに至っては俺よりも大きな声でおいしいおいしいと叫んでいた。
その後も陽気なムードで食事は進み、皆で合わせてごちそうさまを唱え、食事の時間は終わりを迎えた。
…しかしそこで、ある問題が頭をよぎる。三人で寝るにもなかなかいっぱいいっぱいだったこの小屋で、四人が寝る方法とは…
「…俺ちょっと、また調べものに行ってくるわ」
…ひとまず空気を読んで外に出ようとした俺を、三人が力ずくで引き留める。
「気を使わなくても大丈夫よツカサぁ。つめれば問題なく寝れるわぁ」
「い、いやでも…」
「お兄さん、私たちと一緒に寝るのは嫌ですかぁ?」
「さ、さすがに密着が過ぎるんじゃ…」
「あら。ついさっき民生局で、私に男らしい姿を見せてくれたツカサさんなら、そんな覚悟はもう決めていらっしゃるのではなくってぇ?」
「…」
俺に拒否権はなかった。
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