第1話 雨

 さて、記念すべき一話目のテーマは雨やって。今雨降ってるしちょうどいいかなって思ったんや。単純やなぁ……。テーマは決まったけどジャンルや、何にしよかな。僕が好きなんはSFやけど、初めてにSFは難しくないか? まぁ、物は試しや何事も挑戦、挑戦。頑張ってみるで。


『蝸牛騒動』

 雨の音が心地よい。ポツポツ、カンッコロンなんて音が家の外から聞こえてきて、このまま目を閉じるといい夢が見られそうだ。と言っても寝ることはできないのだが。

「おいお前、お前は一体何なんだ?」俺は目の前にいる巨大なカタツムリに声をかけた。「デーンデンムーシムシカータツムリー」いや、見れば分かる。どう見てもカタツムリだ。「なぜここにいる」「カタツムリー」全く話にならない。……いや、お話ができる時点でおかしいのだが。ついに俺の家にも出たのだ、巨大カタツムリ。近頃テレビで話題になっていたが……。出現原因は不明、人体に特に害はないらしい。バラエティー番組で可愛いマイマイちゃんとかなんとかいってお茶の間を賑わせているらしい。

 とりあえずカタツムリの食事って何だっけ。昔飼ってたカタツムリはキャベツ食ってたよな。なんて事を考えながら冷蔵庫の隅で萎びていたキャベツを放ってみた。「…………。」無反応である。なんて可愛げのないヤツなんだ。試しに新しくスーパーで買って来た新鮮なキャベツを出して目の前に置いてみた--と同時にヤツはキャベツの上に乗っかったかと思うとシャリシャリと音を立てて食べ始めた。なんだ案外グルメなんだな、なんて呑気な事を考えていると、ゴゴゴゴッという音と共に殻にこもってしまった。「なんだもう寝るのか」俺は独りでそう呟き自分も寝室に向かった。なんとなく部屋が生臭かったが、気のせいだと思うことにしてさっさと寝ることにした。明日は休日だ。

 翌朝、巨大カタツムリは忽然と姿を消していた。なんだやっぱり昨日のは夢だったのか、と思いながら朝のニュース番組にチャンネルを回した。「続いて今大人気、マイマイちゃんの知られざる魅力を伝えたいと思います。料理研究家の舞米さん、よろしくお願いします」「はい、このマイマイちゃん可愛いと大変人気なんですけど、実はとーっても美味しいんです。今日はこのマイマイちゃんを使ったマイマイステーキをご紹介したいと思います。ではまずこのマイマイちゃんの殻を……」

 ニュースの内容はこうだ。巨大カタツムはA5ランクの牛肉のような味だということ、家庭でも簡単に調理ができるということ。燐酸第二鉄水和物と呼ばれる物質に非常に弱く万が一与えてしまうと蒸発してしまうため餌には無農薬の野菜が良いとのこと。そして巨大カタツムリは近々養殖され牛肉に変わる食材としての活用を検討しているとのことであった。

 そのニュースの影響か否か世間のマイマイちゃんブームは違った形で更に熱くなっていた。マイマイバーグ、マイマイまん、マイマイドッグ……すっかり食材としての地位を獲得していた。中には愛護派が抗議の声をあげていたが、じきにすぐ収まるだろう。

 俺か?あんなカタツムリなんて食いたくはないね。そんなことよりもあのスーパーにクレームの電話を入れてやる。あのキャベツ、無農薬栽培だったから買ったのに……。


雨……関係ないやんなこれ。カタツムリやん。カタツムリの話やん。まぁでも初めて一つの話を完成させることできたわ。よかったよかった。

 エスカルゴは好きやで、ファミリーレストランでしか食べたことないけど。こんな話やけど最後まで読んでくれてありがとうな。ここまで読んでくれてはるんやろか……。

 次回もよろしく頼みます。ほな。

 

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小小説 @Soutacos777

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