第2話 信長の話

さんざん俺を煽り散らかして満足したのか彼女もとい信長は言った。

「この戦争ゲームには3つのルールがあるんだ。まず1つ目、途中でのギブアップは認められない。2つ目、この戦争ゲームのことを知らない人には話してはならない。話した場合ペナルティを与える。3つ目、各武将と仲良くしましょう。この3つだよ!分からなくなったら説明書を読んでね〜。」


その説明書とやらを渡しながら気楽に信長は言った。しかし、俺の中には1つ分からないことがあった。

「この戦争ゲームのことを知らない人に話してはならない。話した場合ペナルティを与える。って書いてあるが具体的にはなんなんだ?」そう、ペナルティと言ったらロクなことがない。だからその内容を確認したかったのだが、信長は「知らなーい!多分ゲームマスターしか知らないんじゃないの?」と知らない宣言をした。使えねえと思いながら周りを見回し周囲の確認をする。


目の前にはでかい駒が8駒広がっている。信長が言った通りこれが将棋ならこの駒の前にもいくつか駒があるはずだ。確か全部で16駒だったか…そして周りは暗い空間。駒と盤は光っているから分かりやすい。


「おいポンコツ。この駒はどう動かすんだ?大体分かる気がするが…。」この駒を動かすには俺が20人はいりそうだ。


信長が見かねた様に「あのさぁ、一応私って信長なんだよ?天下の信長様だよ?ポンコツって言うのやめてよ…」などとグズっているがしかしまぁポンコツはポンコツなのだからしょうがない。だが先に進むためには信長の力が必要だ。仕方がない、少し機嫌を取るか…。

「はいはい。よしよし〜。」いつも妹にするみたいに笑顔で頭を撫でてみたがどうだろうか…。

「うぇ…?」信長は撫でられたことに最初は気づかなかったみたいだが段々と笑顔になっていき5秒後くらいには気持ち悪い笑みを浮かべていた。

「そんなに撫でても何も出ないよぉ〜?」

……チョロいな。チョロすぎる。と思った俺だったが信長が見せる笑顔は年相応のもので不思議と俺の心を和ませた。



「そういえば信長。これから戦争ゲームをしてもらうとか言ってたが将棋を指せば良いんだよな?」俺が確認を取ると信長がキョトンとした顔で「そーだよー!」と答えてくれたのだが…「これ、相手いないけど誰と指すんだ…?」俺が純粋な問いを口にすると信長は声を震えさせながら「あれ…?今日って5月20日じゃない…?」

…まさかな。天下の信長様が日付を間違えるだなんてそんなことあるはずがないと、もはや現実逃避の様に俺が思っていたら追い打ちをかけるように「今日って19日だったりする…?」信長が口を震わせながら…いや、肩も震えてんな…ん?なんか全身震えてないか?このまま消えるみたい…その時思い出した。

「あ、スマホの充電昨日からしてないわ」

「なぁ〜にしてるんじゃボケェ!」あっ、消えた。




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現代世界で戦争を!? イドソン @Idoson

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