ナルコオブザデッド
ナルコオブザデッド
人類文明はこの鳴子グレイスホテルに残った100名が最後となった。
突如として世界中に蔓延したウィルスにより、世界中の人間がゾンビとなった。
人類が追い詰められていった先が、このホテル。
このホテル周辺は特別に湯量が多く、まるで湖の中にホテルが浮かぶように、周囲を温泉で囲まれていた。
ゾンビたちは何故か温泉に近づこうとしないため、このホテルだけが助かっているのだ。
しかし備蓄も底をつき、ホテル内の環境は過酷度を増していく。
最後の非常発電機の燃料も切れ、ホテル内は暗闇に包まれた。
しかしその瞬間、轟音。
ドン、と低い音を響かせるカノン砲と、バリバリとゾンビを薙ぎ倒すガトリングガン。
戦車の隊列。
人類はまだ生きていた!
ゾンビを殲滅した彼らは、横須賀から草津へと逃げ延びた自衛隊だという。
ゾンビには、硫黄が効くのだ。
なるほど、温泉に近づけないのは、硫黄がゾンビを遠ざけているからだった。
作戦は、全員がホテルの屋上に避難したうえで、源泉を爆破。
この一帯を温泉の海にすることで、一気にゾンビを浄化する。
ホテルに残った人々は歓喜して屋上へと登った。
そして、ついに源泉が爆破。
ホテルの3階ほどまで競り上がった温泉の通った後には、ドロドロに溶けたゾンビのなれ果てが転がっていた。
作戦成功である。
屋上へ避難した人々は、互いに抱きあい、喜びを分かち合った。
硫黄により温泉に溶け込んだゾンビのウィルスは、温泉の湯と共に蒸発して雲を作った。
そのうち、雨が降り出したが、人々はお構いなしに喜び続けた。
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