バグ【ロウソク/挨拶/エイリアン】

新作は宇宙人体験アトラクションだ。

A高オカ研名物、文化祭でのオカルト体験。

「ふれあいオカルト広場」である。

今年オカ研部長となったヤマナカはしかし、おままごとのような超常体験に辟易していた。

今年のテーマはリアリティである。


ハタナカチカはオカルトを愛好する中学三年生。

A高オカ研文化祭の常連。

今年はどうかなと入場すると、既にかなりの満足感を得ていた。

ほぼ前が見えない暗闇の中を進むと唐突に現れるグレイ。


ファーストステージはグレイとのグリーティング。

選択を誤るとキャトルミューティレーションされてゲームオーバー。

ポイントは目をそらさないこと。目をそらさず、会釈もせずに挨拶をすることで有効な関係が築ける。

張りぼてではなくリアルなゴムスーツに人間が入っているようだ。

力の入り方に震える。


それを妨害するように室内には虫が飛んでいる。

振り払いながらグリーティングをクリアする。


セカンドステージはいわゆるエイリアンとの遭遇。

エイリアンもかなり作りこまれたハリボテだ。

エイリアンの懐にある脱出ポッドのスイッチを押し、脱出せよ。

エイリアンは目が見えないので、静かに下を通ればオーケー。


エイリアンの下を通っていると、腕によだれが落ちてくる。

思わず叫び声をあげてしまうほどに熱い。

低温ろうそくがたらされている。


ここの部員は頭がおかしい、と思いながらスイッチを押そうとした瞬間、

腕にさっきとは違う刺激。ハエが腕を刺している。

これはダメ。


チカはスイッチを押して脱出。

すぐに外から窓をぶち破った。


何をする!と部員らしき人物が詰め寄ってくる。

アンタこそ頭がおかしい!

この空間に放されていたのは、ヒトの皮膚に卵を生みつけるヒトヒフバエだ。

刺された後に放置すれば、皮膚の下で卵が孵化して、幼虫は皮膚を食い破る。


卵が体内に生み付けられてこその・・・と騒ぎながら、騒ぎを聞きつけた教員に連行されていく。


ふう、と一息をついてチカは自分の腕を眺める。

まぁでもせっかくだし、と踵を返して帰路へ着く。

この後、皮膚から虫を摘出するのに地獄を見ることになるのだが、これもまた経験、とニヤつくチカだった。

オカルトファンは頭がおかしいのだ。

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