ザ・ワールド・イズ・マイン【一生/ピエロ/カレー】

誇り高くあれ。そして失敗せよ。

パパはアメリカいちのピエロだった。

パパが言うには、ピエロたるものいつだって誇り高くなくてはいけない。

誇り高きピエロの失敗こそ、人に笑顔をもたらすものだ。

誇り高くあれ。

そして、失敗せよ。


パパのようなピエロになりたい。

僕は誇り高い男でいた。そして、失敗した。

イギリス王室に伝わるという誇り高い欧州カレーを失敗したときはクラス中の大爆笑を誘った。

まぁ、帰って少しだけ泣いたけれど。


僕は誇り高い存在でいた。

そして失敗をし続けた。

ピエロの周りには笑顔が絶えず、人が集まってくる。

人が集まるところにはお金が集まる。

僕はいつのまにか、いわゆる億万長者になっていた。


そして僕はこの有り余る資金を使って、一生に一度の失敗へと挑む。

アメリカ合衆国大統領選挙。

僕の誇り高い行動は古き好きアメリカをおもいださせるし、僕の失敗は親しみやすさを呼ぶんだとか。

R党を代表して挑むこの選挙、僕が落選することでこの一世一代の喜劇は完結する。


結論から言うと、当選してしまった。

そこにあったのは笑顔というよりも、熱狂とか、そういう表情。

何か思っていたのと違うな、という感覚。


どれだけ無茶なことを言っても、仲間たちは僕を肯定した。

もう僕は、失敗するということが出来なくなってしまっていた。仲間たちが僕の失敗を、失敗でなくしてしまう。


もう僕にはこの失敗しか残っていなかった。

僕は受話器を手に取り、コードを伝えた。


ミサイルが放たれた。

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