BUBU【パーティー/目玉/皮肉】

僕には憧れの先輩がいる。

いつもクールで仕事もできるナイスガイだ。

しかし僕は先輩の秘密に気付いてしまった。

先輩は乗り気じゃない飲み会では必ずお茶漬けを頼んでいる。

「空きっ腹はよくないから」なんて言っているけれど、お茶漬けを頼んだ日は必ず一次会で帰っているから間違いない。

先輩はめっちゃ帰りたいのだ。

そんなある日、取引先とのパーティーに駆り出される。

こういう時先輩は必ずつまらなそうにしている筈・・・。

思った通り、ホールのスミで黙々とワインを煽っている。

僕は思い切って先輩に声をかけることにした!

ケータリングから適当なライスメニュー(なんかのパエリア)と、ドリンクカウンターから烏龍茶をかっぱらい、先輩のもとへ向かう。

「先輩!一緒にお茶漬けなど、いかがでしょうか!」

パッと顔を明るくする先輩。

「オイオイ分かってるなタカハシ!」

パーティーもそこそこに2人だけで飲み直すことに。

「俺は親が厳しくてね、感情を表に出すなんてみっともないって言われてたから」

「でもお茶漬けは露骨過ぎますよ」

「ハハ、そうか?」

メニューをめくる先輩。

「んー、目玉焼き喰いたい」

「へ?」

「楽しい時はさ、目玉焼きなの、俺」

「目玉焼きは朝メシじゃないですか?」

「そういうこと。まだまだココが始まりってコト」

ガッ、と頭をぶん殴られた(比喩)僕は思わず飲み過ぎてしまう。


気付いたら知らない天井。頭痛の極み。どこかのリビング。

「お、起きた?」

「せっ、先輩?!」

「なんだ、覚えてないのか?酔っ払った勢いでってのは感心しないな」

ぼ、僕は先輩と何を?!

「目玉焼き、喰う?」

その話は覚えている。

「いただきます!!」

「ありがと」

先輩が僕にキスをして・・・。

この日が僕たちの"始まり"になった。



実は今日も出勤日でした。

先輩とふたりで"大目玉"を食らったのでした。

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