タバコとUFO【転倒/タバコ/UFO】
タバコとUFO
俺の高校にやってきた教育実習生の佐野は見るからに怪しい男でいつもタバコを吸っていた。見るからに怪しいというと人を見かけで判断してはいけないとご高説を垂れる人間も多くいるが、佐野は頭にリングをはめておりそのリングからひょろんとワイヤーが2本触覚のように伸びていてその先には星のオブジェが付いていた。怪しすぎる。しかも顔は銀塗りだ。怪しすぎる。
実は佐野はコントの世界の住人なのではないか、と錯覚すら覚えたがどうやら俺以外には正常に見えてるらしく誰も佐野に突っ込むものはいなかった。
そんなある日、佐野が1人で校舎の脇から入って裏山へ行くのが見えた。
俺は佐野の正体を暴くチャンスだと後に付いていった。
山を登ること数十分、足が棒になってクタクタになる頃、佐野は足を止めて空を見た。
するとなんと超巨大UFOが現れて、佐野に向けて光を照射した。それを見て、俺は「あっ」と声を出してしまった。すると。
「君は3年1組の斉藤くんだね。これを見られたからには君は生きて帰ることはできない」
佐野の命令によってUFOから光が照射される。どうやらその光を浴びるとUFOに引き込まれるようだ。
UFOに連れ去られそうになったまさにその時、何と俺は転倒してしまいそのおかげで光を浴びずに連れ去られることなくすんだ。
そして、佐野をとっ捕まえて事情を聞き出すと、佐野は地球観光でタバコにハマったことが発覚した。そう、佐野はタバコが好きすぎる宇宙人だった。
しかし地球人はタバコを排斥する方向に動いているためもう地球に用はない。お土産に何カートンか買って帰るところだったらしい。なんとも仰々しい男だったが、理由がわかればなんてことはなかった。
そんな俺も現在働くようになってありふれた日々を過ごしながら、今では考えられないような非日常があったことをセブンスターに火をつけるたびに思い出すのであった。
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