≪第六章―役立たず、戦う―≫(後編)
『――君になら助けられるよ。君の魔法はそのためのモノだから』
どういうこと。
『君は君の魔法が届く場所にいる者全てを助けられる』
でもどうやって。
『君が一度は疎んだ君の力。それが君の願いを叶えてくれる』
それって。
『さぁ、君の力で彼女を救うんだ』
――一か八か?違うだろ。助けろ。
俺じゃない。アリサを中心に円を描け。
俺の魔力全てでアリサを守れ。
間に合え。
ゴンッ!
オークの得物がアリサを吹き飛ばした。彼女の華奢な体はいとも簡単に民家に叩きつける。
「なっ!?そんな、アリサ!アリサァァァ!」
思わず叫んだ。結局俺なんかじゃ――。
「えほっ、えほっ。何!?そんなに叫ばなくても聞こえてるわよ!」
「ァァァ……って、え?」
なんとも間抜けな声が出た。
いや、別に無事だったことを残念がっている。なんてそんなわけはないし、もちろん彼女が無事だったことは何よりうれしい。
でもオークに殴り飛ばされて無事に済むなんて、そんなこと――。
「まさか……」
その時、俺の中にはソフィアさんの言葉とさっき聞こえた謎の声があった。
『ワシの魔法を受けてかすり傷で済んだことだけは誉めてやる』
『君の魔法が届く場所にいる者全てを助けられる』
「それなら……アリサ!魔法を撃て!でも抑えろよ!何が起こっても知らないからな!」
「はぁ!?何それ!?良いけどあたしが加減なんかしたらそれこそあんたより酷いからね!」
そう言って放ったアリサの雷魔法。
結果から言うと、俺がそこら中水浸しにしたせいもあるが集まっていたすべてのオークが消し炭になった。
「え、あ、え?」
「こ、殺す気か!だから加減しろって言っただろ!」
その雷は恐ろしい轟音と光を放ち天へと昇った。
「でも、なんで?こんな……」
「俺の魔法でお前に魔力を渡してやったんだよ。ソフィアさんにボコボコにされてたとき、俺がほとんど無傷で済んだのは俺が俺にバカみたいな魔力を渡し続けていたからだ。だったらそれを俺じゃなくてお前に対してやってやればいい」
放っておけば、不特定の誰かに分け隔ても際限もなく、範囲に反比例した魔力を送り続ける俺の魔法。
でもこうすれば、助けたい誰かを助けることができる魔法に替えることができる。
俺にも誰かを救うことができるようになった……。こんなに嬉しいことはない。
「やってやればいいってあんたそんなに簡単に――ってか何かっこいいこと言いながら泣いてんのよ!?気持ち悪い!」
「はぁ?泣いてなんて……ってなんだこれ!?な、何でおれ!」
アリサの言った通りだった。何でもないのに涙が溢れて止まらない。
「あたしが知るわけないでしょ!?はぁ、ちょっと頼りになるかもって思ったらすぐこれだもの。流石役立たずね」
「な!落とすのか持ち上げるのかどっちかにしろよ!」
「そしたら役立たずってだけしか残らないわ」
せっかく助けてやったのになんて言い草だ、全く。
でも、初めに助けられたのは俺だもんな。
これくらいのことは気にしないでおいてやろう。今はとにかくアリサが無事だったことを素直に喜ぶべきだ。
「まぁでも今はとりあえずおばあちゃんを……っ!?」
「そうね――っておばあちゃん大丈夫!?」
おばあちゃんの様子がおかしい。体が小刻みに震えているし息も不規則。服が雨でぬれて体も冷え切っている。まずい、俺のせいで。
さっきまではこんな……。
「そ、そんな……!お、おばあちゃん服が焦げて!そ、それじゃあたしの!」
「違う!もしそうだとしたってそれは俺の水が――」
「ふ、ふふっ、大丈夫よ。ゲホッ、た、ただの持病ですもの、ゲホッゲホッ――」
「「おばあちゃん!」」
おばあちゃんの呼吸が止まっている。なんとかしなきゃ。
もしここでおばあちゃんが死んだらアリサはもちろん俺だって……。
アリサがおばあちゃんの腕を掴んで必死に呼びかけている。何度も、何度も。
こうなったのは俺のせいだ。俺の水魔法の。だったらやることは一つだ。
「アリサ!どいてくれ!」
「あんた何を!」
「おばあちゃんを救う!俺の水魔法で!」
できるかどうかなんてわからない。
でもやるんだ。
『水系統の魔法と言うのは使いこなせば人の命に触れることができる』。ソフィアさんはそう言った。その理由が今ならわかる。
おばあちゃんの手、暖かかった。あれは血だ。体の中を駆け巡る命そのもの。
恐らく水系統の魔法は、水の流れに作用する。
だからソフィアさんの傷口から流れた血はそのまま本来流れるべき血管へとその流れを変えた。
そもそも間違っていたんだ。『バカでかい破裂寸前の水風船を留めておく』なんてイメージが。
抱くべきは、絶えず流れ続ける水のイメージ。
今おばあちゃんは命の流れがその歩みを止めようとしている。させない。
「流れを、命の流れを……!」
「あ、あんたまさか『回復魔法』をやろうとしてんの!?師匠の真似事なら無駄よ!命に触れるレベルの水魔法なんて!」
「質はない、でも量ならある!」
止まりつつある血の流れを魔力で掴んだ。それを本来血のめぐっているはずの速度になるまで加速させる。恐らくこれは本来緻密なコントロールのもと、もっと体のあちこちに魔力を回して行うことなのだろう。血液に触れてわかった。血管というのはどうも恐ろしく長い。でも俺にそんなことはできない。だから無理矢理通す。魔力の量で。
足りない、もっと早く。坂から滑り落ちる台車のようにどこまでも。
でもそれだけじゃない。流すだけじゃなく血液それ自体に魔力を与える。
おばあちゃん自体の生命力に訴えかける。
目を覚ましてくれ……!頼む!
「――ゲホッ!ゲホッ!」
「おばあちゃん!大丈夫!?」
「え、えぇ。それにとても体が軽いわ。あなたが何かしてくれたの?」
「いえ、俺は何も」
「ス、スバル……あんたほんとに」
「お前のおかげだよ、アリサ。お前が俺を助けようとしてくれて、生きていてくれたから。俺は諦めないでいられる」
それにもう一つ。もう感覚は掴んだ。
「アリサ。行ってくる。お前の師匠を助けに」
「えっ?でもあんたさっきあんなに死ぬだけだからって!」
「多分大丈夫」
「多分って……」
「死にそうになったらソフィアさん連れて逃げてくるよ」
「そ、それは――きゃあっ!」
アリサが言い終える前に走りだした。もう腕の感覚は戻っている。
今の俺は多分あの日のイフリートより速い。
「ふっ、アダムよ。ワシを殺してどうするつもりじゃ。お主の求める者は何一つ手に入らんぞ」
アダムがソフィアを見下ろすように立っていた。
「ソフィア、ヒトツコタエロ」
「なんだ、今更」
「ユウシャハドウナッタ。ワレラガマオウハ」
「死んでしもうた。お主らの魔王に殺されての。その後の奴のことは知らぬがお主が眠ったことを考えれば死んだのじゃろうな」
「……ソウカ。レイヲイウ」
イヴの切っ先がソフィアに迫ろうとしたその瞬間――アダムが大きく吹き飛ばされた。スバルによって。
「ダラァっ!」
「グギゃッ!?」
間一髪、間に合った。
効率のいいやり方も賢いやり方も分からない。
だから、可能な限り身体に魔力を流しつくした状態で思いっきり体当たり。下手な攻撃より分かりやすくて丁度いい。
ドォォォンッ!と激しい音を立てながら、アダムが弾丸のように吹き飛んだ。
「助けに来ました、ソフィアさん!」
最高のタイミングでの救援だった。と、思ったのだがどうもそもそもソフィアさんとしては助けが要らなかったようで……。
「な、スバル!なぜ戻ってきたのじゃ!?それにさっきの雷はなんじゃ!アリサは!?全くどうして!」
「え、あれ、あ、やっぱり怒られ……ちゃいます?」
「当り前じゃ!今のワシでは奴からお前を――危ない!」
「ルァァァァァッッ!」
アダムが、瓦礫の山から高速で俺の下へ飛来した。
やっぱ怖い、あんなデカい剣で斬られたら普通に死ぬだろ。
それがこんな速さで。あー、カッコつけて来なきゃ良かった。
……でも、やるって決めたらもう逃げられないよな。
「スバル!」
「大丈夫です!」
アダムの一振りで俺の身体は真っ二つ。これでもう役立たずの汚名を返上するチャンスは二度とこない。
何て言うのは流石にダメだよな。それじゃカッコ悪い通り越して、役立たずすらこえてしまう。
「そう易々とは死んでやれならないんだな、これが!」
ガギィンッ!とまるで硬い金属同士がぶつかったかのような音が響く。
「カタイ?ソレヨリモコノマリョク……!」
「ス、スバル、まさか!」
「水魔法が命を司るのは、体に水が流れているから。ならその水を支配してしまえば良い。今ならソフィアさんが俺になぜ水系統の魔法を覚えさせようとしたのかわかります」
体を流れる水を、命を掌握する!
「『魔力はイメージ』。だからこそ、水魔法の応用力は!本人の抱けるイメージとその魔力量に直結する!」
「グギィッ!?」
ドンッ!思い切り顔をぶん殴ってやった。それは思った通りアダムの体をいとも簡単に吹き飛ばす。
全身に魔力を流して、思い切り強化しただけのパンチ。
だけどそれだけじゃない。インパクトの瞬間だけ、さっきと同じように体を硬くしておいた。イメージは氷、でもただの氷ではダメ。ダイアモンドとぶつかったって壊れないような、そんなバカげた氷を思い描く。
「ふっ、恐ろしいものだの。まさか水魔法をろくに使えなかった男が、血中の水分に魔力を流しての肉体強化と、その水の凝固を応用した肉体の硬質化をほぼ同時にやってのけるとは。しかも精密にではなくその魔力量で無理矢理成立させておる。その無茶苦茶なところ、まるで先代の勇者のようじゃ」
「勇者のようなんてあなたに言われると、それこそ舞い上がって『拗らせ』ちゃいますよ?なんせ俺役立たずなんで」
「可愛くない男じゃの」
なんて一息つく間を許してくれる相手ではない。
「コノマリョク……キサマァァァァァァ!」
三度アダムがこちらへ突っ込んでくる。
本来なら、馬鹿の一つ覚えと鼻で笑ってやりたいが奴の場合はそうもいかない。
間合いに入って剣を振るう。たったそれだけのことを。
別にそれなら間合いにはいられなければいいし、そもそも入られたって対応のやり方はいくらでもある。
でもそれが、例えば神速とも言うべき踏み込みであったなら?例えば信じられない打たれ強さを持っていたなら?
無謀に見える突貫はそれだけで必殺足り得る。奴はただその選択肢を取り続けるだけでノーリスクの攻めができる。
だけど二度あることは三度ある。
お前が突っ込んでくるなら、俺はそれを――。
「なっ、なんで!?」
「オマエハイヴヲナメスギダ」
アダムの剣が俺の腕を捉えた。はっきり言って油断していた。もう剣で斬られることはないと。
でもどうして?さっきは何とも……。
「なるほど……、イヴって奴のせいか」
あの巨大な剣――イヴ。確かあれには魔力を断ち切る力があるとソフィアさんが言っていた。
つまり俺の体を流れていた魔力ごとたたっ切ったわけか。
自分の血が視界を塞いでいく。痛い。でも、やれる。
体の魔力を、イメージを、保つ。
断ち切られた。でもあるんだ、そこには流れが。
イメージは、そう。水を撒いた場所をブラシで掃除したあのとき。どれだけ擦っても擦ってもそこにある水が断ち切られることはない。だから――。
「戻れっ!」
川を流れる水がその流れを止めないように。俺の体を流れる血も止まらない。止まっていないと思い込む。
「――ふん、なんてデタラメな奴じゃ。斬られた腕の結合をあんな速度で。魔力の量のなせる技、か」
これでまだ戦える。
「ヤハリ、コノマリョク……。ユウシャ……ユウシャァァァ!」
「勇者!?人違いだろ!俺は役立たずだよ!」
その時、アダムが俺を見てそう叫んだ。
ソフィアさんもこいつも随分冗談が好きらしい。こんな役に立たずの勇者なんていてたまるか。
「ユウシャ!マオウハドコダ!ワレラノオウハ!」
「人違いだって言ってんだろ!聞こえてねぇのかこの野郎!」
切られてはくっつけ、くっつけは殴り、殴っては斬られる。お互いノーガードでのインファイト。
別に自信があるわけではない。だけど抑えずに放つ火球があぁなるんなら、その魔力を込めた拳だって決して効いてないはずはない。
なのにまるで手応えがない。
しかもこの戦い方異常に燃費が悪い。体液に魔力を流し続けている今ならわかる。どう考えても長くもたない。随分と戦い方が下手だな、俺は。
「ユウシャ、ヨロイハドコヘヤッタ。ソレトモシステムガカワッタノカ?」
「だから知らないて言ってんだろ!お前の魔王は何のためにてめぇに知識を与えたんだ!ちょっとは自分で考えろ!つか平気な顔でお喋りってどんだけ余裕だよ!ちょっとは苦戦してくんねぇかな!こっちは手一杯だぞ!?」
ひたすらの乱打戦。消耗してるのはこっちだけなんじゃないかと思えてくる。辺りに飛び散る血も漏れなく俺の血。
「ちったぁ堪えろ!」
「グゥッ!?」
刀身を弾き飛ばす。
「オラァッ!」
空いた顔めがけて渾身の一発。今のは入った。
そのまま足元目掛けて叩きつける。
ズドンッ!と一際大きな地鳴りが響き、文字通り大地が割れた。
「ウウゥッ、ウゥ……!?」
「アダム!てめぇが何を探してるのかは知らねぇけど、でも!」
体中の魔力を込めた一撃。でもこれだけじゃない。
胸倉をつかんで空へと放り投げる。
「ここはお前のいる場所じゃない、だから!」
手の中で火球を小さく圧縮する。思い描くのは村にいた頃遊んでいた、ボールに空気を入れていくイメージ。それも豚や牛の膀胱でできたものではなく、可能な限り小さな子どもの遊戯用のものがいい。
限界まで小さく留める。炸裂しろ。大きな火球は必要ない。
あいつ一人を消し炭にできればそれでいい。
「ここからいなくなれぇ!」
限界まで押し固められた火の塊は、白く光っていた。
「星光(スターフレア)ァァァッ!」
小さな光の粒は、離れて行っても尚その輝きを示し続ける。
アダム。どれだけお前が強くてもこの火には耐えられない。
「いっけぇぇぇx!」
光の粒が激しい光を放つ。
決まった。そう思った。
しかし、その瞬間何者かが突然現れた。
それはアダムからイヴを奪い取り、星光(スターフレア)を一刀の下に切り伏せる。光の粒は炸裂することなくその輝きを途絶えさせた。
「全く。困ったものだね」
何もなかったかのように、それはそう言ってアダムを担ぎ上げた。
「未完成の彼に少しでも遅れをとるなんてさ。アダム、君も随分腕が鈍ったんじゃないのかい?君でこれだと先が思いやられるよ」
そいつは恐らく人、だと思う。まるでクラウンのようなおかしな仮面をつけているせいで顔がわからない。
声は多分女性のもの。長く艶やかな青い髪が風で揺れている。
「なっ!?」
「スバル・スコットランド、だよね。悪いんだけど、今ここでアダムがダメージを受けるのは困るんだ。済まないが引かせてもらうよ」
「誰だお前は!いきなり現れて!それに何で俺の名前を知っている!答えろ!」
「ごめんね、今の君とはそれも話せないんだ。でも、多分またすぐ出会うことになるから、その時を楽しみにしていてよ。救世主(メシア)さま」
「救世主(メシア)?」
またあいつもアダム同様に俺のことを何かだと勘違いしているのだろうか。ご生憎様だが人違いだ。
でもあいつ俺を知っていた。あんな奴とあったことなんてないのに。
「じゃあね」
「――あ、待て!」
そう言って彼女はアダムを連れてどこかへ消えてしまった。
「また転移魔法か。便利な技だよ、ホントに」
「ならばお主も覚えればよかろう。まぁ跳んだ先が分からなければ意味はないかもしれんがの」
「すぐ使えるようになるんですか?」
「バカを言うでない。短距離の転移ですら一般には知られていない系統――光と闇の二系統への理解が必要じゃ。水と火しか扱えぬ今のままでは到底不可能じゃの」
「でしょうね。まぁ何はともあれ――これで一先ずの危機は去った、ってことでいいんですか?俺もうヘトヘトで……ってあれ?」
視界が揺れた。
足元から力が抜けていく。ダメだ、体に力が入らない。
まぁそりゃそうか。そもそも魔力痛を水魔法で誤魔化しながら無理矢理戦ってただけだもんなぁ。
つかこれあれだな、多分体の魔力使い果たしてんじゃねぇかな。うんでも良いや、とりあえずこれで俺の役目だって終わったし。
ただここまでやって最後にたんこぶっていうのも何だか締まらないな。でもそれはそれで俺らしくて――。
なんて思っていると急に体が軽くなった。次いで不自然にゆっくりと体が落ちていく。地面についたと思ったら頭の辺りが柔らかいものに包まれた。
「――全く。決めるなら最後まで決めぬか、このバカ者が」
「あれ、支えてくれたんですか?ごめんなさい」
「一応これでもお主はワシの命の恩人じゃからな。礼はつくそうと思ったまでじゃ」
「ははは、それで膝枕ですか?」
「何じゃ?こんなババアの膝枕では不満か?」
「まさか。伝説の魔女でこんな綺麗な人の膝枕なら大歓迎です。それにすごくいい匂いがします」
「ふふっ。花を育てておるからそれかもしれんの。なんてそんなことはよい、ゆっくり休むのじゃな。後は任せよ」
「はい、それじゃ遠慮なく」
ここで俺の意識は途絶えた。
そうそう、後から聞いた話によるとソフィアさんが育てている花はデンドロビウムと言うらしい。知らない名前だけどとても良い匂いがしました、まる。
「まさかアダムを追い返してしまうとはの。アダムではないが本当に先代の勇者を見ているようであった」
自分の膝で眠る男の顔を覗きながら彼女はそんなことを言った。
「こやつ齢は27だと言ったか。ふん、にしては随分と若いの」
この時彼女はスバルに対して、本人は分かっていないだろうがこれはどう考えても魔法での老化抑制がなされている。と、そう目星をつけていたし、実際にそれは当たっていた。彼の体内の魔力は大きすぎたのである。
今のように自ら進んで体内の水に魔力を通さなくても、他者に譲渡し続けて尚使いきれない魔力が彼の細胞を駆け巡っていた。
「さて、今の様子をアリサが見れば何と申すかの。今から楽しみじゃ」
クスクスッ、といたずらっぽく笑う彼女を見て一体誰がうん百歳の魔女だ等と思うだろうか。
ちなみに、目を覚ましたスバルがそれを見たアリサに顔が分からなくなるまでボコボコに殴られたのはまた別のお話。
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